【三年生座談会】星稜高等学校(石川)【後編】

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 前編では 谷川 刀麻選手(主将・投手)、佐竹 海音選手(副主将・外野手)、福重 巽選手(副主将・外野手)、竹谷 翔吾選手(外野手)の4名に昨夏の決勝、そして今夏の大会について振り返っていただきました。後編では引き続き4選手に高校野球を振り返っていただき、また現役の球児たちへのメッセージも頂きました。

星稜野球部だったからこそここまで上手くなれた

座談会の様子(星稜高等学校)

―--高校時代を振り返って、印象に残る練習はありましたか?

佐竹 冬場に一日2000本のティーバッティングを1週間続けるメニューがあるんですけど、あれはきつい。

福重 2000本ティーな。あれはほんまにいや。

佐竹 どんなに頑張っても半日はかかるもんなぁ。あとは「ケンカノック」ですね。ノッカー1人対選手2人で20分間ひたすら内野ノックを受けるんです。

竹谷 あれはきつい。

福重 いややった。

谷川 たしかに。これが一番きつかったかも。

福重 1球捕るごとに交代なのですが、捕れなかったら延々と続く。

谷川 内野だけでなく、外野もピッチャーも全員やるんですよ。打つペースがとにかく早くて。

竹谷 しかも捕れるか捕れないかのギリギリの打球ばかり。ずっと飛び込んでるんで口の中が砂まみれになる(苦笑)。

福重 二人しかいないからすぐに自分の番になるもんな。

佐竹 平日に週3回。それを3週間にわたってやるんです。その間にも土日は遠征とか試合をばっちりつめているので、ノック、遠征、ノック、遠征という感じの3週間。思い出したくないくらいにきつかったです。

――「星稜野球部で高校野球生活を送ったからこそ、ここまでうまくなれた」という感覚はありますか?

竹谷 ありますね。

福重 練習試合などで全国のいろんな強豪チームとも対戦が出来るという経験の積み重ねは、やっぱり大きいと思います。

谷川 愛工大名電との練習試合はすごく印象に残ってます。全員身体がデカくて。当てただけでフェンスオーバーという感じで。とにかくすごかった。

竹谷 県立岐阜商の高橋 純平はやっぱり速かったよね。

佐竹 やっぱり違うなと思いました。

福重 あれでもケガで調子が悪かったらしいし(笑)。でも、甲子園大会のテレビ中継を観てたら練習試合をやったことのあるチームがよく出てるんですよ。「こことやったな。ここには勝ったな。このピッチャーとも対戦したな」なんて思いながら、高いレベルで日頃の練習試合をやっていたんだなぁと。

竹谷 チーム内の競争レベルも高いし、対戦相手のレベルも高い。そんな中で自分のレベルが上がっていった部分は間違いなくあったと思います。

[page_break:もしも高校野球をやり直せるならば]もしも高校野球をやり直せるならば

 4人に「今、振り返ってみて、現役時代にもっとこうすればよかったなと思うことはありますか?」という問いをぶつけてみたところ、佐竹、竹谷、福重の手が挙がった。

佐竹 自分はバッティングの調子が悪くなるほど練習量を増やしてしまうタイプだったんですよ。でもいくら増やしても、結果が出ないことが多くて。結果が出ないから余計にいろいろと考え込んでしまって、余計に泥沼にはまっていく悪循環に陥ってて。

 そこで今年に入ってからは思い切って、自主練習をあえてせずに、すぐに家に帰る日を意識的に作ってイメージトレーニングだけにとどめる日を増やしたんです。そうしたらいい結果が出るようになった。やっぱり練習のやりすぎも、疲れがたまる一方で逆効果なのかなと思いましたし、うまくいっていない時こそ、おいしいものを食べたりしてリラックスすることも大事なのかなと。もう少し早く、こういう考え方ができていたら、高校野球生活でもっと結果が出せたのかなと思ったりします。

座談会の様子(星稜高等学校)

――それまでは頑張りすぎるあまり、疲れがたまった感覚があった?

佐竹 そうですね。無理をしていた部分は多々あった気がします。でも思い切って練習量を減らす日を作ってみたら、気分転換ができる上に、体のキレも戻る感覚があった。頑張らないといけない時に練習量を減らすことは、勇気がいりましたけど、その方が結果が出たので、自分にはそういうやり方が合っていたのかなと。

竹谷 僕は佐竹とは逆で元々あまり残って自主練をやるタイプじゃなかったんです。でも、2年の秋に背番号一桁をもらっておきながらバッティングの調子を崩して、試合にあまり出れなくて。そこで、自主練習の時間に残って、室内練習場でバッティング練習をひたすら毎日やってみようと思い、続けてみたら、結果が出せて。そこから調子がいい期間をずっと保てたので、もっと早くから毎日残って打っていたらよかったと思ってしまいましたね。

福重 今思うと、自分は監督の顔色をうかがいながらプレーしてたところがあったなと思うんです。監督に求められていることを考えるのは別にいいと思うんですけど、知らず知らずのうちに「怒られないようにするには今どうしたらいいか」と考えてしまうことも結構あって。その結果、プレーが小さくなって失敗してしまい、結果、怒られてしまうという、自分としては一番避けたいこともよく起こったりしたので…。「思い切ってやった結果、悪い結果が出たら仕方がない!」という気持ちでプレーしていたらもっといい結果が出せたのかなと思ったりします。

[page_break:星稜戦士からのメッセージ]星稜戦士からのメッセージ座談会の様子(星稜高等学校)

――最後に、現役の高校球児にメッセージをいただけますでしょうか。

竹谷 調子が悪くなった時に、こうすればよくなるという自分に合った練習法を早く見つけること。自分は2年生の途中まであまりそういうことを深く考えてこなかったので、もっと早くから意識しておけば不調期間をもっと短くできただろうし、その分、結果も残せたと思うので。

福重 自分を過大評価してはだめだと思うけど、かといって過小評価しすぎてしまうと、「自分はどうせこの程度しかできない」と決めつけるようになってしまう。自分を勘違いすることなく、冷静に客観的に見る力を養うことがすごく大事なのかなと思います。

佐竹 野球を楽しんでほしいですね。そのためには結果を気にしながらプレーしないこと。結果を気にしている時点で既に野球を楽しめているとは言えないので。「今まで練習でやってきたことを発揮してやる!」という気持ちでプレーすることが野球を楽しむことにつながると思います。

谷川 これは野球を楽しむということにもつながると思うんですけど、自分はバッティングの調子が悪くなったりすると、練習でも試合でも「ボールに当たったらいいや!」というふうにハードルを落とした楽な気持ちでフルスイングするんです。そんな気持ちでフルスイングしているうちにだんだん感覚が戻ってきて、気づけば調子が戻っている、というのが僕のやり方。現役の高校球児には「調子が悪い時ほど、開き直って、大胆にいけ!」と伝えたいです。

 大学進学後も野球を続ける予定の4人。大好きな野球と向き合い、追求する日々はまだまだ終わらない。

(取材・写真=服部 健太郎)