背番号10の試練…現地記者が本田に助言「犠牲的精神を過剰に発揮するな」

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 シーズン序盤こそ好調だった日本代表FW本田圭佑とミランだが、その後はペースを落とし、今は不振に苦しんでいる。この試練にどう立ち向かえばいいのか。3月6日に発売された雑誌『CALCiO 2002/2015年4月号』で、イタリア現地記者のジョヴァンニ・オリヴェロ氏が分析している。

 開幕戦からゴールを決め、チームをけん引してきた本田のパフォーマンスを「セリエAのベスト10に入るレベルだった」と評価するオリヴェロ氏だが、「本田のパフォーマンスの低下とミランの低迷は、奇妙にも足並みを揃えている」と語る。第7節のキエーヴォ戦を最後に本田のゴールは止まっており、チームが勝ち点を積み上げるペースも鈍化。オリヴェロ氏は「もともと(フィリッポ)インザーギのチームは開幕から構造的な問題を内包していた。それが本田のゴールによって隠蔽されていただけなのだ」と指摘した。

 アジアカップから復帰した本田は、明らかに疲労が蓄積している。オリヴェロ氏は、それでもインザーギ監督からの厚い信頼は変わらないと主張する一方で、「指揮官は試行錯誤の中で、本田をチームの『補強材』として使おうとしているようだ」と話す。

 新加入のイタリア代表MFアレッシオ・チェルチがチームに馴染めずにいる今、「4−3−3を使い続けるのであれば、本田のレギュラーポジションは安泰だろう」というオリヴェロ氏だが、「4−3−1−2となると、ジャコモ・ボナヴェントゥーラが強力なライバルとなる」と言明。実際に、本田は直近2試合で先発を外れ、第24節のキエーヴォ戦では今シーズン初めてベンチに座ったままだった。

 また、チーム得点王のFWジェレミー・メネズとの関係性も指摘する。「プレースタイルの面でも性格の面でも、相性は決して良くないのだろう。それでも、(少なくともピッチ上での)関係を改善できないと、本田にとってはマイナスとなる」と語った。コンビネーションでいうと、DFイニャツィオ・アバーテの存在も大きい。オリヴェロ氏は「本田とのコンビが復活すれば、ミランには大きな上積みが期待できるのだが……」と、アバーテの負傷離脱を嘆いた。

 オリヴェロ氏は、本田の高いプロ意識を評価している。同時に「本田のプロ精神は『自分を犠牲にする』という方向に働きがちだ」と懸念点を挙げ、これが不振を説明するシンプルかつ的を射た答えだと主張。「犠牲的精神を過剰に発揮しない『自制心』を持つべきだろう」と助言している。

 インザーギ監督の解任説も浮上しているミラン。オリヴェロ氏は、仮に途中解任があったとしてもアシスタントコーチを務めるマウロ・タソッティ氏が暫定的に指揮を執る可能性が高いとし、その場合は「本田の立場も大きくは変わらないはずだ」との見解を示した。

 最後にオリヴェロ氏は、「君はミランの単なる一選手ではない。チームにおける最重要選手の一人であり、10番を背負ってプレーしている。その責任を果たさなければならない」と厳しい言葉を投げかけ、「ファンの批判はときに理不尽に思えるかもしれないが、君が率先して、ピッチ上のプレーでファンを納得させるしかない」とエールを送っている。

 本誌内では、今シーズン初めてトップ下で出場したユヴェントス戦でのプレーなどにも触れている。