コンクリートジャングル東京。この街に生きる女性にはそれぞれにストーリーがある。金曜美女劇場は、そんな東京に根をはる女性たちの生き様から、東京のダイバーシティーっぷりを表現する企画である(偉そうかって)。

SNS全盛の昨今、そこから次世代のクリエイターが次々と生まれている。その一つがインスタグラマーである。自身のファッションやライフスタイルを発信し、多くのフォロワーを抱える彼女たち。

今回、紹介するまよよさんは、現役早大生でありながら、読者モデル、インスタグラマー(フォロワーは軽く1万人越え)という、まさに次世代のファッションアイコンである。

まよよ、一体、君はどんな人なのだ。



まよよ/大学生、インスタグラマ-

待ち合わせに指定されたのは、原宿の『BROOKS CAFE』。彼女が「ほぼ、毎日のようにいるんです!」というカフェだ。現れたまよよは、ボブのヘーアスタイルと、厚くセクシーな唇が印象的。ファッショニスタというイメージからつっけんどんな性格だと思いきや、親しみやすさを覚える。まず、聞いてみよう、まよよって本名?

「そうなんです。私、中国と日本のハーフで、本名が馬余余(まよよ)。ひっくり返したら、ヨーヨーマです(笑)」

世界的チェリストを引き合いに出し、はにかむ顔にはあどけなさが残る。出身は埼玉の鴻巣。中国人の父と日本人の母の元、生を受けた。現在は早稲田大学商学部の学生さん。女性ファッション誌やヘアモデルなどの活動も行っており、インスタグラム上には熱烈なファンもいる。やっぱり、もともとファション好きだったの?

「いえ、全然そんなことなかったんです。中学高校は勉強してばっかりだったし、大学2年までは公認会計士の勉強をしたり、英語サークルに精を出したりで、ファッションなんてほとんど気にしていませんでした。上下スウェットで登校、みたいな(笑)」



聞けば、まよよはかなりの才女(本人は否定するが)。小学校で勉強にハマり、中学1年から3年のテストでは、一度を除いてオール一位。高校でもぶっちぎりの成績で他を圧倒し、浦和の神童と呼ばれたとか呼ばれてないとか。

「こんな名前なんで、小さい頃いじめられてたんです。で、見返すには勉強しかないなと思って一心不乱に頑張りました。そうしたら、成績もどんどん上がっていって、次第に周りに人が集まってきたんです。『勉強を教えて!』って。その頃の私にとって、勉強が唯一のアイデンティティだったんです」

そんな挫折知らずのまよよだが、大学受験では人生ではじめての挫折を味わう。東京大学の理1に臨むが、あえなく撃沈。「全てを出し切ったのに、ダメだった。もうこれ以上勉強しようがないと思った」と当時の絶望ぶりを振り返る。

そこで、滑り止めで受けていた早稲田大学に入学。話が行ったり来たりで恐縮だが、ここで先ほどの“ファッション興味ないっす話”に戻る。


0からファッショニスタになれた理由とは?



「大学2年の時に、諸事情で原宿に住むことになって、そこでスカウトされたのがきっかけでした。サロンモデルだったんですが、それまで、原宿とは無縁の生活をしていたんで、そんなキラキラした世界に興味が湧いて、“やってみようかな!”って」

そこで、サロンモデルの世界ではインスタグラムのフォロワー数が人気の指標になっていることを知り衝撃を受けたそうな。フォロワーの数が指標となり、ギャラや仕事の数が違ってくる。商学部でマーケティングを勉強していたまよよは、ここに学んだ知識を活用した。

「面白い世界だなーと思って、せっかくなら自分のフォロワーを増やしてみよう!と思ったんです」

まず、彼女が始めたのは3C分析。ビジネスマンにはお馴染みの、「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の調査である。市場を調べ、人気のインスタグラマーはどのような写真を投稿し、イイネを獲得しているのか。そして、自分のウリは何かを見極め、戦略を立てた。

「常にPDCAサイクルを回し、写真のフィルターやアングルを調整。いま、私の代名詞になっている#me#bob#girlなど、どんなタグを付ければ検索されやすいかを分析。21時から22時の投稿が一番イイネが付きやすい……などなど、とにかく、どうしたらフォロワーが増えるかを検証していました」

「コレ見てください」と、まよよのタイムラインを見ると、「ここまでは白枠を入れてたんですけど、写真の迫力が失われるので取りました」「写真の色味を寒色にしたのはココから」などと、その軌跡がよくわかる。

結果、一年足らずで一万人のフォロワーを抱えるようになり、以前以上にモデルの仕事も増えた。インスタグラマーとしてメディアに露出する機会も増え、まさにしてやったりな状況。やっぱ、将来はこのままモデルに?

「いえ、普通に就職しますよ! やっぱりモデルって若いからできる部分もあるし、私はもっとやりたいことがいっぱいあるので。まさに、いま就職活動中なので、自己分析ばっかりやってます(笑)明日も最終面接なんです!」



志望する企業は広告代理店や商社など、どこも日本のトップオブトップ。トライリンガル(日本語、英語、中国語)であり、海外経験も豊富(小さい頃から親に連れられ訪れた国数は数知れず)、美貌を持ち、ファッショニスタとしても頭角を表している。これは、もう引く手数多でしょう。間違いなく。そんなまよよのやりたいことって? その夢を教えて!

「ふたつあって、一つは中国との架け橋になること。もう一つは、モデルへの道を切り拓いてくれた美容業界に対して恩返しがしたい。いずれにしても、世界を舞台にして日本の良さをアピールするような仕事に就きたいです」

思わず「面接かよっ!」とツッコミを入れるぐらいに熱い想いを語ってくれたまよよ。その力強すぎる瞳には確固たる意思が宿っていた。ファッション好きな(普通の)インスタグラマーかと思いきや、内に秘めたる情熱は軽く日本を超え、世界を超え、宇宙にまで届きそうな勢いだ。

“勉強、美貌に知的好奇心…。こんな才女がどこにいよう。神様、やっぱり不公平”。ここに格言生まれたり。

※なお、今回の写真はすべて“まよよフィルター”がかけられています



※前回に続き、またもや身の上話が面白すぎて、いつもの質問が入らなかったので簡潔に※

――お酒好き?
――好きなんですけど、弱いんです!カルーアミルクが好きです!(マジかっ!)

――男性関係は?
――前にサークルの人3人から同時に告白されたことがあったり……まあ、色々ありますよね(遠い目……)。高良健吾や岡田将輝くんが好きです!


取材協力
BROOKS CAFÉ
渋谷区神宮前6-4-1 原宿八角館ビル1F,B1F
03-5778-3077
9:00〜21:00 無休