ソフトドリングに課される「砂糖税」、世界22カ国が導入 今後の展望は
●1975年以降、3倍に増加した肥満率 世界保健機関(WHO)の最新の報告によれば、全世界の20億人が太りすぎであり6億5千万人が肥満であるという。また、5歳から19歳の年代では、3億4千万人が太りすぎという結果が出ている。つまり、3人に1人は、減量をする必要があるという緊急事態になっている。
肥満増加に伴い、治療費が高額の代謝性疾患、心臓疾患、脳血管疾患も急増している。
●社会的負担を軽減するために導入が始まった「シュガー・タックス(砂糖税)」 過去10年以上にわたって、食生活や生活スタイルを改善することによってこうした数字を減らす提案が数多くなされてきた。世界各国の研究機関によって提案され、導入されたプロジェクトのひとつが「シュガー・タックス(砂糖税)」である。過剰な糖分が含まれるソフトドリンクへの課税が、英国をはじめとする世界22カ国で導入されたのである。
●税収は食生活の改善策に WHOは、砂糖税が効果ある戦略であることが重要であるとし、課税率は20%以上であることを推奨している。
実際、2017年4月6日に砂糖税を導入した英国では、炭酸飲料などのソフトドリンクは値上がりした。ドリンク100ミリリットル中に、5グラムから8グラムの砂糖を含むものは1リットル当たり18ペンス、8グラム以上のものは24ペンスの値上がりとなっている。
さらにWHOは、砂糖税による税収はより健全な食生活のイニシアティブのために投資されるべきだ、という見解も明らかにしている。
●ソフトドリンクの値上がりに込められた2つの目的 英国政府は、砂糖税の導入によるソフトドリンクの値上げによって2つのことが見直されるべきだとしている。
ひとつは、消費者が、糖分を含む飲料を摂取する機会を限定する意識を持つことである。
もうひとつは、販売する企業側に対し糖分の減量を求めることであった。企業側が、税金を払いたくなければ必然的に糖分の量を抑えざるを得ない。実際、砂糖税が導入された国々では、大手の飲料会社が100ミリリトル当たりの糖分を5グラム以下に減らしている。導入されてない国の同タイプのドリンクは、現在も糖分が10グラム前後であることを考慮すると、その差は歴然である。
●国によっては添加物にも課税 現在、砂糖税が導入されている国は英国をはじめとして、アイルランド、ノルウェー、ボルトガル、ベルギー、デンマーク、フィンランド、アメリカ、、南アフリカ、エストニア、フィリピンなど22カ国に及ぶ。
また、国によっては糖分だけではなく添加物、ソーダ、ポテトチップスにも課税している。
自国民の健康リスクを軽減する目的のこうした課税は、導入を検討中の国も多いことから、今後も広がっていきそうだ。