こんな高橋一生もいい「女心がわかっている」と指摘され卑屈になってしまう「カルテット」舞台挨拶詳細レポ
「ドラマ好きへのご褒美のようなドラマ」
そんな声まで聞こえてきたTBS“火10”枠の新ドラマ『カルテット』。脚本は『最高の離婚』『Woman』などの坂元裕二、主演に松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平という人気と実力を兼ね備えたキャストを揃えた期待作だ。
偶然出会った4人の弦楽奏者が弦楽四重奏(カルテット)を結成、メンバーの一人が所有する軽井沢の別荘で共同生活を営むが、それぞれには秘密があって……というお話。「ラブ&サスペンス」と謳われているが、一筋縄ではいかない作品になりそうである。
1月9日、特別試写会の舞台挨拶に主演の4人が揃って登壇。作品のこと、お互いのことなど、息の合ったトークを繰り広げた。司会進行は『ひるおび!』を終えて駆けつけたTBSの江藤愛アナウンサー。
松たか子「緊張と緩さが微妙に見え隠れする感じです。日常のささやかなこともあれば、衝撃的なこともあって、やっぱりそれは毎日がドラマなんだな、と思います。油断していると自分に突き刺さってくる、楽しいんだけどちょっと怖い作品です」
満島ひかり「はっきりしない4人がはっきりしないことを喋っている間に何かがはっきりしていくところが魅力です(笑)。キャラクターがはっきりしている人たちがぶつかるのではなく、一人の人間の中に多面性があって、角度を変えれば違う表情に見えるし、外に出れば違う人に見える。毎日違うドラマを撮影しているように思えるぐらい、みんなの違う面を見ています。“坂元さんってこういうドラマを書くんだ!”という思いです。重くなりそうになると、誰かがふっと風を吹かせてくれるような。ずっと風が吹いているようなドラマだと思います」
高橋一生「僕が今まで見てきたドラマとは一線を画している作品だと思います。ドラマとしてのガイドからわりと外れている作品です。坂元さんの書く会話の生々しさもあるし、寓話的な部分もある。不思議な感じの世界観ですね。それをみなさんが透明人間になって、僕ら4人がいる別荘を覗き見している感覚になれば面白いと思います。(江藤アナが「私も覗き見している感覚になりました」と言うと)よっしゃ!」
松田龍平「今、3人が言ったので……最後は大変だ(笑)。ほとんど4人で芝居をしていて、ずっと別荘の中でから揚げにレモンをかけるかかけないかの話をしているのですが、そんな他愛のない話が後から効いてきたりして、演じていても先の展開が読めない面白い脚本です。4人にはそれぞれ謎がありますが、僕が演じる司の謎はわりと早い段階で解き明かされます。僕はそこからまた違う司が見たいですね」
松たか子「セミプロのファーストバイオリンという役なので、日々努力をしておりますが、先生たちに注意されたり、おだてられたり、その気にしていただきながら、なんとかやっています。せっかくの機会なので、ヴァイオリンを少しでも好きになりたいと思う日々です。ヴァイオリンは好きなんですけど、ヴァイオリンがまだ私を認めてくれません。大変ですが、“しょうがないな、やるって言っちゃったしな”と諦めながら頑張っています(笑)」
満島ひかり「(チェロは)すごく楽しいです。先生に“チェロは毎日話しかけるといいよ”と言われたので、おうちで毎日チェロと会話しています。チェロの曲線がいいんですよ。クッと入るところがいいんです、クッと(満面の笑みで手ぶり)。ぜんぜん弾けませんが、弾いていて楽しいです。私はこだわりも強いし面倒くさい人間なので、“(演奏シーンを)もう一回やりたいです”と何回も言って、みんなはやりたくなさそうなのに(笑)」
高橋一生「そんなことないです」
松田龍平「僕は“もう芝居やりましょうよ”と言いました(笑)」
高橋一生「ヴィオラは主旋律が弾けない楽器で、チェロほどしっかりしたベースでもない。これがヴィオリストにとっては中途半端でコンプレックスになっていて、僕は卑屈になっているという役柄なんです。撮影のとき、みなさんが持っているのは1700年代に作られた素晴らしい楽器ですが、僕のヴィオラだけ1900年代のものでした(笑)。こういうところで意地悪されているんだと、高橋一生としても卑屈になりつつあります(笑)」
松田龍平「松さんがめきめきとヴァイオリンの腕を上げて、もう弾けそうになっているんです。それが僕の日々のストレスです(笑)。演奏シーンは緊張感がすごくて、曲数も“ウソでしょ?”と思うぐらいたくさんあります。プレッシャーを感じていますが、楽しい雰囲気をもっと出していければと思っています」
松たか子「龍平くんがフルーツを盛り付けるのが好きなんです(ざわめく場内)。私は普通に食べるんですけど、“きれいにフルーツを盛り付けて食べると美味しいんですよ”と言われて、私は反省しました(笑)。私も盛り付けなきゃな、って」
松田龍平「一度フルーツを持って、“素敵だなぁ”と眺めてから食べます。リンゴもちゃんと磨いてきれいにしますし、叩くといい音がするんですよ。わかります?」
松田龍平「松さんはヴァイオリンに真剣になりすぎると、アゴが出ます(笑)」
松たか子「いろんな人に“顔、顔!”と注意されます(笑)。でも、もういいんです! 顔は!」
高橋一生「意外というか……僕以外の3人は“そんなにできるんだ!”と思うぐらい楽器の演奏シーンに力を入れて臨んでいらっしゃる。“みんなでゴールしようね”って言ってるのに、ぶっちぎりでテープ切られる感じです(笑)。僕は完全に置いていかれて、卑屈になりそうなので頑張ります」
満島ひかり「高橋さんは女心をわかってお芝居していると思うことがいっぱいあります(ニヤニヤ)」
高橋一生「(満島と松が)モニターで僕のお芝居を見てくださっていて、ニヤニヤしながら“(女心が)わかってやってるんでしょ〜?”と言われるんです。“わかってないのに!”とますます卑屈になっていくんです……」
松田龍平「(3人のやりとりを見て)僕も卑屈になっていきますね……(笑)」
松たか子「個人的なことですが、私のデビュー曲(『明日、春が来たら』)の作詞が坂元さんなんです。この曲が私のいろいろなスタートを決めてくれたので、とても大事にしています」
満島ひかり「坂元さんは“カーンチ”(『東京ラブストーリー』)も書いているんですよね。それがいつもびっくりで。“カーンチ、××しよ”というセリフが小さい頃、衝撃でした(笑)。坂元さんの作品は“そんなことになるかなぁ?”と思いながら台本を読んでいるのですが、勝手に現場の空気でお芝居をしていても、どうしても自分の行動が書かれている通りになってしまうんです。魔法使いのような脚本を書く人です」
高橋一生「出演した『Woman』が印象に残っていますが、あえて僕がやらせていただいた朗読劇『カラシニコフ不倫海峡』を(坂元は脚本と演出)。これはものすごく面白いのですが、見た方は少ないと思うので、“見てねーだろ、へへっ”という気分です(笑)。坂元さんは空白や余白を大事にされている脚本家さんだと僕は思っていて、言葉ですべてを語らせないということはとても信頼できることだと思います。今回の脚本は新しいリズムも入っているので、面白いと感じながら演じさせていただいています」
松田龍平「言葉一つ一つでいろいろなことを想像させる脚本だな、と思います。いろいろ考えながら撮影に入ったんですけど、だんだん考えることが必要じゃなくなってくるというか、“もっと自由になりたいな”という感じになって。ここにいるみなさん(松、満島、高橋)も役なのか本人なのかわからなくなる感覚に陥るのがすごく心地よくて。それが坂元さんの罠なのかもしれないとドキドキしながら演じています」
松たか子「から揚げにレモンはかけない派です」
満島ひかり「から揚げはまとめてじゃなくて1個ずつかけたいです」
高橋一生「から揚げは一緒に食べる人に合わせます(松&満島は顔を見合わせて爆笑。“女心がわかっている”と言われて、ため息混じりに)じゃ、それでいいでしょ!(笑)」
松田龍平「から揚げは……その人に任せます。どっちでもいいんです。でも、相手の人がかけなかったら、“やっておいたほうがいいかな”と思ってかけちゃいますね。でも、相手がかけない派の人ですごく怒られたりして……。そういうことで人の人生は変わってしまうかもしれないという怖さを描いたドラマです」
最後の質問の意味がわからないと思う人が大勢いると思うが(最後2つは筆者による質問でした)、これは第1話を見ればわかる仕掛け。第1話を見てから、あらためて4人の答えを読み返してみてください。
TBSドラマ『カルテット』は1月17日(火)夜10時スタート。
(大山くまお)
そんな声まで聞こえてきたTBS“火10”枠の新ドラマ『カルテット』。脚本は『最高の離婚』『Woman』などの坂元裕二、主演に松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平という人気と実力を兼ね備えたキャストを揃えた期待作だ。
偶然出会った4人の弦楽奏者が弦楽四重奏(カルテット)を結成、メンバーの一人が所有する軽井沢の別荘で共同生活を営むが、それぞれには秘密があって……というお話。「ラブ&サスペンス」と謳われているが、一筋縄ではいかない作品になりそうである。
この作品の魅力について
松たか子「緊張と緩さが微妙に見え隠れする感じです。日常のささやかなこともあれば、衝撃的なこともあって、やっぱりそれは毎日がドラマなんだな、と思います。油断していると自分に突き刺さってくる、楽しいんだけどちょっと怖い作品です」
満島ひかり「はっきりしない4人がはっきりしないことを喋っている間に何かがはっきりしていくところが魅力です(笑)。キャラクターがはっきりしている人たちがぶつかるのではなく、一人の人間の中に多面性があって、角度を変えれば違う表情に見えるし、外に出れば違う人に見える。毎日違うドラマを撮影しているように思えるぐらい、みんなの違う面を見ています。“坂元さんってこういうドラマを書くんだ!”という思いです。重くなりそうになると、誰かがふっと風を吹かせてくれるような。ずっと風が吹いているようなドラマだと思います」
高橋一生「僕が今まで見てきたドラマとは一線を画している作品だと思います。ドラマとしてのガイドからわりと外れている作品です。坂元さんの書く会話の生々しさもあるし、寓話的な部分もある。不思議な感じの世界観ですね。それをみなさんが透明人間になって、僕ら4人がいる別荘を覗き見している感覚になれば面白いと思います。(江藤アナが「私も覗き見している感覚になりました」と言うと)よっしゃ!」
松田龍平「今、3人が言ったので……最後は大変だ(笑)。ほとんど4人で芝居をしていて、ずっと別荘の中でから揚げにレモンをかけるかかけないかの話をしているのですが、そんな他愛のない話が後から効いてきたりして、演じていても先の展開が読めない面白い脚本です。4人にはそれぞれ謎がありますが、僕が演じる司の謎はわりと早い段階で解き明かされます。僕はそこからまた違う司が見たいですね」
楽器の演奏シーンについて
松たか子「セミプロのファーストバイオリンという役なので、日々努力をしておりますが、先生たちに注意されたり、おだてられたり、その気にしていただきながら、なんとかやっています。せっかくの機会なので、ヴァイオリンを少しでも好きになりたいと思う日々です。ヴァイオリンは好きなんですけど、ヴァイオリンがまだ私を認めてくれません。大変ですが、“しょうがないな、やるって言っちゃったしな”と諦めながら頑張っています(笑)」
満島ひかり「(チェロは)すごく楽しいです。先生に“チェロは毎日話しかけるといいよ”と言われたので、おうちで毎日チェロと会話しています。チェロの曲線がいいんですよ。クッと入るところがいいんです、クッと(満面の笑みで手ぶり)。ぜんぜん弾けませんが、弾いていて楽しいです。私はこだわりも強いし面倒くさい人間なので、“(演奏シーンを)もう一回やりたいです”と何回も言って、みんなはやりたくなさそうなのに(笑)」
高橋一生「そんなことないです」
松田龍平「僕は“もう芝居やりましょうよ”と言いました(笑)」
高橋一生「ヴィオラは主旋律が弾けない楽器で、チェロほどしっかりしたベースでもない。これがヴィオリストにとっては中途半端でコンプレックスになっていて、僕は卑屈になっているという役柄なんです。撮影のとき、みなさんが持っているのは1700年代に作られた素晴らしい楽器ですが、僕のヴィオラだけ1900年代のものでした(笑)。こういうところで意地悪されているんだと、高橋一生としても卑屈になりつつあります(笑)」
松田龍平「松さんがめきめきとヴァイオリンの腕を上げて、もう弾けそうになっているんです。それが僕の日々のストレスです(笑)。演奏シーンは緊張感がすごくて、曲数も“ウソでしょ?”と思うぐらいたくさんあります。プレッシャーを感じていますが、楽しい雰囲気をもっと出していければと思っています」
撮影現場で見えてきた共演者の意外な一面は?
松たか子「龍平くんがフルーツを盛り付けるのが好きなんです(ざわめく場内)。私は普通に食べるんですけど、“きれいにフルーツを盛り付けて食べると美味しいんですよ”と言われて、私は反省しました(笑)。私も盛り付けなきゃな、って」
松田龍平「一度フルーツを持って、“素敵だなぁ”と眺めてから食べます。リンゴもちゃんと磨いてきれいにしますし、叩くといい音がするんですよ。わかります?」
松田龍平「松さんはヴァイオリンに真剣になりすぎると、アゴが出ます(笑)」
松たか子「いろんな人に“顔、顔!”と注意されます(笑)。でも、もういいんです! 顔は!」
高橋一生「意外というか……僕以外の3人は“そんなにできるんだ!”と思うぐらい楽器の演奏シーンに力を入れて臨んでいらっしゃる。“みんなでゴールしようね”って言ってるのに、ぶっちぎりでテープ切られる感じです(笑)。僕は完全に置いていかれて、卑屈になりそうなので頑張ります」
満島ひかり「高橋さんは女心をわかってお芝居していると思うことがいっぱいあります(ニヤニヤ)」
高橋一生「(満島と松が)モニターで僕のお芝居を見てくださっていて、ニヤニヤしながら“(女心が)わかってやってるんでしょ〜?”と言われるんです。“わかってないのに!”とますます卑屈になっていくんです……」
松田龍平「(3人のやりとりを見て)僕も卑屈になっていきますね……(笑)」
坂元裕二脚本作品についての印象は?
松たか子「個人的なことですが、私のデビュー曲(『明日、春が来たら』)の作詞が坂元さんなんです。この曲が私のいろいろなスタートを決めてくれたので、とても大事にしています」
満島ひかり「坂元さんは“カーンチ”(『東京ラブストーリー』)も書いているんですよね。それがいつもびっくりで。“カーンチ、××しよ”というセリフが小さい頃、衝撃でした(笑)。坂元さんの作品は“そんなことになるかなぁ?”と思いながら台本を読んでいるのですが、勝手に現場の空気でお芝居をしていても、どうしても自分の行動が書かれている通りになってしまうんです。魔法使いのような脚本を書く人です」
高橋一生「出演した『Woman』が印象に残っていますが、あえて僕がやらせていただいた朗読劇『カラシニコフ不倫海峡』を(坂元は脚本と演出)。これはものすごく面白いのですが、見た方は少ないと思うので、“見てねーだろ、へへっ”という気分です(笑)。坂元さんは空白や余白を大事にされている脚本家さんだと僕は思っていて、言葉ですべてを語らせないということはとても信頼できることだと思います。今回の脚本は新しいリズムも入っているので、面白いと感じながら演じさせていただいています」
松田龍平「言葉一つ一つでいろいろなことを想像させる脚本だな、と思います。いろいろ考えながら撮影に入ったんですけど、だんだん考えることが必要じゃなくなってくるというか、“もっと自由になりたいな”という感じになって。ここにいるみなさん(松、満島、高橋)も役なのか本人なのかわからなくなる感覚に陥るのがすごく心地よくて。それが坂元さんの罠なのかもしれないとドキドキしながら演じています」
プライベートではから揚げにレモンをかけますか?
松たか子「から揚げにレモンはかけない派です」
満島ひかり「から揚げはまとめてじゃなくて1個ずつかけたいです」
高橋一生「から揚げは一緒に食べる人に合わせます(松&満島は顔を見合わせて爆笑。“女心がわかっている”と言われて、ため息混じりに)じゃ、それでいいでしょ!(笑)」
松田龍平「から揚げは……その人に任せます。どっちでもいいんです。でも、相手の人がかけなかったら、“やっておいたほうがいいかな”と思ってかけちゃいますね。でも、相手がかけない派の人ですごく怒られたりして……。そういうことで人の人生は変わってしまうかもしれないという怖さを描いたドラマです」
最後の質問の意味がわからないと思う人が大勢いると思うが(最後2つは筆者による質問でした)、これは第1話を見ればわかる仕掛け。第1話を見てから、あらためて4人の答えを読み返してみてください。
TBSドラマ『カルテット』は1月17日(火)夜10時スタート。
(大山くまお)