17日、衆院国土交通委員会の耐震強度偽装事件に関する証人喚問で答弁に立つマンション開発会社「ヒューザー」の小嶋進社長。

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耐震強度偽装事件で、衆議院国土交通委員会(林幹雄委員長)は17日午後、宅地建物取引業法違反の疑いが持たれているマンション開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋(おじま)進社長(52)を証人喚問した。

 ダークスーツの胸に緑色の証人リボンを付けた小嶋社長は午後1時45分過ぎ、第一委員会室に案内され、委員席に向かって一礼した後、緊張の面持ちで証人席に着いた。同社長は、報道カメラマンのフラッシュがたかれる中、瞑目するように身じろぎもせずに証人喚問が始まるのを待った。

 全員起立して阪神淡路大震災の犠牲者へ黙祷を捧げた後、同社長はゆっくりした調子で「宣誓書」を朗読。このとき「平成18年」を「平成17年」と読み間違うハプニングがあったが、朗読を終えて「宣誓書」に署名した。同委員会は、引き続き林委員長の総括質問で証人喚問に入った。

 証人喚問では◆小嶋社長が姉歯(あねは)秀次元建築士が行ったとされる構造計算書の偽装の内容をどの程度知っていたか◆「イーホームズ」に対して偽装発覚の公表を遅らせるよう圧力をかけたかどうか◆伊藤公介元国土庁長官との関係◆偽装が発覚したマンションの住民に対する補償の意図と能力―― などが質問の焦点になると思われる。

 証人喚問では、証人がうその陳述をした場合、議院証言法により偽証罪に問われ、3カ月以上10年以下の懲役刑を科される。

 耐震強度偽装事件では、これまでに姉歯元建築士とコンサルタント会社「総合経営研究所」の内河健所長、「木村建設」の木村盛好社長と篠塚明元東京支店長が証人喚問されており、指定確認検査機関の「日本ERI」の鈴木崇英社長と「イーホームズ」の藤田東吾社長、この問題発覚のきっかけとなった偽装を通報をした「アトラス設計」の渡辺朋幸社長らが参考人招致されている。

 同委員会は19日、「総研」の四ケ所(しかしょ)猛チーフコンサルタントや「平成設計」の山口時也代表取締役ら4人を参考人招致する予定。

 ◆宅地建物取引業法
 買い手が重大な不利益を被(こうむ)るような事実を故意に告げなかったり、事実でないことを 告げたりすると、1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

 ◆「ヒューザー」が扱った物件(国交省調べ1月16日現在)
 93件 姉歯設計事務所、木村建設が関与した物件
 62件 姉歯設計事務所、木村建設が関与していない物件(現在調査中)
 24件 偽装の報告があった物件
 
物件名所在地耐震強度
(竣工済み)
グランドステージ稲城東京都稲城市★0.33
グランドステージ八丁堀東京都中央区★0.41
グランドステージ東向島東京都墨田区★0.31
グランドステージ住吉東京都江東区★0.37
グランドステージ川崎大師神奈川県川崎市★0.30
グランドステージ弁天橋神奈川県横浜市★0.41
グランドステージ藤沢神奈川県藤沢市★0.15
グランドステージ下総中山千葉県市川市0.73
グランドステージ川口原町埼玉県川口市0.56
グランドステージ千歳烏山東京都世田谷区★0.34
グランドステージ町屋東京都荒川区0.66
グランドステージ豊田(仮称)東京都日野市0.60
グランドステージ溝の口神奈川県川崎市★0.39
グランドステージ江川神奈川県川崎市0.57
グランドベイ横浜神奈川県横浜市0.63
グランドステージ鶴見神奈川県横浜市0.62

(工事中・未着工)
セントレジアス船橋千葉県船橋市0.39
グランドステージ船橋海神千葉県船橋市中規模で損傷
グランドステージ竹ノ塚東京都足立区中規模で損傷
グランドステージ北千住東京都足立区中規模で損傷
グランドステージ町田東京都町田市中規模で損傷
(★震度5強で倒壊の恐れがある)
【了】

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