少し前のことになるが、日本代表がヨルダン代表とアウェーで戦った試合後、日本から駆けつけたサポーターの一部が、痴漢や窃盗の被害にあったようだ。日本に勝った喜びが導火線となり、暴徒と化したヨルダンサポーターにスタジアム外で囲まれ、一時は身の危険を感じるほど緊張が走ったという。ケガ人などは出ず、実害は盗られた携帯電話だけだったというから、不幸中の幸いだったね。
 
今年はブラジルでコンフェデ杯も開催され、今回のヨルダン遠征のように日本人サポーターも多く詰めかけることになるだろう。ブラジルはよく、治安が悪いと言われる。僕はブラジル人だから、現地の様子についてよく聞かれるのだけど、せっかくだからここでコンフェデ杯に行こうと思っている皆さんにアドバイスしてみたい。
 
危険回避の要素としては、次の3つだ。
 
1つ目は、個人で行くのか、ツアーで行くのか、という選択。一人旅の素晴らしさは否定しないけど、ブラジルの知識に自信がないのなら、ツアーを選択したほうがいいと思うね。空港からホテル。ホテルからスタジアム。ツアーであればツアー会社のアテンドがあるだろう。移動時のリスクを抑えられるのは大きいよ。
 
2つ目は、日本とは違う国だという認識を持つこと。スリや置き引きは、隙のある人間がやられる。ブラジルに限らず、パリやローマ、マドリッドだってそれは同じだろう。旅の回数が多いかどうかも関係ない。僕の知り合いのベテランのカメラマンは、W杯のたびに何かスられて帰ってくる。隙があるんだろうね。
 
ブランド物のバッグをあからさまに持っていたり、財布の端が見えるようにお尻のポケットに入れていたり、日本では平気でも、外国ではそれが隙になる。いつも気を抜かないこと。これが基本だね。
 
それから3つ目は、危険な地域、時間を知っているかどうか。つまり、ちゃんとした情報を仕入れていくことだ。ブラジルの治安は確かに良くないかもしれないけど、別にブラジルだけが特別じゃない。世界のどこにでも危険な場所、時間、タイミングというのはあって、そこに足を踏み入れれば危険にさらされるんだ。日本だって、歌舞伎町やそこらにボッタクリバーがあるよね。知っていたら入らないでしょ? 情報が大事というのはそういうことだよ。
 
以上3つを挙げてみたけど、何も特別なことではないし、僕やその他外国人からしてみれば普通のことだよ。ちゃんとした情報を持って、ボケッとしていなければ問題ない。ブラジルに怯える必要はないよ。