まるで「松下政経塾」政権と見紛うばかりの野田どじょう内閣・党役員の中で“異臭”を放つ2人がいる。専業主婦と喫煙者の敵にしてバツ2の小宮山洋子厚労相(63)と“ちびっ子ギャング”の異名を取る安住淳財務相(49)のご両人だ。

 それもそのはず、2人は、平均給与額1041万円の“高給取り集団”NHK解説委員と政治部記者からの華麗なる転身組である。
 だからだろう、財務省主導の増税と厚労省の年金支給年齢引き上げで、「死ね」同然の庶民の気持ちなど、理解できるはずもないのだ。
 「NHKの平均給与額については、9月28日の参院予算委員会で、民主党の桜井充議員(55)の質問に答える形で小宮山大臣が示したもの。一方、安住大臣はその前日の答弁で、公務員宿舎建設問題(埼玉・朝霞市)に絡んで、『私もNHK時代は“食えなくて”社宅に住んでいた』と、のたまった。NHKの政治記者は、僕らが夜討ち朝駆けにタクシーを使えない時代にもバンバン使っていた。食えなかったのは、フカヒレやフォアグラのことでしょう」(民放テレビ局政治記者)

 この2人、実は見えない線で結ばれている。その線とは「特別会計400兆円」というキーワードだ。
 特別会計とは、役人を太らせる裏の予算、利権の巣窟というべきもので、一般会計が約92兆円なのに対し、特別会計は歳入ベースで約400兆円もあります。かつて塩ジイ(塩川正十郎元財務相)が『親は母屋でお粥を食べて辛抱しているのに、子供は離れですき焼きを食っている』と表現したように、親より子の方が会計規模が巨額という、世界でも例がない異常な会計制度です。
 4年前には、18ある特別会計の一つ、労働保険特別会計から、厚労省が職員用タクシーチケット代を捻出していたことが明るみに出ました。このような官僚の裏の財布にメスを入れるのは、“財務省公認”の野田総理の下ではまったく期待などできず、ましてやその総理と財務省の言いなり小僧である安住大臣では、到底手が付けられるものではありません。
 そういえば、先日パリで開かれた財務相・中央銀行総裁会議で安住大臣は『消費税率を10%に引き上げる法案を来年成立させたい』と、突然に国際公約しました。会見で目がグルグルと泳いでいた様子から、財務省のプレッシャーは相当なものだったと感じましたね」(全国紙財務省担当記者)

 さて、この「特別会計こそ国を滅ぼす元凶である」と、国家の危機を訴えていた政治家が白昼に刺殺されるという衝撃的な事件(2002年10月25日)が起きてから、ちょうど9年になる。故・石井紘基衆議院議員(当時、民主党=東京6区選出)のことだが、現職国会議員の殺人事件だったにもかかわらず、今や完全に風化してしまっている。
 「'03年、石井の死去に伴う補欠選挙に参議院議員を辞職して立候補したのが、ほかならぬ小宮山大臣です。彼女は『石井の遺志を受け継ぐ』と弔い合戦で臨んだことが功を奏し当選しました。しかし地元では、秘書であり実の娘であった石井ターニャさんを『後継にすべきだ』という声が強かった。ところが、まだ若いという理由だけで外され、小宮山大臣の選挙応援までさせられた。その応援中ターニャさんは、あまりの石井の名前の連呼に『父の名を利用しているだけではないか』と疑心暗鬼に陥ったほどでした。結局はその通りになった…。当選後、石井がまさに命を賭して取り組んだ、特別会計や特殊法人問題などはまるで知らんぷり。6区の有権者を裏切ったと言っていい」(当時を知る支援者)

 物忘れが激しいのか、最初から遺志など継ぐ気はなかったのか。恐らく両方なのだろう。そして、小宮山大臣は自分の関心のあることしか眼中にないようだ。
 就任直後の「たばこ1箱、最低700円」発言で世間を騒がせたことは記憶に新しいが、待機児童解消のための幼保一体化問題での無知ぶりも、なかなかのもの。
 一体化を推進するというが、総合施設には待機児童のほとんどを占める2歳以下の子供を預かる義務はなく、この点を理解しているとはとても思えない。推進だけでは、何の解決にもならない。
 さらに「出産育児一時金55万円には、14回の妊婦健診も含まれる」という発言。これについても、妊婦健診費用負担は自治体別の補助であり完全な間違いで、全国の産婦人科医から驚きと抗議の声が殺到したという。