雪道は歩きにくいですよね。ツルツルだったり、デコボコだったり、グチャグチャだったり。そしてそれは歩きにくいだけでなく、さまざまな危険もひそんでいます。

幅50cmくらいの“けもの道”。人がすれちがうのもやっと。


油断大敵!! 横断歩道の白線はなぜあんなにすべるのか!?

冬、歩行者にとって最も危険な道は、横断歩道の白線です。白線部分に足を乗せたとたんに「ツルッ!!」と足をすべらせたことがある人は多いはず。特にお年寄りは転ぶと骨折してしまうといって、横断歩道を避けて、あえてアスファルトの黒い部分を歩いていたりします。歩行者にとって安全であるはずの横断歩道なのに、あの白線のすべり具合は本当に危険です。では、横断歩道の白線は、どうしてあんなにすべるのでしょう。
それは、横断歩道の白線は、普通のアスファルトの部分と違って水が染み込まないので、薄い氷の膜ができやすいからです。また、アスファルトの黒い色は熱を吸収して氷が解けやすいのですが、白い部分は反対に熱を吸収しにくいので氷が解けにくくなっていることも原因となっています。
こんなエピソードがあります。
まだスマートホンが普及する前、二つ折りの携帯電話の頃、ある大きな交差点で男子高校生が信号待ちをしていました。彼は片手で携帯電話をいじり、もう片方の手はポケットに。信号が青になり、携帯電話をいじりながら横断歩道へ足を踏み入れたとたん、横にツルッ!! とすべり、彼は一瞬、宙に浮いてから、道路にたたきつけられました。と同時に携帯電話は見事に真っ二つ…。たぶん彼は家に帰ってからご両親に怒られたことでしょう。きっと心も体も痛かったと思います。
横断歩道の白線は、油断して歩いていると予想以上に滑る場合があります。観光で北国に訪れた方は、なるべく白線の上を避け、白線をまたいで黒いアスファルトの部分を歩いたほうがいいかもしれません。


「馬の背」になった歩道、微妙な傾斜がすべって危ない

「馬の背」というと、登山などで「山の尾根づたいの道」というのが一般的ですが、この言葉は北国の歩道でもよく使われます。
どか雪の翌朝早く、まだ除雪されていない歩道。まっさらな雪道を“勇気ある”誰かが最初の一歩を踏み入れます。積雪は膝くらいの高さ。次に通る人は、“先人”の足跡の上を歩きます。次の人もその次の人も、その足跡の上を歩きます。こうして上の写真のように、幅50cmくらいの“けもの道”ができます。
この“けもの道”は踏み固められると、やがて、中央が高くなり、左右が低い、ゆるい傾斜の山型になります。これを北国では「馬の背」と呼びます。歩行者はみな、この馬の背を歩くので、ますます固くなり、解けて固まり、解けて固まりを繰り返しているうちに、しまいにはアイスバーンのようにツルツルになってしまいます。さらにこの馬の背は固いので、雪解けまでずっと残ってしまいます。
このゆるい傾斜が、歩くときにはとても危険です。頂点を歩いていると、ちょっとバランスを崩しただけで、ツルッ!! と横方向に滑ってしまいます。靴底がすべる靴を履いていては、この馬の背を乗り切ることはできません。しっかりとバランスを保ちながら、横にすべらないように、気を引き締めて歩く必要があります。


屋根の下、軒下は絶対に歩かない!! 上からも落雪の危険が

道路がすべるからといって、下ばかり見ていてはいけません。上からは落雪・落氷の危険がせまっています。大きな雪や氷の塊はとても重たく、これが頭の上に落ちてくると命にかかわるので、屋根の下や軒下は絶対に歩いてはいけません。特に気温が高くなった日は落雪が起きやすいので要注意です。
落雪の危険は、民家が並ぶ住宅街だけではありません。大きな通り沿いでは、ビルのバルコニーや小屋根、出窓や看板など、ちょっとした出っ張りに雪が積もり、それが突然落ちてくることもあります。大通りでは歩道は除雪が行き届いて歩きやすいですが、油断せず、上のほうも見ながら歩いたほうがいいでしょう。
雪や寒さの専門家たちでつくる「ウインターライフ推進協議会」(札幌)では、2013年にウェブサイトを開設し、危険な雪道で転ばない歩き方のコツを発信しています。
詳細は、下記のURLをチェックしてみてくださいね。