イチロー【写真:田口有史】

“ライバル状態”だった青木はジャイアンツと合意

 ロイヤルズからフリーエージェント(FA)となっていた青木宣親外野手が、ジャイアンツと契約合意に達した。去就問題は予想以上に長引いていたが、昨年のワールドシリーズ覇者である強豪への加入は、本人にとっても希望通りの決着と言えるだろう。そして、この先はヤンキースからFAとなっているイチロー外野手の去就も進展する可能性がある。

 同じ特徴を持つ外野手として、FA市場では2人の名前が並べて報じられることがほとんどで、興味を持っているされる球団が重なることも多かった。当然、実績では圧倒的にイチローが上回る。ただ、年齢が8歳も離れていることを考えると、市場で青木の“ライバル状態”となっていたことは、驚異的なことと言えるだろう。青木の去就が決まった今、41歳の安打製造機にどんな展開が待っているかは気になるところだ。

 ただ、現状は不透明だ。

 関心を持っているチームの1つとされるオリオールズの地元メディア「コムキャスト・スポーツネット・ボルティモア」は現地時間16日、イチロー獲得の可能性がそれほど大きくないことを伝えている。「オリオールズはイチローよりもラスマスに強く興味を持っている」の見出しで報じた。

 当初からラスマスが本命とされてきたオリオールズの補強だが、イチローの状況はかなり厳しいことを説明している。

移籍先候補とされるオリオールズはイチローに「興味がない」?

「スズキもまだサインしていない。だが、オリオールズは彼について熟考していると先月に報じられたものの、興味がないようだ。マイアミがイチローにとってベストのように見える。ボルティモアではない」

 記事ではこう指摘。外野が万全で、控え選手としてイチローに興味を持っているマーリンズの方が、移籍先としてはふさわしいとの見方を示している。

 オリオールズは昨季本塁打王のネルソン・クルーズがマリナーズ、正右翼手だったニック・マーケイキスがブレーブスへと共にFAで移籍し、外野手の補強が急務となっている。ブルージェイズからFAとなっているラスマスを本命に補強に動いているとされ、イチローだけでなく、ジャイアンツと契約合意に達した青木宣親も獲得候補に挙がっていた。

出場機会の確保を条件とするイチロー、妥協は必要か?

 ラスマスとはバック・ショーウォルター監督が自ら面接を行ったが、交渉が進展していない。記事によると、代理人は他球団との契約を模索しているという。もっとも、現時点では難航している模様で、このまま条件のいいオファーがなければ、オリオールズと契約する可能性が高いとしている。

 すでに多くのチームが外野の補強を終わらせており、レギュラーを探しているチームは少なくなっている。オリオールズはそのうちの1つだが、イチローに対する興味は薄いようだ。

 オリオールズのほかにはマーリンズやブルージェイズが移籍先候補として浮上しているが、いずれも控え外野手として関心を示していると報じられている。ただ、イチローサイドは出場機会の確保を条件としており、妥協が必要になる。

 実績のあるベテラン選手が2月中旬のキャンプイン直前まで契約を結べないというケースは、メジャーでは珍しくない。さらには、キャンプ中にけが人が出たチームが急遽、補強に動くことで、「無所属」だった選手の所属先が開幕直前に決まる例も多い。

 水面下でイチローの去就問題の決着が迫っていることを願いたいが、いつ、どんな結末を迎えるかは分からなくなってきている。