コーヒーは世界中の人々に愛されている飲み物であり、コーヒー豆の品質を競うカップ・オブ・エクセレンスという国際品評会も開かれており、世界中のコーヒー党やコーヒー専門店が毎年の品評会の行方を注視しています。そんなコーヒー豆の品質について、ニューヨークのブルックリンにあるコーヒー専門店Parlor Coffeeの設立者であるディロン・エドワーズさんが、「2種類のコーヒー豆のうち、より高級な豆を当てる」というチャレンジを行ったムービーがYouTubeで公開されています。

Coffee Expert Guesses Cheap vs. Expensive Coffee | Price Points | Epicurious

こちらの男性が、コーヒー専門家のエドワーズさん。



カメラが回り始めて早々、「正直に言うと、すごく緊張しています」と告白して笑いを誘います。



早速第1問目。AとB、2種類のコーヒー豆がエドワーズさんの前に運ばれてきました。



「この2種類の豆は、外見が大きく違うのがわかりますね」と話し、エドワーズさんはAの豆を手に取ります。Aの豆は黒くこんがりとローストされており、非常に刺激的な香りがするとのこと。



一方、Bの豆は茶色っぽい色をしており、Aの豆ほど深くローストされていません。



コーヒー豆は深くローストしたほうが好きな人もいれば、浅くローストしたほうが好きな人もいます。単純にローストが深いか浅いかで値段を判断することはできませんが、「一般的には深くローストするとコーヒー本来の味が隠されてしまいます」とエドワーズさんは語っています。よって、コーヒー本来の味を楽しみたいのであれば、ローストの浅い豆を選ぶべきだとのこと。



早速2つの豆でコーヒーをいれて、味を比較してみることにします。まず始めにエドワーズさんは、ドリッパーにセットしたフィルターをお湯ですすぎ始めました。



最初にペーパーフィルターや器具をお湯で洗い流すことで、器具についた匂いを洗い流すことができるとのこと。



コーヒー豆を電動ミルでひいて……



フィルターにセットします。



お湯を回し入れるようにしてドリップしたら……



AとB、2種類の豆を使ったコーヒーが抽出完了。豆の色から連想されるとおり、Aの豆を使ったコーヒーはBの豆を使ったコーヒーよりも、かなり黒い色合いになっています。



エドワーズさんは、いれたてのコーヒーを味わうときはまず始めに「香りをかいでみる」ことをオススメしました。いきなり熱いコーヒーを飲んでしまうと、コーヒーの熱さで舌が麻痺してしまい、せっかくのコーヒーを十分に味わうことができないそうです。



エドワーズさんはコーヒーの香りを楽しんでから、少量のコーヒーを口に運びました。



Aのコーヒーはまるで糖蜜のような風味がして「砂糖をそのままなめているように甘い」と評価し、酸味はほとんど感じられないとのこと。また、ビロードのように滑らかな舌触りを感じたとエドワーズ氏は述べました。



続いてBのコーヒーをティスティング。



「ワオ、Aのコーヒーを飲んだ後だと、Bのコーヒーは非常にフルーティーな味がするとわかります」とエドワーズさんは語り、甘いモモのような風味もあるとのこと。



また、エドワーズさんがコーヒーを味わうときに「ズズズ」とすするように飲む理由について、「空気と一緒にコーヒーを口に入れたほうが、よりコーヒーの味をしっかりと味覚でとらえることができるからです」と説明しました。



さて、エドワーズさんはBのコーヒー豆のほうが高いと予想しました。気になる結果は……



Aのコーヒー豆が1ポンド(約450g)あたり13ドル(約1400円)、Bのコーヒー豆は1ポンドあたり22ドル(約2400円)でした。エドワーズさんの予想は見事に的中。



「よーし!」と満足げな表情を浮かべるエドワーズさん。



エドワーズさんはコーヒーをさらに楽しめるアドバイスとして、「深くローストしすぎると、コーヒー本来の味が隠されてしまう」「しかし、深くローストしたからといって品質が低いというわけではない」「浅くローストされたコーヒー豆は、コーヒー本来の味を楽しむことができる」といったポイントを挙げました。



続いて第2問目。



エドワーズさんは、「2つの豆は見た目からもかなり違うことがわかります」と述べました。



Bの豆は少し浅めにローストされ、豆のサイズが非常によくそろっており、砕けたり割れたりしている豆もないとのこと。



一方Aの豆は形が不ぞろいで、発育不良と思われる豆も見られると指摘。エドワーズさんはコーヒー豆の形を見ただけで、「Bのほうが高級な豆である可能性が高い」と判断しました。



早速コーヒーをいれてテイスティングを行います。



Aのコーヒーは「とても苦くて酸味も強い。砂糖を入れないと飲めないね」と一刀両断。



一方、Bのコーヒーを飲んだエドワーズさんは……



「非常にクリアで甘く、エキサイティングなコーヒーだ。ブラックで飲みたいコーヒーだね」と激賞。



「もしこれでAのほうが高級だったら、絶望しますね」とまで言い切ったエドワーズさん。



気になる結果は……



Aのコーヒー豆が1ポンドあたり8ドル(約900円)、Bのコーヒー豆が1ポンドあたり34ドル(約3800円)。実に4倍以上の価格差がありました。



エドワーズさんはコーヒーの品質について、「いい豆は欠けたり割れたりしておらず、よく熟していて形もそろっている」「いいコーヒーは注意と忍耐をもって加工されている」「お徳用のコーヒーは質よりも量が重視されている」といったチェックポイントを挙げました。



第3問目のコーヒー豆は、どちらもよく似たロースト具合。



しかし、エドワーズさんはBのコーヒー豆はわずかにローストしすぎているため、「表面に油が浮き出ている」ことを指摘。Aのコーヒー豆のほうが高級なものに思えると言いました。



早速コーヒーをいれ始めると……



「AとBでは、ドリップ中の豆の状態に違いが出ています」とエドワーズさんは話し始めました。コーヒー豆をローストする過程で豆の中にガスが閉じ込められ、品質のいいコーヒー豆はガスが逃げていくためドリップ中によくふくらみ、活発に泡が表面に浮いてくるとのこと。あまりガスが出てこないコーヒー豆は、少し古くなっている可能性があるそうです



Aのコーヒーは非常に爽やかな風味で、リンゴのようなフレーバーを感じるとエドワーズさんは語りました。



一方、Bのコーヒーは苦みが強く、後味がスッキリしていないとのこと。



エドワーズさんはAのほうが高級なコーヒー豆だと判断。結果は……



Aが1ポンドあたり28ドル(約3100円)、Bが1ポンドあたり10ドル(約1100円)でした。



コーヒー豆を選ぶ基準として、「賞味期限ではなくローストした日付に注目すること」「少なくともローストした日から3週間以内の豆を買うべきである」「賞味期限は豆の品質とほとんど関係ない」ことをエドワーズさんはアドバイスしてくれました。



続いて第4問目。



「Aの豆は縦に伸びたような形をしており、どことなくエキゾチックな形をしています」とエドワーズさん。こういった豆は、東エチオピアで栽培された豆によく見られる特徴だとのこと。



一方、Bの豆は粒が全体的に小さくて丸いものでした。こちらは世界的に広く栽培されている、ブルボン種ではないかとエドワーズさんは予想しました。



Aの豆をもう一度手にしたエドワーズさんは、「Aの豆は『ゲイシャ』という品種ではないか?」と推測。ゲイシャは一本の木から収穫できる量が少なく、かつては「育てにくい品種」としてそれほど注目されることのなかった品種ですが、1990年代の品評会に出品されると圧倒的な高評価を受けて一躍人気となったコーヒー豆の品種です。



早速テイスティングしてみることにします。



Bのコーヒーを飲んだエドワーズさんは、「非常にいい風味を持っているし、ジューシーで爽やかなリンゴみたいなフレーバーです」と高評価。



続いてAのコーヒーを飲んでみると……



「アンズのような感じもするし、アールグレイのような風味も感じられます。素晴らしく爽やかで特徴的なコーヒーです」とこちらも高評価。



AとBどちらにも高評価を与えたエドワーズさんでしたが、「やはりAはゲイシャだと思います。もしくは、それに準じる程度の素晴らしいコーヒー」として、Aのほうが高級な豆だと判断しました。しかし、Bのコーヒー豆も非常にいい品質のコーヒー豆で、少々難しい判断になったようです。



いったいどちらのほうが高級なコーヒー豆なのでしょうか。



なんと、Aは1ポンドあたり86ドル(約9400円)もの値段がつく高級なコーヒー豆でした。Bも1ポンドあたり30ドル(約3300円)とのことで、こちらも十分に高級なコーヒー豆の部類です。



コーヒー豆はリンゴやブドウと同じように、世界中にたくさんの品種が存在しています。また、収穫する地域によってもコーヒー豆には特色が出るとのこと。



そして、いよいよ最後の問題です。



AもBも見た目における問題点はなく、どちらも高品質のコーヒー豆だとエドワーズさんは予想。テイスティングをしてから、どちらのほうが高級なのかを見極めることにします。



さっそくコーヒーをいれて……



テイスティングを開始。



「どちらもいい品質のコーヒーです」と悩みながらも、どこか嬉しそうな表情を浮かべるエドワーズさん。



「非常に微妙な差異を感じ取りたいときは、カップスプーンを使用します」と話し、テーブルの下からカップスプーンを取り出しました。



コーヒーをカップスプーンですくい……



テイスティング。表情は真剣そのものです。カップスプーンですくって飲むことにより、普通に飲むよりも空気を一緒に吸い込みやすくなるため、コーヒーの味をよりよく感じ取ることができるとのこと。



両方をカップスプーンで飲み比べてみた結果、「AのほうがBよりもジューシーで後味もスッキリしています」と語り、Aのほうが高級なコーヒー豆だとエドワーズさんは予想しました。



「どちらが高級であるにしろ、非常に僅差の勝負になっているはずです」という、気になる結果は……



Aが1ポンドあたり36ドル(約4000円)、Bが1ポンドあたり28ドル(約3100円)。見事に予想は的中しました。



最後にエドワーズさんは、「もしもコーヒーを楽しむ金銭的な余裕があるのであれば、コーヒー豆の産地を調べ、評判のいい農園で生産されたものを選ぶのもいいでしょう」と述べ、ムービーを締めくくりました。