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レオパレス21の賃貸アパート(1996年から2009年に施工)の一部で、建築基準法違反の疑いがある施工不良があったことが報道された。「界壁」という延焼や音漏れを防ぐ部材が設置されていなかったり、十分な範囲に設置されていなかったりしたという。同じタイプの3万7853棟を2019年6月までに調査し、不備があれば改修する予定。

レオパレス21は「当社に施工管理責任があった」と陳謝する一方、意図的な手抜き工事だった可能性は否定したという。ただ、オーナーや入居者としてみれば戸惑いは大きいだろう。法的にどのような請求ができるのか、不動産問題に詳しい永井博也弁護士に聞いた。

●瑕疵担保責任や損害賠償請求が可能

ーーどのような請求ができるでしょうか

「オーナーとレオパレス21が建物建築についての請負契約を結んでいた場合、オーナーは、施工者であるレオパレス21に対し、瑕疵担保責任を追及する(建物の欠陥部分の修補費用や損害賠償を請求する)ことが考えられますが、これには、最長で建物の引渡し(工事完成)から10年という期間制限があり、施工時期によっては請求できない可能性があります。 

しかし、防火性や防音性を高める界壁は、建築基準法上設置が義務付けられているものであり、これが設置されていないということは、将来にわたって、居住者等の生命、身体、財産に対する危険を有することは明らかです」

ーー何も請求ができないとなればオーナーや入居者の不利益は大きいですね

「はい。そのような場合、オーナーや入居者は、レオパレス21に対して、不法行為による損害賠償を請求することが可能です。不法行為の場合の期間制限は、『損害及び加害者』を知ったときから3年ですから、今回のレオパレス21の発表によって初めて知ったのであれば、それから3年間は請求が可能です。

ただし、不法行為の場合、同時に、不法行為時から20年という期間制限もありますので、手抜き施工自体を不法行為と捉えると、法的には、施工(工事完成)から20年経過していると損害賠償の請求ができない可能性があります」

ーー施工不良が意図的でなくても、請求はできますか

「不法行為による損害賠償請求であっても、レオパレス21に過失(落ち度)があることは明らかと思われますので、今回の施工不良が意図的であったかどうかにかかわらず請求できます。なお、瑕疵担保責任の追及の場合は、レオパレス21に仮に過失がないとしても請求できます。

損害賠償の請求ができる場合、具体的には、オーナーは補修費用の請求ができます。また、入居者は、補修工事の間、例えばホテルなどで生活する必要がある場合、その費用を請求できます。また、入居者が引っ越す場合、その費用も請求できる可能性があります(一部報道では、レオパレスはこれも負担する意向のようです)」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
永井 博也(ながい・ひろや)弁護士
平成7年4月東京大学入学。平成12年3月東京大学法学部卒業。平成12年10月司法試験合格。平成13年4月司法研修所入所。平成14年10月東京弁護士会登録。
事務所名:新都市総合法律事務所
事務所URL:http://www.shintoshi-lo.gr.jp/