今季開幕戦の頂点に立った金田洋世 (撮影:野原誠治)

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 ビーチバレーの国内ツアー開幕戦「東京オープン」決勝戦が8日、お台場海浜公園(東京都)で実施された。

 女子の決勝戦は、予選会からツアーシードを獲得し、決勝まで上がってきた金田洋世・村上めぐみペアが、昨季女王の田中姿子・溝江明香ペアに挑戦する形となった。

 第1セット序盤、女王ペアにミスが目立ち、挑戦者が押しているように見えるものの、点数は均衡。田中と溝江は、ツアーの経験が浅い村上をサーブで狙い、確実に加点していく。

 シーソーゲームのまま中盤へ向かうが、狙われ続ける村上がレシーブ精度を欠きはじめる。すると村上と金田がレシーブポジションをスイッチ。レフトで構えていた村上がライトへ。

 2人で行う競技であるビーチバレーにはレフトとライト、2つのポジションがある。お互いがアタックの得意なサイドを考え決めているが、それがレシーブする際のサイドとなる。

 金田は「ミスが続いている流れを変える」ためだけでなく「サーバーにプレッシャーをかける」様にスイッチしたと話す。サーブが決まって気分よく次も打とうと思っても、狙う場所が変わったら…と説明を続けた。

 準決勝においてはレシーブミスが続くとポジションを交代。要所で連続失点を抑え、勝ちに結びつけた。

 言葉通り、行きかけた流れを押し留めると、デュースの末、28-26でセットを獲得。第2セットも押し気味にゲームを進めリードを広げるが、村上と金田は連続失点を防ぐためではなく、相手にプレッシャーをかけるために、何度もポジションをスイッチ。相手のサーブミスを誘い、21-14の大差で第2セットも取った。

 本命視されていたチームを下し優勝。「ポジションチェンジだけでなく、攻撃に対しても、ブロックも作戦がはまった。相手がイライラしているのがみえた」と金田は話す。

 伏線は田中・溝江にストレートで負けた予選リーグ。負けはしたが、女王ペアの戦術がわかった。試合のビデオを見直し、対応策を話し合ったという。

 だがしかし、面白いことに、ポジションチェンジについて負けた溝江は「プレッシャーは感じなかった。代わるのは嫌がっているのだろうなと。こちらが有利だと思った」と話す。現にサーブミスは多かったが、田中と溝江はワールドツアー参戦の過密日程から疲れがあった面は否めない。「自滅です。こんなプレイで勝っちゃいけない」と田中は自虐的に話し、敗因は自らにあると分析している。

 はたしてポジションチェンジは有効だったのか。答えは次回の対戦まで、お預けとなった。

(取材・文=小崎仁久)