就任から2年連続最下位で、契約を1年残し解任された横浜(現横浜DeNA)の尾花高夫前監督(54)。「敗軍の将、兵を語らず」の格言通り、退任会見以降は沈黙を守ってきた。だが元指揮官が肌で感じた問題点を語ることは、暗黒時代に沈むチームやファンにとって、未来のための貴重な手がかりになる。コーチとしてともに戦った杉村繁氏(本誌専属評論家)の直撃に、「杉村の頼みなら…」と重い口を開いてくれた。(構成・笹森倫)

 −−志半ばでの解任。チームの成長にも手応えを感じ始めていたが…

 「野手も投手も2年でそこそこ下地はできた。投手は最後の2カ月間で、グッと伸びた。9、10月はチーム防御率が3・33と2カ月続けて安定していたから。人間でいうところの成長急進期に入ろうとしていた。野手も若い人にそこそこ、楽しみなのが出てきた。3年やったら、次の監督にはいい形で渡せた自信はあったね」

 −−1年目は土台を作るところから始めなければいけなかった

 「野手にしても投手にしても、もうちょっとちゃんとできるチームかと思っていた。『当たり前』のレベルが低い。強いチームではあり得ないが、自分の打席と関係ないときはベンチ裏に行ってたばこを吸ったりしている。それが当たり前と思っているから、そういうところから意識改革しなければいけなかった。『ベンチにいて応援しなきゃいけないんだよ』とか、子供に『お礼言いなさい』と教えるレベル。ギャップを感じたね。チームがガッと押してる状況でも、『オレはさっき打席に入ったばかりだから』『自分がプレーしてなかったらいいや』なんて、プロフェッショナルじゃない」

 −−リーグ3連覇の巨人から来て、ギャップは大きかったと思う

 「かといってオレが怒ったらおしまい。いかに選手が理解できるかに重きを置いて話した。たばこに毎イニング行くのが当たり前の段階から、2イニングに1回、3イニングに1回、グラウンド整備のときだけにしよう−という感じでね」

 −−「当たり前」ができないから、点を取るために細かいプレーがしたくても、おおざっぱなサインしか出せなかった

 「バントも一発で決められない。無死二、三塁なら、右方向にボテボテでもゴロを打てば1点入るなんて誰でもわかることなのに、ヒットを打ちにいったり。そういうところから教えないといけなかった。そういう話をしても、試合になるとどうしてもみんな自分の欲に負けてしまう。勝って年俸が上がることがないから、自分の成績を上げて年俸を上げようとする。弱いチームの典型だよね。強いところは選手がそういうプレーも評価されると知ってるんだけど、弱いところは個人成績がすべて。凡打でいいのに、安打やきれいな犠飛を打とうとする。しみついたBクラス体質がなかなか取れない」
−それでも結果を求められる

 「育てながら勝つというのが一番難しいわけ。育てるといっても、そこそこの土台があってじゃなく、ほんとゼロみたいなもんだからね。2年目からちょっとずつ変わって、オールスター明けからやっとチームとして歩き始めた感じだった」

 −−チームリーダーの村田修一も変わった

 「結局は村田のチームなワケ。村田が変わることによって、チームが変わった。今オフ巨人にフリーエージェントで移籍したが、これを機会に親離れじゃないけど『村田離れ』をして、選手たちも少し大人になっていかないと。なんでも村田にオンブにダッコだったからね」

 −−意識改革がようやう実り、3年目で勝負といきたかったが…。ただ中畑清新監督には確かなものを引き継げたのでは

 「たとえば投手ミーティングでも反省のレベルが上がった。正しい、間違いじゃなく、捕手も投手もどういう意図だったのかを話せるようになってきた。理解度が高まったと思う。やってきたことは間違ってない。中畑さんもそういことを求めていると思うし、今なら選手たちもできると思うよ」 (来週に続く)  ZAKZAK

いやはや驚いた。
ベイファンを絶望の淵に追い込んだA級戦犯の口から、このようなふざけた言葉が出ようとは夢にも思わなかった。
ベンチ裏でタバコを吸うとか応援しないとか、そんなもの2007年にヤクルトと三位争いした時から同じだろうに、勝率三割台を二年も続けた原因をそんなことに求めるなんて、開いた口がふさがらない。
横浜に優勝争いできるほどの戦力がないことはファンも認めているし、その責任が親会社であるTBSにあることも理解している。だから五位だろうが六位だろうがとやかく言うつもりはないが、選手の力とやる気を殺ぐだけ殺いで無気力集団にしたのは一体誰だったのか。
このストーリーが言い訳として成立するかどうか、よくアナライジングしてから喋った方がいいのではないか。
人間誰しも自らの非を認めたくないものだが、これほどまで見事に責任転嫁する人物は珍しい。
失敗の原因を分析してこそ『進歩』はもたらさられるものだが、老朽化したアナライザーにはそのようなコマンドは埋め込まれていなかったようだ。

「当たり前ができないから、勝つために細かいプレーをしたくてもおおざっぱなサインしか出せなかった」
そもそも投手陣の整備もせずに細かいプレーで1点2点獲ったとしても、負け試合の体裁を整えるだけ。どんなチームでも同じ野球をやろうとするあたり、現状を把握する能力が致命的に欠けている。

「三年目に勝負するつもりだった」というくだりにおいては失笑もので、最下位を脱出するだけで三年もかかるような指揮官を必要とするチームなど、世界中探してもひとつもないということすら理解しておらず、初年度から「優勝を狙う」と大風呂敷を広げていたことをすっかり忘れてしまったかのようだ。

「二年目の終わり頃からようやく結果が出始めた」なんてギャグとしか思えない。
二軍の若手を育てるつもりが少しでもあるのなら、あれほど山本省吾にこだわることもなかっただろうし、「戦力が落ちるなら若手を使っても意味がない」とまで言い切っていたことについては一体どう弁解するのだろうか。
敗因は選手になすりつけ、他人(二軍)の成果は恥ずかしげもなく横取りしようとする。そんな指揮官のために働こうなんて選手がいるはずもない。当たり前が理解できない監督が率いるチームが低迷することこそ『当たり前』というものだろう。