世界禁煙デーのポスター。(提供:厚生労働省)

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世界禁煙デーの31日、厚生労働省は東京都千代田区の科学技術館で記念シンポジウムを開催した。6月6日までの禁煙週間にともない、厚生労働省は、「やめたい人を手助けする禁煙支援」をテーマに掲げ、全国で講演会やパネル展示会などを開催する予定だ。

 同シンポジウムでは、政府のたばこ対策や禁煙治療について担当者や医師などが講演。06年4月から始まった、禁煙治療への保険適用の話題に注目が集まった。

 同省の調査によると、2004年時点で日本人の喫煙率は26.4%。習慣的に喫煙している人の割合は男性で約4割、女性で約1割で、男性30代では約6割が喫煙している。03年と比較すると、男性の喫煙者は減少しているが、女性は増加しているという。

 同省は、医療給付費抑制を目指す医療制度改革の一環として、06年4月から禁煙治療を公的医療保険給付の対象とした。禁煙治療導入後8年目以降には、医療費削減額が禁煙治療費を上回り、15年目には1846億円の黒字になると試算されることから、禁煙治療を保険適用内にして、医療費削減を目指す。

 6月1日からは、ニコチン依存症治療のための「ニコチンパッチ」も診療報酬の対象となり、大きな話題となっている。

 対象となる患者は◆スクリーニングテストでニコチン依存症と診断◆「1日の喫煙本数×喫煙年数」が200以上◆ただちに禁煙したいと希望し、禁煙宣誓書に同意―という3つの条件にすべて当てはまる喫煙者。大阪府立健康科学センターの増居志津子さんは「『ただちに禁煙したい』と思っているのは、大阪府の全喫煙者のうちたったの3%」と、条件の厳しさを指摘する。対象外の喫煙者は10割負担の自由診療による禁煙治療や簡単な禁煙アドバイスを受けることになる。

 日本大学医学部総合健診センターの高橋敦彦さんは同シンポジウムの席上、「もしも日本人全員が禁煙したら、計算上では、年間約8300人の虚血性心疾患患者の死亡が防げる」と話し、生活習慣病の予防につながる禁煙治療の必要性を強調した。【了】

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