【三年生座談会】東京成徳大深谷高等学校(埼玉) 前編
今夏、3年生部員17人だけで「根拠のある奇跡」を持って甲子園出場を目指した東京成徳大深谷。春は春季埼玉大会でベスト4の成績。最後の瞬間まで戦い抜いた東京成徳大深谷のこれまでのあゆみを振り返り、選手たちに野球部での取り組みを語っていただいた。
成徳大深谷のこれまでのあゆみを振り返る!「3年生しか部員がいない」「練習グラウンドを失った」、そんな中で春 は「県大会ベスト4(チーム歴代最高)」。他に例を見ない彼らの経歴だが、果たしてどのような取り組みや努力を続けたのか。今回は、レギュラーメンバー全員に集まっていただき、野球部での3年間に迫った。
高橋 滉斗(主将・遊撃手・背番号6)1年生の頃から試合に出場する、頼れるキャプテン。座談会中、選手が話をしてくれている補足や説明を随時行ってくれて、とても気配りのできる選手。
落合 大地(投手・背番号1)「何をするのにも飛び抜けている」(河田君)、「元気が一番良かったので、よく助けられた」(吉田君)、「人に言う前に自分でやるタイプ」(二宮君)、チームのみんなが認めるムードメーカー的な存在で、監督から「良い意味で、今時いない子」なのだとか!
吉田 龍弘(捕手・背番号2)監督から「熱い男」といわれるほど。昨年の夏から試合に出始め、今夏の所沢北戦(2回戦)までずっと安打を放っていた頼れる副主将。
後藤 健太(一塁手・背番号3)普段は大人しく見られがちだが、野球では打撃力と守備力は抜群!「ファーストが(後藤選手ではなく)違う選手だったら、間違いなくチーム力半減くらいしている」と泉名監督が語るほど信頼されている選手。
河田 達也(二塁手・背番号4)「(入学当初)可愛い顔をしていて、声が低いので印象的でした(笑)」(吉田君)、責任感が強くリーダーシップを発揮する場面が多々あった。
川俣 貴広(三塁手・背番号5)春の県予選で放った「ポテンヒット」で勝利したことから、チームの快進撃のきっかけとなった。「あのヒットがなかったら初戦敗退だった」と選手たちが語るように勝負強い選手。
佐野 裕太(左翼手・背番号7)「当たれば、ゴルフでゴルフボールを打ったような打球を飛ばす」(高橋君)、「打者としては一番良いバッターだったかもしれない」と泉名監督が語るほど。
二宮 聖(中堅手・背番号8)守備範囲の広い外野手。トレーニングをしっかりと行う選手で、「(打球が)抜けると思った当たりやフェンス際でも捕ってくれる」とチームメイト絶賛!
江花 大尉(右翼手・背番号9)「学校では本当に静か」と選手たちが口を揃える。みんなが見ていない時に一番練習をしている選手で、常に何事にも全力で手を抜かない。トレーニングでの取り組みや、一番バットを振っていたと誰もが認める努力家。
[page_break:失敗から多くのことを学んだ17人の苦悩]失敗から多くのことを学んだ17人の苦悩――これまでの野球部での活動を振り返って、どんなことを思いますか?
高橋 滉斗主将(東京成徳大深谷高等学校)
落合 今までを振り返ると、とにかく夏休みが辛かったです。新チームになってからは、自分たち3年生17人だけだったので、何をやっても上手くいかない時期でした。
高橋 毎日同じことを繰り返して。ご飯食べて、練習行って、帰ってきて風呂入って、朝起きて……精神的に本当に辛かった思い出です。夏がきつかったのは、みんな体力面というよりかは精神面ででしたね。
二宮 17人しかいないから、何も上手く進まないんですよ。しかも怒られることが練習内容じゃなくて、片付けとか練習以前のことを毎日のように指摘されていたんです。
河田 普通にやればできることができなかったなあ。今思えば『何でこんなことに気づかないの!?』ってことが多々ありましたね。逃げの行動に出まくっていました。現実逃避しまくっていたんですよね、僕ら。でも、あの頃の経験が大きかったと今なら思えます。
一同 うん!
吉田 あと、ユニフォームの事件!試合の前日にミーティングをやらずに解散したことがあったんです。試合で、どのユニフォームを着るのか確認しなくて。自分が、『公式戦のユニフォームじゃないもので大丈夫』って連絡を回したんです。
高橋 そしたら、次の日監督さんたちが公式戦用のユニフォームを着てきて。『やばい!どうする、どうする!?』ってなったよね。結局、監督さんたちは練習試合用のユニフォームを持ってきていて。
――確認していないことを見越されていての監督さんの行動だったんですね。
落合 そこから、ちゃんと確認することをするようになったんですよ、遅かったんですけど。たくさんの失敗から僕ら学んできましたね。
選手たちが語るように、辛い事も多々あった中でも、常に前を向き何事にもプラスに捉えてきた。前編では、これまでのあゆみについて動画や選手の話を中心に振り返ってきた。後編では、引退してからの彼らの本音について紹介する。
(取材・構成=佐藤 友美)