ディーラーは改造車を車検に通すと営業停止処分となることも

 整備、点検、車検等で、なにかと世話になる各メーカーのディーラー。しかし、カスタムカーの場合、その仕様によってはディーラーに入庫拒否されるケースもある。

 というのは、ほとんどのディーラーは、地方運輸局長から指定自動車整備事業の指定をうけた「指定工場」で、万が一、検査基準を満たさないクルマを車検に通したという事実が発覚すると、「営業停止」処分になるため、保安基準に適合しないクルマが出入りすることに非常に神経質になっているのだ。

 そもそも、車検に通らないクルマ=保安基準に適合していないクルマは、公道を走ること自体がNGなので、ディーラーで車検が受けられなかったり、入庫を拒否されても仕方がない。

 以下のような違法性が疑われるクルマは、車検以外でも入庫が断られるケースが多い。

・ローダウンして最低地上高が90ミリ以下になっている。

・社外のマフラーに交換していて、音量規制を越えている。

・タイヤがフェンダーからはみ出ている

・フロントガラスや運転席・助手席にスモークフィルムが貼ってある

・後付けのバックフォグ(保安基準の「後部霧灯」の6つの要件を満たせばOKだが、けっこう厳しい)

・エアロ等でテールランプが隠れる

・ブレーキランプ連動のLED

・ボディサイズが変わるエアロパーツ(保安基準では、全長±3センチ、全幅±2センチ、全高±4センチまでは、合法となっているが……)

・その他、灯火類の改造は基本的に敬遠される

純正以外のパーツ装着車は歓迎されない傾向にある

 保安基準にはグレーゾーンもあり、「細かく調べてもらえれば、合法カスタマイズなんだけど」と思っても、ディーラー側からすれば、それを調べたり確認するのもコストになる。また、ディーラーの場合、整備保障が付く関係もあり、純正品以外のパーツがついているクルマは歓迎されないという傾向も……。

 要は、本当に違法かどうかより、違法性が高いカスタマイズをしているクルマは、ディーラーでの車検は受けられないということ。そのグレーゾーンのクルマの扱いは、各店舗に判断がゆだねられているので一概には言えないが、ディーラーで整備・点検を断られたクルマは、(違法性を疑われた箇所を)ノーマルに戻すか、ディーラー以外のカスタマイズやチューニングに強いショップに持ち込むか、自分で運輸局に持っていって、ユーザー車検で通すしかない。

 カスタマイズを合法の範囲内で楽しむのは、もちろんユーザーの自由だが、カスタマイズによって不便が生じるのも自己責任。ディーラーにはディーラーの基準があるので、それはそれで尊重すべき。

 また、ディーラーだけでなく、大手カー用品店での車検や、街の指定工場、認証工場などでもカスタム車を断ることだってあるので、公道を走る以上、最低限保安基準はクリア。その上で、違法を疑われるようなきわどいカスタム・チューニングをしている人は、それなりのデメリットがあることも覚悟しておこう。