最終回「IQ246〜華麗なる事件簿」結局何が言いたかったのか、超絶展開に最後まで唖然
放送開始当初は、これまでのパブリックイメージをくつがえすような衝撃的過ぎる織田裕二の役作りばかりが気になっていた。
見続けているうちに、裕二のキャラクターは気にならなくなり、むしろ愛おしくさえ思えるようになったのだが、そうなると「完全犯罪」と言ってるわりにはユルユルな殺人トリックが気になるように。
そしてドラマ終盤には、思わせぶりで面白そうな設定がバンバン登場してきたものの、広げるだけ広げた風呂敷をちゃんとたためるのかが心配に……。
そんなこんなで遂に最終回を迎えた日曜劇場『IQ246〜華麗なる事件簿』(TBSテレビ系・日曜21:00〜)。
……たためなかったね、風呂敷!
第9話のレビューで書いた「最終回でちゃんとこの伏線を回収してくれるのか!?」というポイントのみならず、これまでに出てきたものの放置されていた設定も、そのままほったらかし状態。
別の意味で「まだ終わらないでぇ〜!」と思わされてしまった。
それにしても、
・沙羅駆(織田裕二)とマリア・T(中谷美紀)の過去の因縁
・沙羅駆を殺しに来た賢正(ディーン・フジオカ)の過去
・御前様って何者なの?(なんかエライ人らしいけど……)
このくらいは最低限、ちゃんと説明してもらいたかった……。
こんなに謎を残したまま終わっちゃうなんて、脚本が決定的に破綻しているか、続編が決まっているか、どっちかとしか考えられないよ!
じゃあ、『IQ246』はつまらないドラマだったのかというとそんなこともなく、毎回楽しく見てはいたんだけど。
なぜならこのドラマ、設定とキャスティングはバツグンに面白そうなのだ。
・織田裕二演じるIQ246の主人公と、中谷美紀演じるIQ300の犯罪者が頭脳バトルを繰り広げる。
・織田裕二の護衛係を務めるのは、少々おバカでかわいい女子警察官・土屋太鳳。
・ディーン・フジオカ演じる執事は、美形で格闘技の達人、さらに殺し屋だったっぽい過去までもっているミステリアスな男。
この他にも、
IQはまったく受け継いでいないけど、とりあえず巨乳で美少女な織田裕二の妹(新川優愛)。
政財界や警察上層部ともつながっている謎めいた元・執事(寺島進)。
過去に恥をかかされた織田裕二に恨みを抱いている警視庁捜査一課管理官(稲垣吾郎)。
拳法の達人のホームレス(花王おさむ)。
日本を裏で操っているアヤシくて悪〜い大物権力者(井上真樹夫)……などなど、濃厚で魅力的なキャラクターが続々と登場する。
このドラマ、ヒットしそうでしょ? 視聴率が24.6%くらい行ってもおかしくないよ!
しかし、ヘタに要素を盛りだくさんにし過ぎてしまったがために、個々に見ると面白そうな設定&キャスティングが、どれもこれも中途半端な扱いになってしまっていた。
面白半分に事件を解決する天才(織田裕二)と、それに恨みを抱く刑事(稲垣吾郎)のバトルなんて、これだけで1クールドラマが作れそうじゃない?
せっかくこの時期に稲垣吾郎が魅力的な役で出演しているのに、ほぼチョイ役で終わってしまったというのは何ともモッタイナイ。
最終回単体で考えても、
銃をバンバンぶっ放す機動隊と素手で戦うおディーン様の格闘シーンにウットリしたし、沙羅駆をかばって銃弾を受けた和藤奏子(土屋太鳳)の姿にはちょいと泣かされてしまった。
そして、碁盤の上に毒薬の混ざったカプセルを置き、お互いに飲んでいくラストバトルは緊張感があって、思わず手に汗を握ってしまった(何でこんなことしているのかは分からなかったけど)。
……とまあ、カッコイイっぽいシーン、感動的っぽいシーンは沢山あって、なんとなーくいい話を見ていたような気持ちにはなったのだが、まるで知らないドラマの総集編を見ているかのように話がポンポン進んでしまい、要は何が言いたいドラマだったのかはよく分からないまま終わってしまったという印象だった。
沙羅駆とマリア・Tの戦いだったはずなのに、いつの間にか「本当に汚くて怖いのは犯罪者ではなく権力者」みたいな話にスリ代わっていたし、「ヒマだヒマだ」と天才的頭脳を持て余してのんきに殺人事件の謎を解き明かしていたのに、ドラマ終盤になって急に「天才過ぎてこの世界に希望が持てない」みたなことを言い出すし……。
最終的には、毒薬を飲んで死にそうになっていたマリア・Tを助けて、「殺人衝動を抱くとIQが犬並みに下がってしまう」首輪を装着した上で、みんな一緒に暮らすことになってハッピーエンドって……な、なにその終わり方!?(「ヒマだヒマだ」と言っていた沙羅駆に、天才的な話し相手ができてヒマじゃなくなったってこと?)
お願いだから、もうちょっと要素を整理してくれっ!
マリア・T要素を思い切ってなくしちゃって、完全に1話完結で、天才が難解な事件の謎をズバズバ解き明かすという形式でも十分面白いドラマになったんじゃないだろうか。
または、一般人の殺人事件などの要素はカットして、最初からマリア・Tと天才 vs 天才のバトルを全面的に繰り広げる話でもよかったろう。
身勝手で汚い権力者たちと戦う天才のドラマでもいいし、世界に希望を持てなかった天才が気のいい凡人たちと触れあうことで希望を見いだすというドラマでも……。
ああ、こう考えると本当に、面白くなる要素をギュウギュウに詰め込み過ぎてとっちらかってしまったドラマだったんだなぁ。
もちろん、それもこれもシーズン2や映画に向けた壮大な伏線を張っているんだとすれば納得できるし、このとっちらかった設定をまだまだ活かすことができるんだけど……。
せっかく見慣れて愛おしくなってきた織田裕二の変な演技、これだけで終わらせてしまうのはもったいない。
沙羅駆の最後のセリフ「私はあきらめが悪い!」に、続編への期待をしたいところだ。
(イラストと文 北村ヂン)
見続けているうちに、裕二のキャラクターは気にならなくなり、むしろ愛おしくさえ思えるようになったのだが、そうなると「完全犯罪」と言ってるわりにはユルユルな殺人トリックが気になるように。
そしてドラマ終盤には、思わせぶりで面白そうな設定がバンバン登場してきたものの、広げるだけ広げた風呂敷をちゃんとたためるのかが心配に……。
……たためなかったね、風呂敷!
第9話のレビューで書いた「最終回でちゃんとこの伏線を回収してくれるのか!?」というポイントのみならず、これまでに出てきたものの放置されていた設定も、そのままほったらかし状態。
別の意味で「まだ終わらないでぇ〜!」と思わされてしまった。
それにしても、
・沙羅駆(織田裕二)とマリア・T(中谷美紀)の過去の因縁
・沙羅駆を殺しに来た賢正(ディーン・フジオカ)の過去
・御前様って何者なの?(なんかエライ人らしいけど……)
このくらいは最低限、ちゃんと説明してもらいたかった……。
こんなに謎を残したまま終わっちゃうなんて、脚本が決定的に破綻しているか、続編が決まっているか、どっちかとしか考えられないよ!
設定&キャスティングだけ見ると名作ドラマの予感しかしないのに!
じゃあ、『IQ246』はつまらないドラマだったのかというとそんなこともなく、毎回楽しく見てはいたんだけど。
なぜならこのドラマ、設定とキャスティングはバツグンに面白そうなのだ。
・織田裕二演じるIQ246の主人公と、中谷美紀演じるIQ300の犯罪者が頭脳バトルを繰り広げる。
・織田裕二の護衛係を務めるのは、少々おバカでかわいい女子警察官・土屋太鳳。
・ディーン・フジオカ演じる執事は、美形で格闘技の達人、さらに殺し屋だったっぽい過去までもっているミステリアスな男。
この他にも、
IQはまったく受け継いでいないけど、とりあえず巨乳で美少女な織田裕二の妹(新川優愛)。
政財界や警察上層部ともつながっている謎めいた元・執事(寺島進)。
過去に恥をかかされた織田裕二に恨みを抱いている警視庁捜査一課管理官(稲垣吾郎)。
拳法の達人のホームレス(花王おさむ)。
日本を裏で操っているアヤシくて悪〜い大物権力者(井上真樹夫)……などなど、濃厚で魅力的なキャラクターが続々と登場する。
このドラマ、ヒットしそうでしょ? 視聴率が24.6%くらい行ってもおかしくないよ!
しかし、ヘタに要素を盛りだくさんにし過ぎてしまったがために、個々に見ると面白そうな設定&キャスティングが、どれもこれも中途半端な扱いになってしまっていた。
面白半分に事件を解決する天才(織田裕二)と、それに恨みを抱く刑事(稲垣吾郎)のバトルなんて、これだけで1クールドラマが作れそうじゃない?
せっかくこの時期に稲垣吾郎が魅力的な役で出演しているのに、ほぼチョイ役で終わってしまったというのは何ともモッタイナイ。
続編への大いなる伏線だと信じたい
最終回単体で考えても、
銃をバンバンぶっ放す機動隊と素手で戦うおディーン様の格闘シーンにウットリしたし、沙羅駆をかばって銃弾を受けた和藤奏子(土屋太鳳)の姿にはちょいと泣かされてしまった。
そして、碁盤の上に毒薬の混ざったカプセルを置き、お互いに飲んでいくラストバトルは緊張感があって、思わず手に汗を握ってしまった(何でこんなことしているのかは分からなかったけど)。
……とまあ、カッコイイっぽいシーン、感動的っぽいシーンは沢山あって、なんとなーくいい話を見ていたような気持ちにはなったのだが、まるで知らないドラマの総集編を見ているかのように話がポンポン進んでしまい、要は何が言いたいドラマだったのかはよく分からないまま終わってしまったという印象だった。
沙羅駆とマリア・Tの戦いだったはずなのに、いつの間にか「本当に汚くて怖いのは犯罪者ではなく権力者」みたいな話にスリ代わっていたし、「ヒマだヒマだ」と天才的頭脳を持て余してのんきに殺人事件の謎を解き明かしていたのに、ドラマ終盤になって急に「天才過ぎてこの世界に希望が持てない」みたなことを言い出すし……。
最終的には、毒薬を飲んで死にそうになっていたマリア・Tを助けて、「殺人衝動を抱くとIQが犬並みに下がってしまう」首輪を装着した上で、みんな一緒に暮らすことになってハッピーエンドって……な、なにその終わり方!?(「ヒマだヒマだ」と言っていた沙羅駆に、天才的な話し相手ができてヒマじゃなくなったってこと?)
お願いだから、もうちょっと要素を整理してくれっ!
マリア・T要素を思い切ってなくしちゃって、完全に1話完結で、天才が難解な事件の謎をズバズバ解き明かすという形式でも十分面白いドラマになったんじゃないだろうか。
または、一般人の殺人事件などの要素はカットして、最初からマリア・Tと天才 vs 天才のバトルを全面的に繰り広げる話でもよかったろう。
身勝手で汚い権力者たちと戦う天才のドラマでもいいし、世界に希望を持てなかった天才が気のいい凡人たちと触れあうことで希望を見いだすというドラマでも……。
ああ、こう考えると本当に、面白くなる要素をギュウギュウに詰め込み過ぎてとっちらかってしまったドラマだったんだなぁ。
もちろん、それもこれもシーズン2や映画に向けた壮大な伏線を張っているんだとすれば納得できるし、このとっちらかった設定をまだまだ活かすことができるんだけど……。
せっかく見慣れて愛おしくなってきた織田裕二の変な演技、これだけで終わらせてしまうのはもったいない。
沙羅駆の最後のセリフ「私はあきらめが悪い!」に、続編への期待をしたいところだ。
(イラストと文 北村ヂン)