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「返信は週明けで大丈夫です」。ある企業で管理職として勤務するケンイチさんは、土日も部下に業務連絡のメールやメッセージを送ることが癖になっている。常に処理すべき連絡事項があふれかえっており、週明けにはとてもこなしきれないからだ。

ただ、一部の忠誠心の高い部下は、「これはすぐに返さねば」と思って、休日でも返信してくる。

「返信は週明けで大丈夫」とことわっていたとしても、部下が反応してしまった場合、休日労働をさせたことになってしまうのか。瀧井喜博弁護士に聞いた。

●指揮命令下に置かれていると判断できるかどうか

「判例上、労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていると客観的に判断できる時間をいう、とされています。このケースでも、この判例を念頭に置いて判断することとなります。

ただ、単に『業務連絡メール』というだけでは、具体的な内容などが分かりません。そのため、労働基準法に違反するかどうかを判断することはできず、具体的な内容や頻度等を総合的に判断する必要があります。

もっとも、『返信は週明けでOK』という文言は、休日に何らかの業務を行わなくても良いというメッセージととらえることができるので、使用者の指揮命令下に置かれていないと判断する方向に働く要素になるでしょう」

では、問題はないということか。

「休日の目的が仕事からの解放という点にあることを考えると、休日に上司が部下に対して業務に関連する連絡をすることは、トラブルの元になり得ます。

また、休日は0時から24時までフルで与えなければならないため、休日に業務をさせると、休日手当を払ったとしても、その労働者には法律上の休日を与えていないこととなります。そのため、休日に仕事の用事で連絡することは控えた方がよいでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
瀧井 喜博(たきい・よしひろ)弁護士
「あなたの『困った』を『よかった』へ」がモットー。あらゆる「困った」の相談窓口を目指す、主に大阪で活動する人情派弁護士。平成29年11月末現在、事務所設立2期目にして、弁護士3名、事務局4名の合計7名の法律事務所を経営している。ずば抜けて楽しい職場環境の構築、拡大を目指して、日夜奮闘中。
事務所名:瀧井総合法律事務所
事務所URL:http://takiilaw.com/