記者会見にのぞむ小沢一郎幹事長。威圧感たっぷりだ(09年12月撮影)

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   民主党・小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐって、東京地検特捜部は小沢氏の個人事務所などを家宅捜索した。「法に触れることはしていない」という小沢氏と執拗に捜査を続ける検察の全面戦争の様相を呈しているが、小沢氏とマスコミもまた熾烈な戦いを繰り広げている。

異例の「一括返答」でまともに説明しなかった小沢氏

   陸山会事務所や大手ゼネコン「鹿島」本社などに強制捜査のメスが入った2010年1月13 日の翌日、新聞各紙は小沢氏関係先の一斉捜索を一面トップで大きく報じた。「最終戦争」(岸井成格・毎日新聞特別編集委員)という声もあるが、小沢氏とバトルを展開しているのはマスコミも同じだ。

   新聞やテレビは検察などの情報をもとに小沢氏にまつわる「カネの疑惑」を盛んに伝えるが、小沢氏は「大量の報道で国民に誤解を与えている」と批判する。象徴的だったのが、1月12日の定例会見だ。会見ではまず、日本テレビの女性記者が

「東京地検の任意聴取を受ける考えがありますか? また(土地購入にあてたとされる)4億円の原資について説明していただけますか?」

と質問したが、小沢氏は

「あとほかにありますか? それに関連したものであれば、先に言ってください。いっぺんに答えますから」

   と述べて、陸山会関連の質問を一度に受けてまとめて答える方法を取った。記者会見では一問一答方式が普通で、このような「一括返答」は異例だ。しかし報道陣からは特に異議が出ず、続けて7人が関連の質問をした。そのあいだ、小沢氏はムスッとした表情でうなずきながら聞いていたが、メモをとる仕草は一切見せなかった。

   最後にフリージャーナリストの安積明子さんが水谷建設からの献金疑惑報道についてたずねると、小沢氏は「じゃあ、それらの問題についてお答えします」と話し出した。だが、その内容は

「捜査が継続中のため、個別のことについて申し上げることは差し控えるべきだろうと思っています」

という具体性に乏しいもので、日テレ記者や安積さんの質問にも答えてはいなかった。業を煮やした日テレの記者が「事情聴取に応じるつもりはないということか?」と再質問したが、小沢氏は「個別のことについて申し上げるのは差し控えたい」と同じ答えを繰り返すだけ。さらに記者がたずねたが、

「ちゃんと指されてから言わなくちゃダメでしょう。ルールは守ってください。あなたも、日本テレビなら」

と逆に記者を非難したのだった。

「特別、反論したり批判したりするつもりはありません」

   このような小沢氏の態度について、マスコミは新聞紙面などで反発。毎日新聞は1月13日の社説で、

「なぜ、疑問に答えようとしないのか。これでは説明責任を放棄しているに等しく、国民の不信は広がるばかりだろう」

と厳しく批判した。質問したものの回答がもらえなかった安積さんも

「もし本当にしっかり答えるつもりならばメモを取るはずだが、小沢氏はそうしなかった。最初から真面目に答えるつもりがなかったのではないか。結局、聞いているフリをしていただけ。ほかの記者たちも相当なフラストレーションを感じていたと思う」

と不満を口にした。

   このような「小沢批判」がある一方で、東京地検の正式発表がないまま、マスコミが「疑惑報道」を大々的に続けていることに対して、「検察リークによる情報操作ではないか」という見方もネットを中心に広がりつつある。

   その点について、フリージャーナリストの岩上安身さんは12日の小沢氏の会見で、

「捜査当局の発表が何一つないうちから、リーク情報で一人の人間の容疑があるかのようにマスコミが報道していく。こうした検察とメディアのあり方をどうみているか」

と質問した。苦笑しながら応じた小沢氏の回答は、次のようなものだった。

「私はもう二十数年、みなさんのご批判ばかり受けておりますので、それについて特別、反論したり批判したりするつもりはありません。人間ですからいろいろ言われて楽しいわけじゃないけれども、私は政治のなかにある立場ですので、そういうことも甘んじて受けなくてはいけないのかなあと思っております」

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