こういう場所で、明るい時間から飲むというのも、おつなものです(画像はイメージ)。

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昼から飲むのは、罰当たりな気分も手伝って、最高に楽しい。
そんな昼飲み族にとって、安く酔える、いわゆる「せんべろ店」が集うエリアのひとつとして有名なのが、上野・御徒町だ。
同じ昼飲み目的の人も多いこの町で休日昼間から飲んでいると、どんな顔、どんな目で見られるのか。
上野の某人気居酒屋のいちばん表側の席(テラス席)で1時間飲みながら、通り過ぎる人たちのリアクションを観察した。

盛況ぶりに「すごい!」と叫ぶ通行人


まず目立ったのは、酒飲み客たちの目の前で、店の盛況ぶりに、大きな声で「すごっ!」「すげえー!」「混んでる!」と叫ぶ人たち。1時間に11人も叫んでいた。
店の外側に行列ができてしまうラーメン屋などと違い、店内壁際の椅子に座って待つシステムのこの店では、店内の奥を見て初めて混雑状況がわかる。
そのために、店内が見える位置に来て初めて行列を知り、突然驚きの声をあげる人が多いのだろう。
ただし、ラーメン屋などの行列で、ここまで遠慮なく「すごい!」と大声で叫ぶ人は多くない気がする。やはり酒飲み相手だと、気が緩むのか。
また、叫ぶまではいかなくても、多い反応は、ちょっと立ち止まって口をポカンと開ける、目を見開く、小さな声で「すごい」と呟くなど。
立ち止まらず、顔も向けずにそそくさと立ち去る家族づれや、仲間内で「最近こういう店、流行ってるのよねえ」などと囁き合う女性グループもチラホラあった。

外国人から見ると摩訶不思議な光景?


そんな中、いちばん驚いたのは、酒飲み客を撮影していく人たち。その数、1時間に5人。
スマホで遠くからこっそり撮る人もいたが、至近距離から高そうなカメラで、声もかけずに遠慮なく撮影してくる人もいた。いずれも外国人だった。
海外から日本を訪れた人は「なぜこんなにお酒を飲む店がたくさんあるのか」と驚くと聞く。
居酒屋は日本独自の文化というが、実際、外国人にとっては、真昼間に居酒屋で酒を飲む人たちの姿は摩訶不思議なものに見えているようだ。
これって、私たちが海外旅行したときに、妙な看板を撮影したり、街角を撮影したりするのと、同じ感覚なのだろう。

それにしても、このように居酒屋で飲む姿が、もしかしたら見ず知らずの外国人のブログなどに勝手に登場させられる可能性があると思うと、妙な気分になる。そして、今後、2020年の東京五輪に向けて、そうした機会はますます増えるのかもしれない。
(田幸和歌子)