アメリカでは、年間の売上の4割を稼ぐ小売店もあると言われる「ホリデー・ショッピング」のシーズンが、11月の第4木曜日からスタートします。今年は通常より1週間近く早い22日が第4木曜日ということもあり、出揃った売上予測はいずれもポジティブと、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住のりばてぃさんが伝えています。

絶好調な米国小売業界

日本から出張で戻ってきたらニューヨークはすっかり紅葉。そして、早くも年末に向けてのホリデーセールの話題が出始めている。なぜなら、今年は年に一度の大セールの皮切りとなる11月の「ブラック・フライデー」(11月第4木曜日の感謝祭翌日)が通常よりも1週間早いのだ!

11月第4木曜日は通常は、11月の最終週ごろになるが、今年の11月は木曜日から始まったため1週間早い22日が第4木曜日なのである。そのため、通常よりもセール開催が早く、各種小売店によりセール情報も早めの公開となっているようだ。

また、翌週月曜日にはEコマースの大セール「サイバー・マンデー」と続くので、例えば、経済専門誌のフォーブスは、大型量販店のウォルマートのサイバー・マンデーセール速報を掲載している。

ご参考:

●Walmart ‘Cyber Monday’ 2018 Sales: What We Know So Far 

アメリカでは、感謝祭やクリスマスは伝統的な行事のため、日本のような恋人たちのクリスマスというよりは家族で集まる日。

そのため、家族や親しい友人にギフトを贈る習慣がもともとあるため、11月〜12月にかけて贈り物のための買い物が定番。(ホリデー・ショッピングと呼ぶ)これにセール効果も相まって小売店によっては年間の売上の4割をこの期間に稼ぐところもあると言われているほどなのである。

こうした背景から、このホリデーショッピングの売上動向には早くから注目が集まる傾向にあり、今年2018年も、早速、各種調査機関による予測発表が出ている。

具体的には、全米小売業協会(National Retail Federation、以下NRF)は、「NRFホリデー売上予測」(NRF Holiday Forecast)で、2018年11〜12月の小売店売上(自動車、ガソリン、レストランは除く)は対前年同期比で4.3〜4.8%増となる7,174億5,000万〜7,208億9,000万ドルと発表。

これは、2016〜2017年の売上増加率だった5.3%を下回る予測となったが、過去5年平均の3.9%よりは高い比率となっている。 これについてNRFの上級エコノミストのジャック・クレインヘンズ(Jack Kleinhenz)は、税制改革や賃金引き上げがあったことで2017年は想定以上の消費があり、今年は昨年ほどではないだろうとしながらも、引き続き好調であるといった主旨のコメントをしている。なお、2017年のホリデー・シーズンの売上は6,929億ドルだった。

11月〜1月までと長めに期間を設定したデロイト(Deloitte)の予測でも、対前年同期比5〜5.6%増と好調。また、Eコマース売上に関しても対前年同期比22%増となる1,340億ドルと発表している。

もっとも増加率が低いと予測を出したアリックスパートナーズ(AlixPartners)ですら、対前年同期比3.1〜4.1%増。いずれも堅調な米国景気を背景に、今年のホリデー・セールの売上は、全体的に軒並みプラス成長になるとの予測となっている。

米アマゾンは最低賃金を時給15ドルに

ちなみに、雇用も増えていて、ホリデー・シーズンの臨時雇用だけでも、2017年の58万2,500人を上回る、58万5,000〜65万人との予測をNRFは出している。

例えば、大型量販店のターゲットはホリデー・シーズンの臨時雇用を12万人、老舗デパートのメイシーズは8万人(実店舗およびEコマース)雇用する予定だ。さらに、Eコマース大手のアマゾンは臨時雇用10万人に加えて、最低賃金を時給15ドルにアップすると発表している(これに伴い、アマゾン傘下のホールフーズも最低賃金を時給15ドルにする予定)。

日本でのニュースで報じられているが米国の失業率(米国労働省発表の2018年9月の雇用統計)は、およそ48年ぶりの低水準となる3.7%。好景気による物価上昇や、上述のような最低賃金増など、全般的に米国小売業界は調子が良い。

実際、ホリデー・シーズンに限らず2018年の年間売上も好調で、特に、7月の売上が予想以上に好調だったことを受け、NRFが出していた当初の対前年比3.8〜4.4%増との売上予測を最低でも4.5%増となると上方修正されている。

ご参考:

●NRFホリデー売上予測 ●Retail trade group sees holiday sales rising 4.3 to 4.8 percent this year

●Amazon, Whole Foods to hike hourly minimum wage to $15

●No sign of the retail apocalypse

そんなわけで、買い物ムードも高まっており、各種小売店では早くもセール情報をじゃんじゃん発表している状況となっているのである。

ご参考:

●ターゲットのブラックフライデーセール Black Friday 2018: Target offers deals on TVs, tech, appliances

image by: shutterstock.com

MAG2 NEWS