佼成学園vs東海大菅生

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逆転の佼成学園!東海大菅生の隙を見逃さず8強入り!

先発・梅田大樹(佼成学園)

 立川市立川公園野球場での第3試合は、佼成学園と東海大菅生の対戦。3回戦、しかも強豪校同士の顔合わせとあり、強い西日が差す中、多くの人が球場に集まり声援を送った。

 佼成学園は1回戦で国士舘を7対3の逆転で破ると、2回戦も立教池袋にリードを許す展開ながら中盤から終盤に打線が爆発、10対4で逆転勝利を収めている。諦めない姿勢と流れを生んだらしっかりと捕まえる集中力を持っている。一方の東海大菅生は1回戦で創価と対戦。延長15回引き分け再試合を8対0で制し、2回戦では日大二を相手に終盤までもつれた末4対3と逆転勝ち。エース・伊藤 壮汰の執念の投球をはじめ、チーム力で勝ち上がってきた。

 そんなドラマチックな大会を送っている両者、この日は佼成学園・梅田 大樹、東海大菅生・伊藤 壮汰というエース同士の対戦。立ち上がりはお互いバックの堅守もあり静かな展開になった。

 試合が動いたのは4回だった。4回表、東海大菅生は先頭の落合 宏紀が四球を選び出塁。4番・伊藤 壮汰がヒットで続き、5番・金子 佳樹がバントで送り一死二、三塁とキッチリとした攻撃を見せる。この流れに乗りたい東海大菅生、続く打者は6番・深澤 祐太。深澤は右方向へタイムリーを飛ばし、落合が生還。お手本のような攻撃で東海大菅生が先制に成功する。続く7番・本橋 実生の打球は佼成学園サード・真田 和輝が素晴らしい反応を見せダイレクトでキャッチ。さらなる得点は許さないと、佼成学園はこの回を1点に抑え込む。

 最少失点で切り抜けたことが功を奏し、その裏、佼成学園は早速反撃に出る。一死から4番・中嶋 瞭がヒットで出塁。盗塁を決め二死二塁となったところで、先ほど見事なキャッチを見せた6番・真田 和輝が右中間を破るタイムリースリーベースを放ち、同点に追いつく。さらに主将の7番・矢本 海星がタイムリーで続き、佼成学園が一気に逆転に成功。逆転の佼成学園の力を見せつける。

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先発・伊藤壮汰(東海大菅生)

 だがこのままで終わるわけにはいかない東海大菅生は、5回、6回と得点圏にランナーを送り込んでくる。それをなんとか凌ぐ佼成学園。じりじりとした展開はもう一波乱を予感させた。

 だが、その波乱は思わぬ形で起こる。6回裏、先頭の3番・川口 諒太郎がエラーで出塁し、4番・中嶋が送り一死二塁。続く5番・山崎 佑介のゴロを東海大菅生一塁手が弾いてしまい、川口が一気に本塁へ。ここまで堅守を見せてきた東海大菅生の守備が綻びを見せ、貴重な追加点を許してしまう。

 こうなると、形成は一気に佼成学園へ。東海大菅生は伊藤が執念の投球で更なる失点は防ぐものの、ここまで粘り強さを見せてきた攻撃陣が急に淡白な打撃になり、あっさりと凡退するようになってしまう。

 そして迎えた最終回、ある意味この試合を象徴するような場面が訪れる。9回表、佼成学園はこの回先頭の東海大菅生6番・深澤をエラーで出塁させてしまう。深澤が放った打球は飛んだ位置が難しい内野への小フライではあったが、取れる打球だった。もらったエラーでこの試合を優位に進めてきた佼成学園だけに、一つのエラーの重さはよくわかっている。すかさずマウンドへ集合する佼成学園ナイン。だが深刻そうな顔は無く、良い意味でリラックスを出来ているような様子だった。マウンドからそれぞれの守備位置に戻る際、エラーをしてしまった真田が気持ちいいくらいの笑顔で、しかし申し訳なさそうに改めて「スマン!」と謝り、エース・梅田は笑顔で応える。スタンドの部員たちもその様子を厳しくも暖かく見守り、笑いに変えて声を送る。この明るさが今年の佼成学園の強さの一因かもしれない。結果、佼成学園は後続を断ち逃げ切りに成功。ベスト8へと駒を進めた。

 次の相手は東海大高輪台。奇しくもまたも東海大の縦縞ユニフォームが相手となる。どんなチーム相手でも、佼成学園はその明るさが消えなければ良い戦いが出来そう。そんな予感と可能性を感じさせる戦いぶりだった。

(文=青木 有実子)

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