現役時代は家族のために働き続けたのに、定年後にゴロゴロしているだけで、家族から嫌味を言われるのは悲しいものだ。

4月8日の読売新聞朝刊の「人生案内」に、30代女性が「70代後半の父親が家にひきもりがちで困っている」という相談が寄せられた。

横になってテレビを見ていたと思えば、いつの間にか寝ていたり、パソコンでゲームをして過ごしているといい、外出に誘ってもすぐに「足が痛い」「疲れた」などと言い出すという。

「一生懸命働いてたのにゴロゴロしてるだけで死ぬ準備しろって言われるなんて」

父親は70歳まで仕事をしており、退職直後にはジムで汗を流したり、家では料理を振舞ってくれたりした。しかし最近では家でゴロゴロするだけになり、女性は「何もすることがなくていいね」と思い、イライラしてしまうという。女性はそんな父親に対して、

「『尊敬できる父だった』と思えるよう、『終活』を始めるなど、これからの人生をしっかりと生きて全うしてもらいたいものです」

という要求を心に抱き、相談を結んだ。

たしかに、一生懸命働いていた父がリタイアした途端に無気力になる様子を見るのは、複雑な心境ではある。仕事ばかりで特に趣味もない、というのも大きいのだろう。

この相談は8日、とあるツイッターユーザーが新聞の画像とともにツイート。約8000件のリツイートがされて話題になった。ネットでは、「何様だよ」など相談者である30代の娘への非難が殺到した。

「終活を始めるなど、ってさらっと書いてるけど、終活て何か分かってんのかな?残酷な娘さんやと思う」
「一生懸命働いてたのに今ちょこっとゴロゴロしてるだけで死ぬ準備しろって言われるなんて」

家族のため働いてきた父親がゴロゴロするのは不快に感じ、「終活」を求めるとは、いささかむごい。

「どう生きたかを聞けば、お父さんは急にシャキッとするかもしれません」

ほかにも、「このゴロゴロのために、70まで毎日毎日どんな苦労してきたか分かってない」「人間、死ぬまで何かに向かってひた走ってるかのようにしていないと、いけないものなのかね?」など、娘から愚痴を言われる父親への同情の声が多く寄せられている。

一方で、「父親の老いをうまく受け入れることができていないのでは(中略)自分が小さな子供のころのハツラツとした父親に戻って欲しいという無理な要求がある」と、女性の立場を思う意見もあった。老いていく父親を目の当たりにして、心の整理がつかない可能性はある。

また、「認知症や骨折、寝たきりが早まりそうだからなにかしてもいいかも」など、父親の健康のためには生活環境を変えたほうがいいのでは、という意見もあった。

記事では、この相談に、作家の久田恵さんが回答した。父親がゴロゴロしているとイライラすると言う女性を「なんだか不遜な気がします」と暗に批判。父親は退職後にジムに行ったり料理を作ったりしており、「今はただゴロゴロしていたい時期なのかもしれません」と庇った。

久田さんは、

「自分を育ててくれた父がどう生きたかを聞きたいと、あなたが言ったら、お父さんは急にシャキッとして、ゴロゴロしてはいられないと思うかもしれなません」

とアドバイスしている。

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