「MSN毎日インタラクティブ」は9月末でサービスを終了する

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   マイクロソフト産経新聞グループは2007年6月27日、業務提携を行うことを発表し、10月1日には共同で運営するニュースサイト「MSN産経ニュース」がスタートする。MS社が04年から毎日新聞社と共同で運営してきたニュースサイト「MSN毎日インタラクティブ」は9月30日でサービスを終了する。ニュースサイトの世界で、提携先を乗り換えるのは異例だ。

ナンバーワンのニュースサイト目指す

   新ニュースサイトは、既存の産経新聞のウェブサイト「Sankei Web」を発展させた形で運営され、その他の産経グループのニュースサイト「iza!(イザ!)」「ZAKZAK」などは、これまで通りに独立したサービスを続ける。産経新聞側は「インターネットは報道機関にとって最も重要な媒体のひとつ。目指すのはナンバーワンのニュースサイトになること」と意欲を示した。

   一方の毎日新聞社は9月でMS社との提携を解消し、10月1日から独自の情報サイト「mainichi.jp」(http://mainichi.jp/)をスタート、ニュース以外にも生活情報や地域情報を充実させる、としている。同社のデジタルメディア局ではJ-CASTニュースに対して「本来、新聞社は独立した編集権を持っているものだが、MSNさんの世界的な戦略の中で、デザインなどで歩調を取っていかないといけない面があった。新サイトで、より独立した事業展開をしていきたい」と話している。

   IT業界に詳しいジャーナリストで毎日新聞OBの佐々木俊尚さんも、J-CASTニュースに対して

「毎日新聞としては、MSNからのトラフィック増加を期待していたのですが、それが思ったより上手くいかなかった。それに、コンテンツを自分でコントロールすることがネットの世界では重要ですが、毎日新聞側からすればそれがやりにくい上に、『新サービスが簡単に展開できない』などの制約があった。こんな経緯があって、提携解消の話は、内々では結構前からあったんです」

と話し、同様の見方を示した。

過去の記事が読めなくなるのは問題だ

   また、今回の独自サイト展開は、「ウェブの世界にとって問題」とも指摘している。

「今回の独自サイト移行で、パーマリンク(記事への固定リンク)が切れてしまいます。毎日新聞社のニュースサイトは、これでドメイン3つ目(mainichi.co.jpmainichi-msn.co.jp、mainichi.jp)です。ニュースはアーカイブ(過去の記事が読めること)が大事なのに、その重要性を全く理解していない。サイト移行で、これまでに蓄積されてきたものが読めなくなってしまう」

   毎日新聞社は、ネット上の「巨人」MS社との離婚後、「再婚」はあるのか。「巨人」といえば思いつくのはヤフーだが、佐々木さんは否定的な見方だ。

「ヤフーは全方位外交で、同社のサイト上では様々なニュースソースからのニュースを網羅的に読めるのがメリット。毎日と組んでも、ヤフー側にメリットがないでしょう」