テレビ番組での不敬発言から暴力団との付き合いがはじまり、芸能界引退に追い込まれた紳助。だが、コトはそんな単純なものではなさそうだ。
 「そもそも、暴力団と芸能人の交際が明らかになっても、以前なら謹慎がせいぜいでした」(芸能記者)

 それがなぜ引退なのか。ある噂が大阪府警・司法関係筋で流れている。
 「紳助のおよそ芸能人とは思えない事業に、アメリカ政府とアメリカ軍が激怒したというものです。日本政府を通じて、吉本興業に圧力をかけ、それが引退処分の遠因になったと……」(大阪府警担当記者)

 いちお笑いタレントの処分に米政府というのは、にわかに信じられないが、紳助の一連の動きを見ていくと、米軍の圧力説が噂とは思えないような点も浮かび上がってくるのだ。
 まず、紳助の沖縄・南西諸島方面における事業展開。これが在沖縄米軍とバッティングした説である。
 「つまり紳助の沖縄方面での不動産購入や事業が、米国や軍との利権と結びついた勢力とぶつかった、という噂です。おそらく基地移設問題絡みもあったのでしょう」(地元紙記者)

 だが、利権の衝突というのは、日本各地の米軍基地のある街なら決して珍しくはない話だ。ならば、なぜ紳助の問題だけがクローズアップされるのか。
 そこでリンクしてくるのが、今年7月にオバマ大統領が発表したヤクザに対する金融制裁だ。
 裏社会の対テロ武器売買や、マネーロンダリングに悩むオバマ政権は、大統領自ら日本の“ヤクザ”をマフィアなどと並ぶ国際的犯罪集団と名指し、アメリカ国内における金融資産を凍結する強行な経済制裁を打ち出している。
 「今のアメリカの至上命題である債務引き上げの問題の一環ですね。アメリカは本気ですよ」(経済ジャーナリスト)

 問題は米政府が「これらの犯罪組織の活動を支援している企業や個人の資産も凍結する」ことにも言及している点である。
 在日米軍の心証を害し、しかもヤクザと密接なつながりのある事業家気取りの紳助がターゲットになった、というわけだ。
 田中角栄元首相のロッキード事件のようにアメリカが紳助を嵌めた−−対ヤクザ問題で日米政府の利害が一致、その点を踏まえて圧力をかけたという説には説得力がある。
 「ヤクザと関係している芸能人は、正直言って紳助だけではありません。そんな圧力をかけられたら日本の芸能界なんかひとたまりもない」(芸能プロ幹部)

 外交上の問題に巻き込まれたのであれば、紳助の株も上がる。