春日部共栄vs狭山ヶ丘
先発のエース藤野（狭山ヶ丘）
関東大会最後の切符を掴むのは春日部共栄かそれとも狭山ヶ丘か。最後はチャンスを確実に物にしたチームが関東大会へ駒を進めた。
まずは、両チーム前日を踏まえ打順やスタメンの修正、変更があった。狭山ヶ丘は昨日8番を打っていた岡野を2番に上げ、2番だった濱川を3番に入れる。またやや当たりの止まっている増島を6番に下げる。対する春日部共栄は前日おそらく左投手対策で入っていた右打者6番・矢田に代わり、左打者濱田がスタメンに入る。また、昨日当たっていた又吉を9番から7番へ上げる。
狭山ヶ丘はエース藤野が昨日に続き先発のマウンドへ向かう。対する春日部共栄は、昨日の調子や疲労度を考慮したかエース大道ではなく背番号11の鈴木が先発し試合が始まる。
まずは1回表、狭山ヶ丘は鈴木の立ち上がりを攻め、先頭の河村が死球で出塁すると、続く岡野がきっちりと送り一死二塁とする。だが、続く濱川のセンターへのヒット性の当たりをセンター山��に好捕され、さらに二塁走者川村が飛び出し併殺となり先制機を逃す。
さらに狭山ヶ丘は2回表、先頭の永田がレフト線への二塁打で出塁すると、続く濱田がきっちりと送り一死三塁とする。ここで6番・増島がセンターへきっちりとフライを打ち上げるが、次の瞬間、強肩センター山��から矢のような返球がキャッチャーのミットに収まる。当然三塁走者は自重し釘づけとなる。後続も打ち取られ、またしても先制のチャンスを逃す。
すると、春日部共栄は2回裏一死から磯田がセンター前ヒットで出塁すると、続く濱田が右中間へタイムリー三塁打を放ち1点を先制。さらに二死後8番・伊藤もセンター前タイムリーを放つ。春日部共栄が最初のチャンスを確実に物にし、2点を先制する。
春日部共栄はさらに3回裏にも一死から2番・木村が死球で出塁すると、続く関谷 将貴がレフト前ヒットを放ち一死一、二塁とする。さらに4番・山本も四球を選び一死満塁とするが、後続が倒れ追加点は奪えない。
関連記事・2015年秋季大会特設ページ・あの学校の取り組みは？！埼玉県の野球部訪問を一挙紹介！
二番手のマウンドに上がったエース大道（春日部共栄）
このあたりから両チーム凌ぎあいの様相を呈す。藤野は昨日もそうであったが、中盤以降は緩い変化球をうまく使いのらりくらりと打者を抑えていく。一方、先発の鈴木は相手の拙攻に助けられているにも関わらず、毎回四死球を出すなど、なかなかリズムに乗れない。業を煮やした本多監督は4回で鈴木を諦め、5回からはエース大道をマウンドへ送る。
この日の大道は、立ち上がりからストライク先行のピッチングを見せ、まずは無難に5回を三者凡退に切って取る。これで一安心かと思われたが、今度は6回守備が乱れる。
6回表、狭山ヶ丘は一死から岡野と濱川のセカンドゴロが連続で送球エラーとなり一死一、二塁とすると、4番・永田が四球を選び労せず一死満塁とチャンスをもらう。だが、続く濱田は併殺に倒れ同点のチャンスを逸する。このあたりまでの春日部共栄は、四球にエラーと何かまるで昨日の試合のリプレーをみているようであった。
こうなると、流れは狭山ヶ丘に傾き始める。7回表、狭山ヶ丘が反撃に出る。一死から7番・中島がショートへの内野安打で出塁すると、ベンチは続く柿岡との所でエンドランを敢行する。これが見事に決まり一死一、三塁とすると、9番・藤野が初球スクイズを決め狭山ヶ丘が1点を返す。
だが、その裏春日部共栄もすぐに反撃に出る。この回先頭の木村がライト前ヒットで出塁すると、一死一塁で4番・山本を迎えた所で、狭山ヶ丘ベンチは昨日同様左腕の安田へスイッチする。だが、この日は安田が誤算であった。山本を四球で歩かせると、二死後6番・濱田にも四球を与え二死満塁と傷口を広げてしまう。ベンチはたまらずライトへ回っていた藤野を呼び戻すが、頼みの藤野が7番・又吉にレフト前タイムリーを浴び、春日部共栄に貴重な追加点を与えてしまう。
これで楽になった大道はその後相手の反撃を無得点に抑え、3対1で春日部共栄が狭山ヶ丘に勝利し関東大会最後の切符を掴み取った。
まず狭山ヶ丘だが、藤野は連投ながらよく投げた。それだけに打線が何とかしたかったのだが、この日はチャンスこそ作りながらも決め手を欠き4併殺と最後まで打線のつながりを欠いた。ただここまでの戦いぶりは見事であった。打線は強力で守備も堅く、藤野、安田の投手陣は強豪校が相手でもある程度抑えられる目途が立ったのは大きい。あとは、状況に応じたバッティングや走塁など細かい部分での上積みがあると、いよいよ夏の主役に躍り出ることがあるかもしれない。彼らの今後に期待したい。
一方の春日部共栄だが、関東大会出場こそ決めたが、この日も四球とエラーという課題の部分が出てしまった。決して素直には喜べないであろう。だが、打線は新チーム結成時から振れており、勝負強さもある。幸い関東大会本番まで期間が残されているだけに、課題は早急に修正したい所であろう。
（文＝南 英博）
関連記事・2015年秋季大会特設ページ・あの学校の取り組みは？！埼玉県の野球部訪問を一挙紹介！
