試合 :CL 決勝トーナメント 決勝戦
開催日:2013年5月25日
結果 :バイエルン・ミュンヘン勝利
スコア:「1−2」
得点者:マンジュキッチ ギュンドアン(PK) ロッベン

【 ボルシア・ドルトムント 】

FW:レヴァンドフスキ
MF:グロスクロイツ ロイス ブラスチコフスキ
MF:ベンダー ギュンドアン
DF:シュメルツァー スボティッチ フメルス ピシュチェク
GK:ヴァイデンフェラー

【 バイエルン・ミュンヘン 】

FW:マンジュキッチ
MF:リベリ ミュラー ロッベン
MF:シュヴァインシュタイガー ハビ・マルティネス
DF:アラバ ダンテ ボアテング ラーム
GK:ノイアー

肌感覚としても手の内を知り尽くしている同士のCL決勝戦というのは難しさがあったのではないかと思う。しかし、一方では、CLの決勝戦であるという特別感から来るプレッシャーを必要以上に受けること無く、お互いに、いつも通りのサッカーができていたのではないかとも思う。特に、ボルシア・ドルトムントについては、そこがプラスに作用していたのではないだろうか。ドルトムントはゲッツェを欠いていたが、ゲッツェ不在の影響はあまり感じなかった。しかし、今季のブンデスリーガでの成績と内容、CLでのここまでの戦いぶり、お互いの戦力差、そこを考えれば、ドルトムントが耐えて勝機を見い出すような試合展開になるのは自然の流れで、GKヴァイデンフェラーの好セーブ連発で後半15分まで耐えたのは、ドルトムントにとっては悪く無い流れだったと思う。

勝敗の鍵を握っていたのは、ドルトムントがロッベンとリベリを封じられるかどうか、バイエルン・ミュンヘンがレヴァンドフスキとロイスを封じられるかどうか、という事だった。サイドでの守備に少し弱さがあるドルトムントがロッベンとリベリを封じられなければ苦しくなってしまうし、カウンター攻撃の成否の大部分を担っていたレヴァンドフスキとロイスをバイエルン・ミュンヘンが封じられなければ苦しくなってしまう。そして、後半15分、リベリとロッベンで左サイドを崩したバイエルン・ミュンヘンが先制し、後半23分、ロイスがPA内でダンテにファールを受けて獲得したPKをギュンドアンが決めてドルトムントが同点に追い付く、という展開へ。派手さは無かったが、お互いのGKの高いパフォーマンスを筆頭に、堅実な組織力と個々の選手の質の高いプレーが輝いていた試合だったように思う。

そして、ドイツ勢同士の今季のCL決勝戦の勝負を決めたのはロッベンだった。後半44分、リスタート、ゴール前へのロングフィード、左から中央へ入っていたリベリが落としたボールを右から中央のゴール前へと斜めの動きで走り込んで来たロッベンが受けてシュート。好セーブを連発していたGKヴァイデンフェラーを軽くいなすようにして左足でボールを流し込み、これでスコア「1−2」としたバイエルン・ミュンヘンが優勝。ノイアー、ダンテ、ハビ・マルティネス、マンジュキッチ、という新戦力を得て確実にパワーアップしてきたバイエルン・ミュンヘンが、それ以前からバイエルン・ミュンヘンを牽引してきたリベリとロッベンの活躍によって優勝という、これはまさにバイエルン・ミュンヘンのファンにとっては垂涎もののビッグイヤー獲得となったのではないかと思う。

また、準優勝となったボルシア・ドルトムントに対しても、その大健闘と大躍進には最大限の賛辞を送りたい。ユルゲン・クロップ監督が中心となって多くの若手選手を育て、豊富ではない資金力でありながら、レアル・マドリードのような強豪クラブを倒してCLの決勝戦まで進んだという事は、CLで準優勝したという事は、とても大きな意義と価値のある事だったと思う。おそらくそこは、優勝したバイエルン・ミュンヘン以上に、ビッグイヤーの獲得という事以上に、これからも大きく高く評価される事になるのではないだろうか。バイエルン・ミュンヘンは来季の監督にジョゼップ・グアルディオラが内定している。ボルシア・ドルトムントはマリオ・ゲッツェのバイエルン・ミュンヘンへの移籍が決まっている。来季のバイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムントがどうなるのか、更なる飛躍が待っている事に期待したい。