多くの中国人旅行客が日本で爆買いしていることについて、中国では日本製品の質が高く、魅力的なのは日本人に「匠の精神」があるためであるという主張をよく見かける。日本人が真面目に丁寧に良い製品を作り出すことを表現している言葉だ。(イメージ写真提供:123RF)

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 多くの中国人旅行客が日本で爆買いしていることについて、中国では日本製品の質が高く、魅力的なのは日本人に「匠の精神」があるためであるという主張をよく見かける。日本人が真面目に丁寧に良い製品を作り出すことを表現している言葉だ。

 「匠の精神」という言葉は基本的に良い意味で用いられているが、何事も良い面と悪い面があるように、中国では「匠の精神」によって日本の製造業が衰退した可能性があるとの主張も見られる。

 中国メディアの今日頭条はこのほど「過度な匠の精神が日本の製造業の衰退を加速させた」と題した記事を掲載した。

 記事は、日本の産業コンサルタントの意見を引用し、日本の家電が世界で売れなくなった理由として、「ある日本製品は性能が良く、寿命も中国製の約1.5倍と長いが、価格は中国製の10倍に達する」と主張、消費者は結果として価格の安い中国製を選ぶようになったと指摘している。

 物があふれる時代を迎え、消費者はコストと便益を比較して消費を行うようになった。つまりコストパフォーマンスが優れた製品が売れることになるが、近年は日本の製品は過剰性能であるとの指摘も多く、その代表例が日本の携帯電話やパソコンだとされる。消費者が求めていない機能を盛り込んだり、不要なアプリケーションをプリインストールして高い価格で売りつけたりすることは、消費者の利益と反する行為だ。

 匠の精神を発揮し、立派な製品を作ることが間違っていると指摘しているわけではないが、記事は「匠の精神を過剰に発揮した製品は価格が上昇し、顧客から選ばれなくなってしまう」と指摘。過剰品質に代表される過剰な「匠の精神」は高品質の製品を生み出すかも知れないが、品質や機能が過剰であっては価格面で「良い品」とは言えないことを指摘している。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)