西堀健実と溝江明香のペアが、国内での今季初優勝を決めた

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 2014JVAビーチバレーボールシリーズA・グランフロント大阪大会は3日、グランフロント大阪うめきた広場(大阪市北区)などで男女決勝などが行われた。男子優勝は9月に韓国・仁川で行われるアジア大会代表の上場雄也・長谷川徳海組(フリー)。女子はワールドツアーから帰国し、今季国内初参戦の西堀健実(フリー)・溝江明香(アットホーム)組がアジア大会代表の草野歩(ミキハウス)・藤井桜子(日体大)組を下し優勝を収めた。

 西堀・溝江組の今シーズンはここまでワールドツアーを転戦。4月に行われた福州オープン(中国)で昨年の世界選手権覇者のXue Chen(中国)のペアに勝ち、弾みをつけると、ワールドツアーで本戦に進む大会が増え、アナパオープン(ロシア)では9位、アジア選手権では4位に入った。海外で着実に力をつけ、ようやくの凱旋帰国となった。

 本大会では対戦する全チームが初顔合わせ、海外と国内のスタイルの違いに戸惑う面もあり、セットを失う試合もあった。しかし「試合の中で修正ができている」と溝江が話すようにプレイに自信と余裕が見られ、確実に勝ちを収めていった。

 技術的には西堀のレシーブと溝江の攻撃力は昨シーズンより一段上がっており、さらに「攻撃が同じパターンになってしまったり、同じミスを繰り返さないために、わかっていることも活字にしている」(西堀)と意識付け。タイムアウト時にはベンチでメモに書き込み、見返す姿も見られた。

 決勝でも、第1セットでは決められていた藤井の攻撃に焦ることもなく、第2セットには完全にシャットアウト。草野・藤井組を自滅に追い込み、ワールドランキング、日本ペアトップの力を見せつけた。

今後に向け、溝江は「まず国内でしっかり勝つこと。私たちはまだまだ成長できる」と言い、西堀は「海外の強豪も勝てない相手ではないことがわかった。ただしそれには、やるべきことをやらなくてはいけない」と話した。

 兵庫県淡路島、茨城県大洗と巡ってきたビーチバレーボールの国内トップツアーだが、第3戦は大都市・大阪の中心部、JR大阪駅北口のオープンスペースで催された。「ビーチバレーボールをPRする大会」と関係者。観戦は無料だった。その場所は、1日の乗車客が43万人を数える駅前での開催であり、3日間の大会うち2日が雨模様と、あいにくの天候だったが、多くの人が足を止め、コートを二重、三重に取り囲む人垣は途切れることはなかった。

 しかしビーチバレーボールを初めて見る方が多かったにも関わらず、長時間、傘を差し立ったまま見ていた観衆にどれだけ「PR」ができただろうか。いまアタックを決めたのはどんな選手なのか、どんなプレイが得意なのか、インドアのバレーボールとの違いはどこなのか。無料で配布されていたプログラムにもほとんど記載はなく、場内のアナウンスでも十分には理解できなかっただろう。「何点取ればいいの?」「どっちが強いの?」「フェイントはダメなんだっけ?」そんな声を観客席から何度も聞いた。

 多くの観客が集まったことは成功だったが、果たして「PR」の方は成功したのだろうか?
(取材・文=小崎仁久)

主な結果は次の通り。

□女子準決勝
浦田(景)・永田0(19-21/16-21)2草野・藤井
西堀・溝江2(18-21/21-13/15-12)1幅口・村上

□女子決勝
西堀・溝江2(21-18/21-14)0草野・藤井

□男子準決勝
西村・土屋2(21-15/24-22)0井上・高橋(史)
上場・長谷川2(21-13/14-21/17-15)1村上・高橋(巧)

□男子決勝
上場・長谷川2(21-17/21-16)0西村・土屋

▼ 海外で結果を出し始めている溝江明香(左)と西堀健実

プレーの随所に、余裕と自信が感じられた


▼ 写真は、優勝を飾った西堀

すでにベテランの域に入ったが、技術やフィジカル面も成長を続けている


▼ 決勝で敗れた藤井桜子

ツアー第1戦は優勝していたが、本大会では西堀・溝江に攻撃を封じられた


▼ アジア大会日本代表の幅口絵里香(左)と村上めぐみ

今シーズンは好調さを維持していたが、準決勝で西堀・溝江組に敗れた


▼ メインコートのグランフロント大阪うめきた広場は、JR大阪駅北口に設置された



▼ 試合をじっくり観戦しないまでも足を止める人は多かった



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