記憶に残るプエルトリコ代表と言えば、やはりメジャー最多の2417試合でマスクをかぶったイバン・ロドリゲス。37歳で出場した09年大会では20打数10安打、2本塁打、6打点で最優秀捕手にも選出された。

 過去2大会、そんなロドリゲスの控えを務めていたのが、今や大リーグを代表する強肩捕手に成長したヤディア・モリーナ(カージナルス)。1次、2次Rとも、突破が決まった後のドミニカ共和国戦は休養したが、他の5試合にはすべて「4番・捕手」で出場。19打数7安打で打点こそ記録していないが、イタリア戦、米国戦では絶妙な右打ちでチャンスを広げて得点に結びつけた。

 メジャーで盗塁阻止率47・9%を誇り、5年連続ゴールドグラブの強肩に対し相手チームも恐れをなすのか、彼がマスクをかぶっている時に走ったのは2度のみ(成功が1、失敗1)。機動力を使いたい日本にとっては、最も注意が必要な人物だ。

 一方、通算3000安打をマークし、チャリティー活動でも知られるロベルト・クレメンテの母国でもあるプエルトリコだが、大リーガーの供給地としては衰退傾向にある。実際、06年大会では22人もの現役選手が入っていたが、今回はわずか10人しかいない。

 昨年開幕時の出身地別大リーガーも日本の13人よりも少ない11人。米国自治領で、90年からドラフト会議の指名対象となったことで、キューバの亡命選手のようにフリーに大型契約を結べずに野球人気の低下につながっていると言われる。

 ロドリゲス監督は、昨年のドラフトでプエルトリコ出身内野手が「いの一番」で指名されたことを挙げ、「野球人気は回復しつつある。優勝を持ち帰ってかつての野球王国を取り戻そうではないか」と語った。

 下馬評を覆し、ベネズエラ、米国の撃破。3度目の番狂わせは、果たして…。

 ◆プエルトリコ 米自治領。西インド諸島に位置し、面積は8870平方キロ。人口は374万4000人(2012年推定)。スペイン語と英語が公用語。首都はサンフアン。米・スペイン戦争で1898年に米領となり、1952年に内政自治権を獲得。野球は盛んで、毎年オフにウインターリーグが行われている。=随時掲載=