帝国データバンクは2日、三光汽船(東京都千代田区)が7月2日に東京地裁へ会社更生法の適用を申請し、同日保全命令を受けたと発表した。負債は約1558億円。

 帝国データバンクによると、三光汽船は1934年(昭和9年)8月に設立。当初、内航および中国、朝鮮半島方面の近海航路を営み、戦後の再興を経て、基幹産業の発展を背景に専用船を主体に60年代以降、不定期船オペレーターとして世界有数の外航海運会社に成長した。しかし、73年のオイルショックに端を発した長期にわたる海運市況の低迷に伴い経営が悪化し、85年8月に負債約5200億円を抱え、神戸地裁(後に東京地裁へ移管)に会社更生法の適用を申請。当時、戦後最大の倒産として話題を集めた。

 その後、98年2月に更生債務残金165億円を繰り上げ返済し、更生手続きを終結。外航海上運送事業者として、ボックスシェイプ船、油送船、LPG船、オフショア船など、定期用船・運行受託船として185隻を所有(2012年4月時点)。大手鉄鋼メーカーや石油元売業者、商社などを得意先に、原油、穀物、鉄鉱石、液化ガスなどの輸送を手がけ、海運大手3社(商船三井、日本郵船、川崎汽船)に続く中規模海運業者として、2008年3月期には年収入高約2293億7700万円をあげていた。

 しかし、近年は市況低迷、燃料費の高騰などから経営環境が悪化。人員削減、資産売却、役員報酬の削減などにも取り組んだものの採算確保が難しく、資金繰りが悪化。2011年3月期の年収入高は約1255億8600万円にダウン、約157億8300万円の最終赤字となっていた。

 こうしたなか、今年3月9日に船主、造船所、海外金融機関に対し、同日以降に支払い期限が到来する支払い代金について繰り延べ要請を行う書簡を送付したのち、3月15日に事業再生実務家協会に対して事業再生ADRを申請。その後、全取引金融機関を対象とした第1回債権者会議を3月29日に開催し、事業再生案決議の債権者会議終了時(7月3日)までの借入金元本の弁済の一時停止について承認を得て、第2回債権者会議(6月1日)を開催。しかし、船主等利害関係者との協議に時間を要し、事業再生計画の策定が当初の予定よりも遅れたことから、第2回債権者集会で協議する予定であった議題を7月3日に継続協議する予定となっていた。