「アジアにおけるサッカーの発展は、その最高の選手たちを大陸外に流出させる事態を招いた。しかし彼らは時として、頭角を現すどころか、祖国から離れて環境に溶け込むことにすら苦労している」−−フランスのサッカー専門サイト「Football.fr」のロイック・モロー記者が、12日付の「東から西へ」という記事で、アジアの選手たちがフランスのサッカーになかなかなじめず、不発に終わったケースがほとんどであることを指摘している。

 記者は、フランスでプレーしたアジアの選手として、ソ・ジョンウォン(1997年、ストラスブール)、廣山望(2003年、モンペリエ)、チョ・ウォングァン(2004年、ソショー)、中田浩二(2005年、マルセイユ)、アン・ジョンファン(2005年、メッス)らを挙げ、そのすべてが活躍できずに去って行ったことを指摘。その中で「唯一の成功例」が松井大輔(ル・マン)だと特筆している。松井のみは「チームの“リズムメーカー”としてすぐに不可欠な存在となった」と高い評価だ。

 日本人選手の獲得に積極的に動くグルノーブルについても触れているが、それも「失敗例」という論調だ。いわく、「輝かしい将来を約束された大黒将志は、この夏トリノに移り、ほとんど使われていない」、「伊藤翔は、入団以来ほとんどプレーしていない」。ただしこれについては、「大黒は短い在籍だったが、出場機会に見合ったゴールを決めた。伊藤はまだ18歳で、すぐに使う目的で獲得したわけではない」と読者がコメントを寄せて反論している。

 最後に記者は、フランスが他の「サッカー大国」に比べ、注目度が低いことも指摘した。その好例が「リーグ・アンで素晴らしいシーズンを送ったにもかかわらず」W杯の日本代表に選ばれなかった松井だという。記事は、アジアの選手たちがフランスで成功しないというよりは、フランスが彼らのプレー先として成功していないのだ、とまとめられている。