エコでクリーンなイメージがある電気自動車(EV)。しかし、よくよく考えてみればその動力源となる電力を生産する際、原料によっては排気ガスが出されることに思い当たる。とくに、今も石炭による発電が大きな割合を占めている中国においては、熟慮せねばならない問題と言える。(イメージ写真提供:123RF) 

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 エコでクリーンなイメージがある電気自動車(EV)。しかし、よくよく考えてみればその動力源となる電力を生産する際、原料によっては排気ガスが出されることに思い当たる。とくに、今も石炭による発電が大きな割合を占めている中国においては、熟慮せねばならない問題と言える。

 中国メディア・証券日報は19日、「日本の専門家が新エネルギー車政策を攻撃 EVは少しも排気ガスを削減しない」と題した記事を掲載した。記事は、中国のエコカー(新エネルギー車)推進政策が「EVとプラグインハイブリッド車(PHV)」に限定されていることに対する議論、EVとPHVが排気ガス削減の役割を担えるのかについての論争が絶えないと説明。

 そのうえで、マツダの「スカイアクティブエンジン」の父・人見光夫常務執行役員が、現在の発電方法が変わらないことを前提とした場合、内燃機関の実用燃費を約25%改善すれば二酸化炭素の排出量がEVと同じレベルに達するとの見解を示すとともに、カタログ燃費ではなく実用燃費のデータをエコロジーの判断基準として用いる必要性を訴えていると紹介した。

 人見氏のコメントは中国を特定してのものではない。記事も「実は各国の新エネルギー車政策に対する指摘なのだ」としているが、その一方で「各国」のなかに中国が入っていることを強く認識したようだ。北京航空航天大学交通科学・工程学院の徐向陽副院長が「現在のEV補助が航続距離を基準にしているのは非合理的。電力消費量を基準とするのが妥当」、「国の補助は技術進歩を支援するものであるべき。ガソリン車にしろハイブリッド車にしろ、政府は技術路線に口を出してはいけない」と語ったことも併せて伝えている。

 エコカー推進の目的は本来非常な明確なはずだ。すなわち、環境汚染を最大限減らすこと。何を指標にして目標をどこに持ってくるかという議論は絶えないが、何らかの「しがらみ」によって可能性ある技術を「門前払い」することは避けなければならない。かの「名言」を借りるならば、白猫と黒猫のほかにも三毛猫やトラ猫たちにも思う存分ネズミ捕りを競わせるべきだろう。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)