アメリカだけでなく、ヨーロッパ各国で「移民反対」「難民受け入れノー」の動きが広がっている。ところが、先進国の中でカナダだけは、「移民歓迎」の姿勢を打ち出している。

 トランプが大統領令で中東など7カ国からの入国禁止を命じた翌日の1月28日、カナダのトルドー首相はすかさずこうツイートした。

〈迫害、テロ、そして戦争から逃れようとしている人たちへ。信仰に関係なく、カナダ人はあなたたちを歓迎します。多様性こそがわが国の強みです〉

 2017年には難民4万人を含む30万人の移民を受け入れる方針だというから、どうやら口先だけではなさそうだ。しかし、どうしてカナダだけは移民に寛容な政策を進められるのか。そこにはシタタカな国家戦略があるらしい。

 龍谷大学の松島泰勝教授が言う。

「カナダは世界第2位の広大な国土を持ちながら、人口は約3600万人と少ない。カナダにとって人口を増やすことは切実な問題なのです。しかも、農林水産業や天然資源開発、介護職など人手がかかる産業のウエートが大きく、慢性的な人手不足に悩まされている。このため以前から、移民政策は重要な課題になっています。その上、1950年代に生まれたベビーブーム世代が65歳を越え、今後、急速な少子高齢化社会を迎える。労働力を確保したいのが本音です」

 ただし、やみくもに移民を受け入れているわけではないらしい。「カナダ経済に貢献するか」を判断基準にしている。逆に言うと、年齢や語学能力は問われるが、国籍や宗教は問われないという。移民は、肉体労働など、カナダ人がやりたがらない仕事に就くことが多く、カナダ人と仕事の奪い合いになるケースは、ほとんどないそうだ。

 移民を受け入れるにあたって、カナダは地理的に恵まれているという。

「カナダは、中東やアフリカからも遠く、国境を接しているのはアメリカだけです。メキシコと国境を接しているアメリカのように、不法移民が次から次へと入国することはない。ですから、計画的に移民の受け入れができると言えます」(松島泰勝氏)

 急速な少子高齢化は日本も同じ。参考にできるかもしれない。