なんと海上航路が県道。静岡県の県道223(ふじさん)号!

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この夏は、世界遺産に登録された富士山を見に行きたいと思っている人も多いだろう。富士山を眺める絶景スポットはいろいろあるが、ちょっとユニークなのが静岡県の県道223号。223は「ふ・じ・さん」と読む。富士山に語呂を合わせてあるのだ。

おもしろいのはネーミングだけじゃない。なんとこの県道があるのは海の上。駿河湾フェリーの航路である静岡市の清水港と伊豆市の土肥港を結ぶ海上県道なのだ。

駿河湾フェリーは、清水港から土肥港までを65分で結ぶ高速カーフェリー。船上からは海越しに雄大な富士山が一望でき、ときにはイルカと遭遇することもあるらしい。

駿河湾フェリーを運航する株式会社エスパルスドリームフェリーの担当者に話を聞くと、
「観光目的で乗られる方が大半ですね」
便は1日4往復。乗用車や観光バスで乗る人が多いという。

県道といえば一般的には地上の道路だが、三重県道750号阿児磯部鳥羽線をはじめ、海上県道も各地にあり、県道223号は全国で6例目。とはいえ、静岡県内では初の事例だし、観光目的のルートが海上県道として認定されるのは全国でも初めてのケースだ。

駿河湾フェリーの運航自体は2002年からスタートしているが、県道223号に指定されたのは、今年の4月12日。世界遺産の登録を願ってのことだ。その後、5 月1 日には富士山がイコモスにより高い評価を受け、世界遺産登録がほぼ確実視されるようになると、県道223号の盛り上がりも加速。ちょうど5月からフェリーの運賃の割引キャンペーンをおこなっていることもあり、5月の乗用車積載数は前年比167%、さらに6月は前年比195%とほぼ倍増しているという。
「現在は団体客への営業は秋季の予約を受け付けているタイミングですが、こちらも引き合いが急増しています」

県道223号は、直線距離で約30km。ちなみにこれを陸路で行こうとすると、約100km、2時間30分ほどかかるから、タイミングさえあえば旅程の時短にもなる。7月31日までは、運賃料金を20%から平日は乗用車料金が最大半額となる割引サービスも実施中。また、今なら絵葉書として使える記念乗船券も配布されているほか、船内では子ども用の船長服や船長帽の無料レンタルもある。

珍しい海上県道から眺める富士山。ぜひ一度、拝んでみては。
(古屋江美子)