7日、都内で初の売上高10兆円超えを達成した中間決算を発表するトヨタの鈴木専務(撮影:吉川忠行)

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トヨタ自動車<7203>は7日、2007年3月通期の連結決算見通しを上方修正し、本業のもうけを示す営業利益が期初予想に3000億円上積みした前期比17.1%増の2兆2000億円になると発表した。日本企業として初めて2兆円超えを達成する見通し。

 売上高は前期比10.2%増の23兆2000億円、最終的なもうけを示す純利益は同13%増の1兆5500億円になるようだ。通期の想定為替レートを1ドル=115円、1ユーロ=145円と、従来からそれぞれ5円、10円の円安に修正。為替のプラス影響と、年間販売見通しを期初から2万台上積みした847万台に上方修正したことが業績向上に奏功すると見込んでいる。

 また、同日発表した06年9月中間期の連結決算は、売上高が前年同期比15.3%増の11兆4718億円、営業利益が同35.1%増の1兆934億円、純利益が同36.2%増の7772億円といずれも過去最高を更新し、増収増益となった。中間期での売上高10兆超え、営業利益1兆円超えも同社として初めて達成した。

 北米、欧州を筆頭にアジア以外の全地域で販売が好調で、販売台数は前年同期比8.1%増の414万5000台と中間期としての過去最高を更新した。

 利益面では、営業面の努力で1500億円、円安効果で1900億円とプラス要因が重なり、諸経費の増加など960億円の減益要因を吸収した。また、ピーク時の3年前に年間3000億円程度だった原価改善効果は、アルミ・銅など価格高騰の影響で中間期は400億円になり、通期でも900億円にとどまる見通しとなった。

 地域別の営業利益は、国内は主力工場からの輸出増にともなう利益増や円安効果で前年同期比77%増の6844億円、ヤリス(日本名ヴィッツ)・RAV4が好調だった欧州では同65%増の660億円と大幅増益となったが、北米では販売は好調なものの金融事業での金融スワップ評価損が響き同7%減の2505億円と減益となった。

 同日、東京都港区の東京プリンスホテルで開いた記者会見で、鈴木武専務は中間決算について「全社で続けている足もと固めの成果が着実に出た」と評した。また、通期で初の営業益2兆円超えの見通しを受け「もう一段上への株主還元が必要になると理解しているが、企業の社会的責任は本質的に変わらない。従来同様にお客様第一で謙虚な企業活動を続ける」との考えを示した。

 さらに、最大市場の北米事業への依存体質を記者席から問われると、鈴木専務は欧州や中南米で収益力が伸びていることを例示し、「中長期的に見るとバランスとして北米依存は脱却しつつある」と答えた。今後の経営課題については「拡大する市場で品質を確保し、コスト競争力のあるクルマを提供していく体制を作り続けることができるか」とし、人材育成、的確な資源配置などを挙げた。【了】

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