「べっぴんさん」60話。どうなる年の差カップル

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連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第10週「商いの聖地へ」第60回 12月10日(土)放送より。
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり


60話はこんな話


大島社長(伊武雅刀)の助言で、大急委託販売残り3日間に、商品を増やしたことで、大急はじまって以来の
売上を達成したすみれ(芳根京子)たち。大島に正式に出店しないかと持ちかけられる。
一方、紀夫(永山絢斗)は、いよいよ開催される新企画「大人のための洋裁教室」の場で、緊張のあまり倒れてしまう。

昭和23年の12万円の価値


すみれたちが稼ぎ出したのは12万円。目標は4万円だったので3倍も稼いでしまった。すごい。
このレビューで何回か参照している[戦後値段史年表](週刊朝日編)によると、昭和23年の都知事の給料が3万円。その4倍を10日間でと思うと恐れ入る。ちなみに、江戸前寿司一人前(並)は30円なので12万円あったら4000人前も食べられる計算だ。あと、絵の具(12色入り)は81円。アルミのお弁当箱にいっぱい絵が描けそうだ。

少女小説のようだ


大急がキアリスに興味をもったのは、社長の奥さん(前田美波里)が夫の大島にキアリスで購入した商品とショップカードを見せたからだった。それについて最初は黙っていて、10日間のお試しを経て、正式に出品しないかと言いに来るサプライズ展開は、不幸な身の上の主人公が謎の人物に助けてもらう「あしながおじさん」や「小公女」などに代表される少女小説の定番。すみれがお嬢様なので「小公女」のほうがより近い。独特の淡い光のなかで夢のようなお話がされるので、よけいに少女小説感が増す。

少女小説のようだから?


「ショウケースを減らすんじゃなく商品を増やしてみたらどうかな」
「出会うはずのないお客様と商品との出会いがある」
「黙って過ぎても3日、懸命に過ぎても同じ3日や」
 などと社長に背中を押され、すみれたちは商品を追加で作り、そのときの心境を語り(菅野美穂)が「彼女たちを突き動かすのはお客さんに対する思いと、ほんのちょっぴり芽生えはじめた商売人としてのプライドなのでした」と優しく解説する・・・のはいいけれど、どうも朝ドラは「お客さんに対する思いと、ほんのちょっぴり芽生えはじめた商売人としてのプライド」の部分を具体的に描かず、漠然としたイメージでやり過ごしがち。外に働きに出る女性ばかりではないから、仕事のディテールを描き過ぎない配慮なのか。ただ、少女小説と思えば、それでもいいかも。

年の差カップル 女性が上バージョン


これまで、うすうす武(中島広稀)の気持ちは感じられたが、この回ついに「明美(谷村美月)さんのこつが好きじゃ」「いっしょにあったけえ家庭を作りたいんじゃ」と告白。だが明美と、15歳(だったのね、公式サイトより)武は年齢が少なくとも7、8歳離れているので、明美は相手にしない「ありがとう あーうれし おやすみ また明日な」とあしらってしまう。
これは「逃げ恥」の百合ちゃん(石田ゆり子)と風見(大谷亮平)パターン。
「逃げ恥」も「べっぴんさん」も年下男との恋が気になる!  良子の夫・勝二(田中要次)が15歳上で、すみれと紀夫くんと君枝(土村芳)と夫・昭一(平岡祐太)は夫婦の年齢差がさほどない。明美が年下夫をもつことになったら4種4様、結婚のケースが(紀夫は婚約者、昭一は恋愛結婚という違いもある)が描かれることになるから面白そう。
(木俣冬)