【パイレーツ・オブ・カリビアン】ジョニー・デップ来日インタビュー「ジャックを演じるのが楽しくてしょうがない」
映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』公開に合わせて来日したキャプテン・ジャック・スパロウ役のジョニー・デップ。
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Web合同取材でジャックの魅力と彼への思い入れを語ってくれました。
ジャックは無邪気で子供みたい
ジャック・スパロウの魅力とは何だと思いますか?
俳優という仕事はいろんな役を演じるわけですよね。
素晴らしいところは、私は絶対に私生活でジャックのような行動はできません。
彼になりきるからこそ、ああいう色んな行動ができるわけですね。
彼は人生で一度もシャイだったことはないと思うんです。
なんでも言いたいことを言ってやりたいことをやっています。
彼は、何であれ思ったことをそのまま口にしてしまい、その後でその言ったことに対処するようなところがあります。
おそらく彼は、頭の中がゴチャゴチャだから、言ってから5.5秒後に自分が何を言ったか気づいているんです。
俳優はこういうアールを描いてキャラクターがどこかに到達するというんですけれど、ジャックは到達点がなくずっと同じ地点にいるんですね。
ペペ・ル・ピュー(ルーニー・テューンズのスカンク)は自分がすごくかっこいいと思っていますが実際はスカンクで臭うんですね。そういう部分もあります。
観客のそもそもの反応は、この男は何でもなんとか乗り切ってしまう奴だぞ、という感想だったと思いますが、誰だって事物をうまく乗り切ることが大好きなんです。
だから、ジャックは、ある意味、とても無邪気で、子供みたいですね。
それも、生きていくために色々やらなければならない子供のような存在だから、長年の間に色々なトリックを身に着けたんです。
僕は彼を理解するためにずっとサウナに入っていました。
280℃のすごく恐ろしいことになって、絶対皆さんにはオススメしませんが、脳が溶け出すようでした。
彼を理解するためにそういうこともしました。
若い頃の自分を見るのは奇妙な感じでした
『最後の海賊』では若い頃のジャックが登場しますが、彼を見てどう思いましたか?
若い自分を見るのは奇妙な感じがしましたし、ちょっとシュールというか非現実的で、滑稽でした。
本当に僕なのというか、誰なのあれという気持ちもありました。
テクノロジーが進んでいくと、何でもできるようになると思うんですね。
例えば、マーロン・ブランドさんに(CGで)演技をさせて主演映画ができるかもしれない。
そうやってテクノロジーが進んで、マーロンと僕の共演が可能になったとしたら、僕だけ仕事に行くのはずるいと思いますので、マーロンと僕の共演の映画を撮っている間僕は家にいてポテトチップスを食べます。
ジャックのイメージはルーニー・テューンズから
第1作目のときジャックとこんなに長い付き合いになると思いましたか?
『パイレーツ・オブ・カリビアン』の話を最初にいただいた時、まだ脚本はありませんでした。
脚本というもの自体が存在していなかったんです。
僕はディズニーでディック・クックと会いました。
そのとき彼からアトラクションの「カリブの海賊」をベースにした映画をやってみないかと持ち掛けられ、その後、次々とつながっていったんです。
最初に脚本をいただいた時と、彼らが望んでいたキャラクターを僕はだいぶ変えました。
彼らには別の考えがあったようだけど、僕には、当時3歳だった娘と一緒に見ていたアニメーション映画やカートゥーンの数々から、あるアイデアが浮かんでいました。
バッグス・バニーとかロードランナーとかワイリー・コヨーテを見ていて僕の頭から離れなくなったことは、たとえばワイリー・コヨーテに巨大な岩が落ちてきてペシャンコになっても、次のシーンで彼は頭にバンドエイドを×印につけているだけなのは、一体どういうわけだろうということでした。
それは「不信の一時的停止」を遥かに超越したものだよ。そこで僕はそれを押し広げることができないだろうか、映画での演技でそのコンセプトの範疇やパラメータを広げることができないものだろうかと思ったんです。
そのコンセプトをキャラクターの中に吹き込むため、どのようなアプローチをしましたか?
僕の頭の中ではこういうイメージなのですが、ひらめきが飛翔して、シナプシス(対合)に火がつき、アイデアが湧いてきます。
また、僕が大好きな2人の作家が言っていた言葉をよく覚えています。
ジャック・ケルアックは、最初に浮かんだ考えこそが最高の考えだと言っていましたし、アーネスト・ヘミングウェイは小説の執筆について尋ねられたとき、真実の一文を書くことだと言っていました。
だから僕もキャプテン・ジャックについて考えたとき、その発想を考慮に入れたんです。
最初に思い浮かんだことについて、そして何が真実かということについて。
最初に思ったことは、あのカートゥーンのパラメータでした。
それをどうすれば実現できるだろうか? どうやってアプローチすればいいだろうか? 徹底的に不遜でいても受け入れられるためには、一体どうすればいいんだろう? と。
ジャックを演じるのが楽しくてしょうがない
あなたにとってジャックとは?
この役はとても楽しくて。本当に演じるのが楽しくてしょうがないんですね。
なぜかというと、どんなことをしても、無責任な不敬なバカなことをやっても、彼は許されるところがあって。
こういうキャラクターって他にないと思うんですけれど、何言ったっていい、何をしたっていい、それでも何とかなっちゃう珍しい役だと思うんです。
スープを作るようにいろんな具材を入れていくわけですが、なかなかこの役は現場に置いていけない役で。
ジャックである時には何でもできるから安全なんです。
同じキャラクターばかり演じるのは本当はよくないし、僕も退屈してしまいますし、クレイジーだと思ってしまいますが。
いろんな可能性を僕は考えていかなきゃいけないし、いろんな役が残っているんですね(これまで演じた色々な役を再現)。