広東省潮州市古巷鎮で今月1日、四川からの出稼ぎ労働者が賃金の支払いを雇用主に求めた際に手足を傷つけられるという悪質な傷害事件が発生した。傷を負った労働者は、四肢の筋肉や神経が切断されたことで、後遺障害が残るという。事件後、数百人がこれに抗議して集まり、騒乱が発生した。現地警察は傷害事件の容疑者3人の身柄を拘束した。新華社などが報じた。

 潮州市公安公式サイトによると、6日夜、この労働者と同郷の200人以上が古巷鎮政府建物の玄関に集合し、加害者に対する厳重な懲罰を求めた。この間に、自動車3台に火が点けられ、1台が全焼した。公安機関は自動車焼き打ちに関わった9人をその場で拘束した。さらに詳しい状況は調査中。ネット上の書き込みによると、今回の暴動は5日間も続いているという。古巷鎮は現在、警戒態勢を敷いている。

 6月1日に起きた傷害事件の容疑者は、1人が4日午後に公安機関に出頭、翌5日明け方に主犯格2人が逮捕された。

 潮安県古巷鎮楓一華意陶磁器工場で働く四川省からの出稼ぎ労働者夫妻が1日、19歳の息子に伴い、遅れている賃金支払を工場側に催促したところ、社長と口論になった。近くにいた男性従業員が社長に加勢し、息子と口論を始め、さらに父親の頭を殴って出血させた。息子が警察に通報したころ、男性従業員ら2人がナタを持ち、息子の手と足に切りつけた。

 農村からの出稼ぎ労働者の賃金トラブルによる流血事件はここ数年、たびたび発生している。彼らが賃金支払いを求めるのは、自身の合法的権益を守る正当な手段だ。しかし、それによって暴力に巻き込まれ、今回のような悪質な傷害事件の被害者になるケースは、社会と法制の裏側にある悲しさを物語っている。

 農村からの出稼ぎ労働者の賃金不払・支払遅延問題を解決するためには、まず労働法律体制を改善し、悪意ある給与未払行為に対して懲罰を厳しくする必要がある。(編集担当:松本夏穂)



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