6月10日シネマGAGA他全国ロードショー (C)2006 ギャガ・コミュニケーションズ

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 いつから女子も「萌える」ようになったんでしょうか? 気がつけばスーツに「萌え」、メガネに「萌え」、男以上に激しく萌えまくっている女子達。これは現代ならではの現象なのでしょうか。

 いやいや、これが実は60年代の女子もしっかりと「萌え」ていたみたいなんです。それもヘルメットをかぶったシャイなあんちくしょうに。太い眉毛に、涼しげeyes。そんなヘルメット男に街中の女子は熱視線。ヘルメット男は大きな仕事を成し遂げ、中には「ヒーロー!」と叫ぶ人もいて、街中に貼られたポスターに女子はうっとり萌えまくりだったとか。一体全体、どういうことなんでしょうか?

 実はコレ、かの有名な「3億円事件の犯人」のことなんです。1960年代に大きな事件として話題を呼んだ「3億円事件」。事件を詳しく知らなくとも名前くらいは聞いたことがある人も多いはず。

 事件をかいつまんで説明すると、企業の従業員ボーナス3億円を積んだ銀行の現金輸送車が、警察になりすました白バイヘルメットボーイにものすご〜くスムーズに乗っ取られてしまったという事件です。なんせ「離れろっ! この車には爆弾が仕掛けられている!」と言って輸送車から人を離れさせ、発煙筒を仕掛けたのだから、まさに演技派ですよ。役者です。当時の3億円といったら現在の価値にすると30億円ですよ!30億円!大金すぎますよね。しかも、誰も傷つけずこの大金を奪った上、その3億円に対しての保険には外国の再保険が掛けられていたために、結果として日本人は1円も損せず、事件の翌日には社員にボーナスが支給されたということです。

 実際、学生運動まっただ中のこの時代、政治問題に無関心な「ノンポリ」より、学生運動に積極的に参加している男性の方がモテたとか。当時の若者は、権威の象徴である「警察」や「銀行」のお粗末具合を暴いた「ヘルメットボーイ」を英雄として崇拝したことを考えると、これは立派な「萌え」現象だったと言えるのでは!?

 「3億を奪った犯人はさぞかし裕福な生活を送っているんだろうなぁ〜」と想像してみましたが、実は1円も使ってないとか。じゃあ、一体何のためにこの事件を起こしたのか、謎は深まるばかり。

 しかしながら、その当時、街中に貼られた犯人のモンタージュ写真、ヘルメットボーイがいかんともしがたいほどかっこいい。不謹慎ではありますが、萌えまくった女子陣は「大仕事を成し遂げた男の顔はたまらん」と共感したのかも? 白ヘルメットに白バイ、革のジャンパーというファッションもキマっています。現在では時効が成立しているものの、今だに判明しない犯人。一体犯人ってどんな人だったんだろう。

 趣味の妄想ですっかり頭がパンパンになってしまったのですが、この謎めいた完全犯罪・三億円事件がいよいよ映画化されます。その名も『初恋』。ん? 犯人は18歳の美少女なの? んな、アホな。と思うことなかれ。謎があるからドラマが生まれる。「萌え」なのか、「涙」なのか。この映画を見れば、1960年代という時代、そして「3億円事件」がもっと理解できるはず。6月公開のこの映画、どうぞお楽しみに!! (押木真弓/verb)

■関連リンク
初恋 - 映画『初恋』公式サイト
映画『初恋』公式ブログ - livedoor Blog
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