「スマホのカメラを使用した際、シャッター音が鳴る仕様になっているのは日本の製品ぐらい。逆に言えば、そうした対策をとらなければならないほど、この国は盗撮大国なんです」
 盗撮事情に詳しいライターがこう語るように、相変わらず盗撮被害は後を絶たない。3月29日には大阪の男性高校教師(25)が自校の女子生徒の胸元やスカートの中をスマホで盗撮したとして懲戒免職処分。4月4日には、福島県で理容師の男(50)が客として訪れた女子高生の服の中をデジカメで盗撮したとして逮捕されたことが報じられた。
 「狙われるのは女子高生ばかりではない。2月26日には、大阪府堺市の小学校の男性教師が、同市住吉区の市営地下鉄長居駅で、エスカレーターに乗った40代女性の後ろからスカートの中にスマホを差し入れた疑いで書類送検されている。盗撮魔にとって女性たちが薄着になるこの時期は、胸チラやパンチラが撮りやすい絶好のシーズンとなる」(同)

 冒頭の通り、スマホのカメラは盗撮防止のため強制的にシャッター音が鳴る仕様になっているが、盗撮魔にしてみれば意味をなしていないのが実情だ。
 「スマホに付属しているカメラを使って盗撮をする人などまずいない。シャッター音の鳴らない“無音カメラ”も無料アプリでダウンロードできるし、中には撮影行為自体をカムフラージュするアプリもあるんです」
 こう語るのは、アングラ雑誌記者。スマホのカメラを起動すると、通常は画面に被写体が映し出されるが、あるアプリなどは、画面が真っ暗の状態での撮影が可能だ。つまり、被写体の位置を目視で確認してシャッターを切るのだが、これなら周囲にも盗撮しようとしているのがバレにくい。
 「通常のインターネットサイト画面を開きながら撮影が可能なものもある。もっとも、このようなアプリは、盗撮をしながらも“自分はネットを見ている”という妙な自信を持たせるため、盗撮へ嵌り込む入り口となりやすい」(同)

 こうした、盗撮用なのではないかと思わせるアプリが増える一方、近年進化が著しいのが、「スパイカメラ」と呼ばれる超小型カメラだ。
 東京・秋葉原のカメラ専門店店員の話。
 「いま最も流行っているのが、ワイシャツのボタン型のカメラ。ボタンの中央に1〜2ミリの超小型レンズがはめこんであり、見た目からはまったく分からない。ワイシャツだけではなく、上着用にカムフラージュされたものもあります」

 この“ボタン型”の価格は1万5000円〜3万円と性能によって差があるが、もちろんネット通販でも購入が可能だ。
 「最新のものは視野角も広く、被写体から多少ずれたとしてもしっかり捉える。映像の保存やズーム操作などは、スマホに飛ばして行う。その進化には驚かされます」(前出・盗撮事情に詳しいライター)

 小型精巧化したカメラは、ボタン型だけではない。
 「比較的以前からある“ペン型”では、“動体検知機能”が付いているものもあり、レンズの前に動く物を検知すると自動で撮影を開始する。また、一定時間動く物を検知しないと録画を停止するため、電池を無駄に消耗することもありません」(同)

 前出のアングラ雑誌記者によれば、このペン型はオフィスで女子社員を盗撮する道具として悪用されるという。
 「隣の席にいるOLのデスクの下に自分のペンを落としておく。これでパンチラは撮れてしまいます。彼女がペンに気づいても、相当目を凝らして見なければレンズの位置など分からない。もしくは、胸ポケットに差しておいて座っている女性の背後に回れば、ブラウスの間から下着を撮ることも可能でしょう」

 “腕時計型”や“眼鏡型”も昔からあるが、こちらも進化を遂げている。
 「これらはフレームレートが60fps、つまり1秒間に60コマ撮影することが可能なものが増えており、動きのある被写体でも、こちらが動いている場合も、かなり鮮明な映像が撮れる。眼鏡型などは、レンズ穴が外側からは見えないものまで出ています」(同)

 こうしたスマホアプリやカメラによって撮影したと思われる画像や動画は、やはり盗撮専門のネット掲示板や動作サイトにアップされる。
 「カメラをスカートの下から差し込んで撮影する“逆さ撮り”はあまりに多いため、マニアの間ではさほど評価されない。それよりも、電車内で座る女性を上から撮ったブラチラ、公園で子供と遊ぶ母親のパンチラなど、生活感が出ているものを撮影した人が“神”扱いされる傾向にある。盗撮魔が使うツールと同時に、見る側の目もどんどんマニア化しているんです」(前出・盗撮事情に詳しいライター)

 盗撮魔への警戒が必要だ。