今回の【ドラマの女王】は、金曜深夜枠から、木曜ゴールデンに昇格した、テレビ朝日系の人気シリーズ『特命係長・只野仁』。やれ、エロが少ないだの、エンディングテーマ曲を歌うバツイチモデル終盤投入だのと、出だしっから話題もパッとしなかったこのドラマ。しかしたとえ出来が良かったとしても裏番組に「あのドラマ」がある限り、“視聴率回復”はむずかしいかもしれない。

週末の深夜に、お色気シーンと、只野仁(高橋克典)の男っぽいアクションで人気シリーズとなったこのドラマ。人気を引っぱって来たのは、一週間が終わってホッとするサラリーマンや、お酒が入っていい気分になっているカップル。この番組は、そのあとに続く『タモリ倶楽部』を経て“明日は休み!”の序章、いわば「ほんのりピンクな“大人”のゴールデンタイム」だった。

そんな、『只野仁』をTBS『渡る世間は鬼ばかり』の裏番組にもってきてしまったテレビ朝日。『渡鬼』の時間帯では、いくらお父さん達が『特命係長・只野仁』を見たくても、お母さん達はテレビの前をどいてくれない。

どんなにニヒルに決めた只野をもってしても、泉ピン子とえなりかずきの言い争いや、京唄子の引き起こす騒動には太刀打ちできないし、只野が美女を相手にいくら腰を振ろうと角野卓造の「おやじバンド」にはかなわないのである。

頼みの綱の恋人たちも、明日のために残業したり、同性と飲んだりしていて木曜の夜はわりと忙しい。テレビ朝日はそこも読めてなかった。

他局のライバルも多すぎる。『渡る世間〜 』以外にも、フジのとんねるず、日テレのみのもんた、マチャミと強敵ぞろいでテレ東の映画も手堅い。ここで視聴率を稼ぐのは至難の業である。

エロが薄くても決してドラマの出来は悪くない。2月12日の放送は特に面白かった。
目が不自由な楓(安達祐実)は電王堂のオペレーター。5年前山でハイキング中に恋人と共に何者かに猟銃で打たれ、恋人は死亡し自らは失明した。会社でやさしく接してくれた上司(野村宏伸)の転落事故が起こり、かよわい楓の身辺に危険が迫る。
大人の女性ゲストの使い方が上手く、前回の横山めぐみも良かったが、その前の鈴木砂羽も良かった。

楓を守る只野はあいかわらずカッコイイし、サラリーマン金太郎からメッセンジャー森脇に戻った永井大もしっくりきている。犯人の石丸謙二郎の手下をやっつける高橋、永井の切れのいい戦いっぷりは見ていてスカッとした。きわどいシーンも、天狗やら砂盛りやら「古風な演出?」で楽しませる。どんなにゴールデンでエッチ表現が薄くなっても、お約束の三浦理恵子のあえぎ声だけは残して欲しい。お父さん達の為に。

ただひとり、昼間の只野を慕う山吹一恵役のエビちゃんは、演技は下手だが純情OLらしくかわいい。スタートの回では本業のモデル姿も披露したが、『只野仁』に若い女性は引き込めない。課長の田山涼成はいい味を出している

そしておなじみ、騒々しい秘書課の坪内紀子(櫻井淳子)は女子アナの新水真由子(三浦理恵子)といつのまにか仲良しに。
いつアッコ(櫻井)は只野に抱かれるのか。それをほんのり期待して「大人のゴールデンタイム」は、これから“木曜の9時”ということで。

(編集部:クリスタルたまき)

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