京都の名店「美山荘」の中東久人さんがプロデュースする和バル「OKU」でも「西京なべ」

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トマト鍋やカレー鍋など、毎年出てくる"トレンド鍋"。今冬は、「プチ贅沢鍋」やあまちゃん効果の「ウニ鍋」なども出ていますが、門上武司食研究所のフードコラムニスト、門上武司さんによれば、2013年冬のトレンドは京都発の「西京なべ」です。

白みそは、よけいなうま味を加える必要もない

今月、「和食 日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に認定されました。近年、世界で関心が高まる日本料理ですが、これを契機にますます注目を集めることになりそうです。その話題の中心となるのが京都で、そのご当地鍋ともいえるのが「西京なべ」です。

ベースは、京都の伝統的なみそであり「西京味噌」とも呼ばれる白みそ。白くて甘い、はんなりとした京都らしい味わいが特徴で、最近では、この「西京なべ」を出す料理店が京都のみならず東京でも増えています。

今冬、京都の名店「美山荘」の中東久人さんがプロデュースする、和バル「OKU」の新メニューにも「西京なべ」が登場しました。味噌の甘みに合うホクホクした百合根が丸ごと入っています。

「白味噌は、大豆や米麹の質もいいので、それだけで料理ができます。よけいなうま味を加える必要もないし、鍋にしても、後は素材と構成を考えればいいだけです」と、中東久人さん。家庭で作る場合も意外に簡単にできそうです。

イタリアンレストランでも西京なべ!都内の西京なべブーム

西京なべは、和食を飛び出しイタリアンレストランでも提供を開始しています。

恵比寿にあるイタリアンダイニング「Leaf Cafe&Dining」では、タジン鍋を使った肉がメインの「鶏肉団子と根菜のクリーム西京なべ〜クリームニョッキを添えて〜」と、魚介がメインの「魚介たっぷりブイヤベース風西京なべ〜オレンジピールの香り〜」(各1800円〜)をこの冬限定でスタート。どちらもおいしさ、見た目、ヘルシーさの三拍子がそろった鍋で女性に好評なのだとか。

一見完全な洋風鍋ですが、味の根底で決め手となっているのはどちらも西京白味噌。伝統の深い味わいを合わせることで和洋折衷の味わいを実現しています。

渋谷の隠れ家的居酒屋「しぶやくん」では、1人前500円のワンコイン「西京鍋」(注文は2人前から)を提供中。自慢のおでん出汁と、西京白味噌をベースにしたスープが効いた鍋で、トッピングの自家製チーズ豆腐が決め手といいます。

ほかにも、祐天寺の「ジュエクルール」、青葉台の「ビゴーレ」など、和食に限らず都内に徐々に広がりつつある「西京なべ」。食べにいくのはもちろんのこと、前出の中東久人さんのコメント通り、自宅で鍋パーティーにも合うので、今冬は、原点回帰ともいえる「和」の鍋でほっこり鍋を楽しんでみては?