沖縄は「独立」に向かう? 翁長知事「簡単にはできないが、私たちにも尊厳がある」
沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は5月20日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。日米両政府が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を中止するよう、改めて訴えた。また、記者から「沖縄独立論」に関する質問を受けて、回答する一幕もあった。
●「日本の安全保障は国民全体で負担すべき」翁長知事は5月27日から訪米し、米政府に対して「辺野古移設反対」を伝える予定だ。この日の会見は、翁長知事が海外メディアに直接訴えかける機会ということで、会場には100人近くの報道陣が詰めかけた。
翁長知事は会見で、戦前・戦後の沖縄の歴史に触れながら、「辺野古移設が唯一の解決策だ」とする安倍政権の方針を批判。「沖縄にある米軍基地は、もともと強制的に取られたものだ。今日まで自ら基地を提供したことはない」と指摘した。
また、「私は自民党出身だ」と述べて、日米安保への理解を示したうえで、「どうして本土のみなさんは、沖縄に米軍基地の74%を押し付けるのか。日本の安全保障は国民全体で負担すべきだ」と訴えた。
●「日本がまた沖縄を切り離すのではないか」会見では、沖縄が日本から独立する「沖縄独立論」についての質問も出た。
会見後半の質疑応答で、ビデオニュース・ドットコムの神保哲生氏が「日本政府が辺野古基地移設の方針を転換しない場合、沖縄としては今後、どのような選択肢があると考えているのか。最後は『沖縄独立論』のようなところまでいくつもりがあるのか」と聞いた。
この問いに対して、翁長知事は「独立は、議論としてはあるが、実際上なかなか簡単にできないと思っている」と回答。一方で、「『沖縄はほっておけ』『そういう決意もないところはもっと基地を置いておけ』という話になるならば、わからない。私たちにも生きる権利がある。尊厳も持っている」と述べた。
さらに、日本が戦後、独立国として主権を回復した「サンフランシスコ講和条約」で、沖縄が本土から切り離されて、米軍施政下におかれたことを説明した。「沖縄が独立するというより、(有事の際は)日本がまた沖縄を切り離すんじゃないか」という懸念を示した。
そのうえで、翁長知事は「将来の子や孫のために、沖縄がどうあるべきかと考えるのが、私の仕事だ。そのなかで、日本全体との調和を考えていきたい」と話した。
(弁護士ドットコムニュース)