ライブドア(LD)事件で証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた元社長、堀江貴文被告(33)の第15回公判が16日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれ、ライブドアマーケティング(LDM、元バリュークリックジャパン)元社長、岡本文人被告(38)=分離公判中=に対する弁護側の反対尋問などが行われた。

 弁護側は、岡本被告が堀江被告のLDM黒字化指示について、「“架空売り上げを計上してでも黒字化しろ”という意味だと思った」と証言していることについて追及。弁護側が「『無理です』と言えばいいことではないか」とただすと、岡本被告は「第2四半期もメディア(事業部)から架空売り上げをつけている。だから“粉飾しろ”と聞こえた」と答えた。

 粉飾決算に関して岡本被告は13日の主尋問で、2004年7月12日に行われた社内会議の様子を証言している。それによると、LDM(当時はバリュークリックジャパン)の04年12月期決算の第2四半期(4−6月)について、赤字の報告を受けた堀江被告が「なんで赤字なんですか。こっちも協力しますから黒字にしてください」と言い、メディア事業部の責任者にバリュー社への発注を指示した。岡本被告は「もう終わっている期だから、粉飾と認識した」と述べていた。

私的流用は関わりを否定

 LD元取締役、宮内亮治被告(39)=分離公判中=らが女性コンパニオン派遣会社「トライン」の買収に絡み、LD株売却益の一部を私的流用した問題については、岡本被告は「知らない」と関わりを否定。宮内被告と中村長也被告(39)=同=が香港に設立したペーパーカンパニー「PTI」のことも「知らない」と答え、検察側の取り調べでも「聞かれたことはない」と証言した。

 ライブドア・ファイナンス(LDF)から出版社「マネーライフ社」を買収した際に企業価値を不正に過大評価したとされる点について、小坂裁判長が尋ねると、岡本被告は「相対で決めたことなので、不正ではない」と回答。ただ、買収価格にLDFからのコンサルタント代を含めた点については「本当は経費に計上しなければいけなかった」と認めた。

 ダークスーツに水色のネクタイ姿で法廷入りした岡本被告は、質問に対してハキハキと答え、言葉に詰まることもあまりなかった。証言の際に弁護側が「生の記憶で証言してくれ」と注文すると、岡本被告は「“生の記憶”って何ですか」と逆に質問。「たとえば、会議で被告人(堀江被告)がとんでもない格好をしていたとか、そういうことだ」と答えると、岡本被告は「とんでもない格好はしていなかったですね」と述べ、傍聴席が笑いに包まれる場面もあった。【了】

■関連記事
LDM黒字化指示に「まじかよ」(10/13)
中村証言の信憑性を追及(10/10)
中村被告も私的流用認める(10/4)