24時間テレビにつきまとう「チャリティー」問題

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「24時間テレビをノーギャラにしろとか言っている奴がいるが、 そうなったらテレビに映りたいだけの貧乏芸人しか集まらんぞ。そんな24時間テレビ、誰が見るんだ?」。フリーライターの赤木智弘氏のツイッターでの発言が話題になっている。




まず、「チャリティーイベント」「ケータイチャリティー」「チャリティーグッズ」と言うように、24時間テレビのサイトを見ると頻出する「チャリティー」という言葉について、確認しておこう。大辞林には「収益を社会事業や救済運動に寄付する目的で行う、各種の事業や催し。慈善」とある。




では、「慈善」とは何か。大辞泉によると「情けや哀れみをかけること。特に、恵まれない人々や被害にあった人々に経済的な援助をすること」と書かれている。今さらながら「慈善」という言葉の意味が「上から目線の自己満足」なものだと分かったが、その件については置いておこう。




以上のことから、チャリティー番組である『24時間テレビ』は、番組の「収益」を、主に「恵まれない人々や被害にあった人々」を対象にした「社会事業や救済運動に寄付する目的」で制作された番組だということが分かる。したがって、「恵まれない人々や被害にあった人々」に対して「情けや哀れみをかけ」るような視聴者に、どれだけ番組を見てもらえるのか、そしてどれだけ「寄付する目的」のカネを集められるのか、が番組制作上の最大のポイントとなる。




多くの視聴者に見てもらう手段として、もっとも手っ取り早いのは、著名な芸能人をたくさん出演させることである。出演する芸能人がノーギャラかどうかなど、番組の目的にはまったく関係ない。ノーギャラでも出演する著名かどうか定かでない芸能人を集めて、番組を作った場合に集まるカネの額。そして、著名な芸能人を出演させ、集まった募金からギャラの額を引いたカネの額。ちょっと考えただけでも、後者の方が多いことは自明なのではないか。




目的を達成するために、できるだけ多くのカネを集めることが番組の主旨なのだから、著名な芸能人にギャラを払った上で「客寄せパンダ」として活躍してもらうのは、何の問題もないことだと筆者は思う。赤木氏の言っていることは、正論である。




「チャリティー」や「ボランティア」は、たいていの場合、カネを集める側の人物や組織が、自分らの生活を維持しながら行われる。スタッフが食えなければ、そもそも活動自体が成立しないのだから、当たり前の話である。カネを集める側も無償でやれ、などと無茶を言っても、カネなど集まらない。




ちなみに、筆者は「24時間テレビ」を見ない。著名な芸能人を見たいという欲求も、日本テレビの「慈善」事業に協力したいという欲求も、特にないからだ。見たい人は見ればいいし、協力したい人はすればいい。ただ、それだけのことである。




(谷川 茂)