最終回に視聴者呆然!山田孝之の深夜ドラマがとんだ食わせ者だった!?
3月24日に放送された、「山田孝之のカンヌ映画祭」(テレビ東京系)最終回が、とんだ食わせ者だった。
俳優の山田孝之が「カンヌ国際映画祭で賞をとること」を目的に、その映画製作の過程を追ったこのドキュメンタリードラマは、その斬新な手法が受けて各方面からマニアックな人気を集めた異色作。
だが、映画製作は山田の思い通りに行かず、次第に窮地に陥っていく。やがて、監督の山下敦弘、主演女優の芦田愛菜らが次々と降板となり、いよいよ立ち行かなくなると、最終回で山田は、自分の原点を見つめ直すために故郷の鹿児島に向かうのだった。
「山田らが取り組んでいたカンヌ用映画『穢の森』は、脚本や製作過程がめちゃくちゃだったため、多くの視聴者も映画の完成には懐疑的でした。したがって、この帰郷のくだりを見て、“今までのやり方は間違っていた。カンヌも映画製作も諦めよう”と、山田が心を入れ替えるものだと視聴者は思っていたんです」(テレビ誌ライター)
ところが、山田が芦田に明かしたのは「穢の森」とは全く別物の、題材も主演も山田孝之自身という映画の構想。もちろんカンヌ国際映画祭にも正式に出品し、6月には日本で公開決定、その名も「映画 山田孝之3D」と、なぜか3D上映だということもエンディングや公式HPで発表される。
「これには視聴者もいい意味で裏切られ大盛り上がり。どこまでがリアルなのかわからない不思議な浮遊感に包まれた今作は、このエンディングを見届けた時にはじめて“ドキュメンタリードラマ”のなんたるかを知ることになるんです」(前出・テレビ誌ライター)
故郷の場面で山田の生い立ちや家族などのパーソナルな部分に立ち入っていたのは、山田自身を描く新しい映画の予告的な側面もあったのかもしれない。なにより、全12回のドラマ自体が新しい映画が生まれるまでの道のりを描いた壮大な“前フリ”だったのかもと気づかされた時、視聴者は「気持ちよくヤラれた!」という妙な充実感で満たされることとなる。
ドラマ飽和状態の昨今で、新感覚のドラマを提示した今作。その食わせ物スタッフ(出演者?)の意欲は、新作映画の公開で再び注目を浴びそうだ。
(稲垣まゆう)