「ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族オンライン」スクウェア・エニックス
酒場はいつもこんな風に人でごったがえしています。みんなサポート仲間への登録&仲間捜しをしているのですね。他の人の時間を気にせずに冒険できるのはオンラインゲームとしてはかなり画期的なんじゃないでしょうか。

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「あのドラクエがオンラインになった!」ということで話題の「ドラゴンクエストX目覚めし五つの種族オンライン」(以下ドラクエX)。なんだかんだでちょっと遊んでいます。まあでも、ほんの朝6時まで遊んだり、お仕事している最中とかにちらちらWebのマイページを見たりするぐらいです。MMORPGにどっぷりはまった人は24時間365日そのゲームのことを考え続けると聞きますし、まだ中毒というところまではいっていないんじゃないかと思います。

ちょっとドラクエXについて、あれこれ解説をしていきたいと思います。

■ドラクエはやっぱりドラクエだった!

多くの人が懸念しているのは、オンラインになってドラクエっぽくなくなったんじゃないか? ということでしょう。

でも、大丈夫です。DSで出たドラクエIXだって、最初は色々と言われていたけどしっかりとドラクエでしたよね。今作のオンライン部はドラクエIXの正統進化にあたると言ってもいいできばえです。

制作者側がいかにドラクエらしさを出すために工夫をしたのかということは、任天堂のページにある「社長が訊く」のインタビュー中の、“ちゃんと世界がここにある”という言葉に集約されているんじゃないかと思います。

いわゆるMMORPGの世界は結構殺伐としていると聞くのですが、ドラクエはやっぱりそういう世界では無いのですね。色々なMMORPGを遊んでいる友人なんかは「信じられないほどMMOとしては殺伐としていない」と言っています。

なぜそうなるのかというと、やはり「おうえん」の仕組みが大きいのではないでしょうか。ドラクエXではフィールドでモンスターと戦っている人に対して、「おうえん」をすることができます。「おうえん」をされた側はテンションが上がり、次の攻撃での与えるダメージが増えたり、戦闘後にもらえるゴールドが増えたりします。なので、いつの間にか戦闘を見かけると「おうえん」し、応援された側が「ありがとう!」と返す文化が成立しているのですね。

いたるところで「ありがとう!」ですから、これは殺伐とするはずがありません。まあひょっとしたら、レアなモンスターを横取りされちゃったりするとかで殺伐とする事例があるのかもしれませんが、少なくとも序盤を遊んだ感じではそうは思いませんでした。

■最初の強敵。それはインストール

というわけで、今回のドラクエのおおまかな流れを説明していきましょう。まず最大の強敵は「インストール」です。今回はWii用のゲームで、ディスク2枚組なのですが、遊ぶ時にディスクは必要ありません。全てUSBメモリにインストールしなければならないのです。

このインストールが、はっきり言って長い!

ディスク1で50分ぐらい、ディスク2で10分ちょっとの時間がかかると覚悟しましょう。インストール時のBGMはいわゆるおっさんほいほい的なドラクエ2の復活の呪文を入れる時のテーマ「LoveSong探して」です。最初のうちはこの演出に「おおっ!」となって思わず口ずさんだりしていたのですが、さすがに1時間繰り返し聞くとちょっとつらくなりました……でもインストール完了時の「てれれれってってってー♪」というレベルアップのテーマが流れると、ちょっとテンションが上がります。

インストールが完了したらあとはディスクはいりません。WiiメニューにドラクエXが登録されたらそのまま起動できます。あ、もちろんUSBメモリは指しっぱなしです。

さて、ここでゲームを開始……となるのですが、その前にちょっとだけアドバイスを。それは、クラシックコントローラPRO(もしくはクラシックコントローラ)とUSBキーボードは用意した方がいいということです。

リモコンとヌンチャクでも操作はできるのですが、カメラの視点変更とかはクラシックコントローラの方が圧倒的にやりやすいと感じました。特に、3D酔い派は結構使うことになると思うカメラ視点リセット(自分のキャラの後ろにカメラがくる)は、リモコンだとリモコンを振るのに対し、クラシックコントローラだとLとRを同時押しだったりします。この辺は慣れの問題かもしれませんが、クラシックコントローラの方が楽でした。

キーボードも、基本的にはよく使う台詞(前述の「ありがとう!」とか)は登録されているし、コントローラーでも画面を占領しないで文字が入力できる方法が搭載されているので、なくても遊べます。キーボードがつながっていないキャラクターにはそれ用のアイコンがつきますし。簡単な文章なら本当に不自由に感じることは少ないでしょう。

でも、ゲームを始める時にスクウェアエニックスIDを登録したり、パスワードを入れたりと言った作業があります。ここにキーボードがあると無いとでは大違い。キーボード無しで設定を開始してしまったので、それはそれは長い時間がかかってしまいました……

■初心者に向けてのアドバイス!

そういった長い作業を経て、ようやく遊べます。まず最初に自分の分身である主人公キャラと、兄弟姉妹を1人作成することになります。このとき注意するのは、適当に作りすぎないようにするということでしょうか。特にキャラクターの性別は、ここで作ったものがそのままオンライン時のキャラクターの性別になるので、「オンラインでは男キャラをやりたいけど、オフラインでは女キャラをやってみよう」と考えている人は要注意です。

そしてオフラインでの冒険がいったん終わると(ここまでだいたい2時間ぐらいと考えるといいでしょう。慣れている人は1時間ぐらいかも)いよいよオンラインでの冒険が始まります。ちなみにこの後もオフラインでの冒険は続いていたりします。そう、オンラインとオフラインと二つの物語がここから展開していくのですね。

オンラインでの主人公は、オーガ、エルフ、ウェディ、ドワーフ、プクリポの五つの種族から選びます。そう、これが副題である「目覚めし五つの種族」なのですね。

最初は選んだ各種族でのストーリーがはじまり、一回ボスを倒すと「一人前の証」をもらえ、他の種族のいる大陸へと移動できる鉄道を利用することができるようになります。

ここで、初心者の方向けに序盤はどうしたらいいのかのアドバイスをしましょう。

1.まずはボスを倒す
友達と一緒に遊んだりしようとしても、種族が違ったらいる場所が違うのですから一緒に遊べません。まずはボスを倒すべくがんばりましょう。ある程度のレベルがあがったらボス戦ですが、何人かでいくと低めのレベルでも倒せると思います。ボスのいるところの前には手伝ってくれる親切な人がいたりしますので「誰かボス戦手伝ってくれませんか?」と呼びかけ、とにかく倒しましょう。

2.お金は敵からではないと思うべし
お金、貯まりません。全然お金が足らないのです。どれぐらい貯まらないかというと、レベル10までは死んでもお金が減らないため、宿屋に泊まるよりもわざと死んだ方がいいと思っちゃうぐらいお金が貯まらないのです。今までのドラクエとは異なり、敵を倒しても手に入るのは4Gとか5Gとかだらけ。敵からのお金をあてにするのはやめましょう。地面におちているキラキラしたものを狙うのです。このキラキラしているものはさまざまな職人が使う素材なのですが、職人になれるのは街に出てから! なので、序盤はとくに生き残るべく、それらの素材をばんばん売っていい装備に変えてしまいましょう。

3.敵からは全逃げの覚悟でとにかく街を目指せ!
街には他の街に行く鉄道だけではなく、酒場があります。これが超重要なのです。酒場を利用できるようにするために、街にたどり着かなくてはなりません。そのため、出会う敵からは全て逃げて、街を目指しましょう。
街に着いたら酒場で依頼されるクエストをこなします。すると、「サポート仲間」を使えるようになり、また自分もサポート仲間として登録することができるのです。これがあるのと無いのとでは大違いなので、全てを犠牲にしてでも街を目指す方がいいわけです。

4.レベル15を目指せ!
サポート仲間が使えるようになったら、街のまわりでいろんなものを拾ったりしながらレベル15を目指しましょう。レベル15になると宿屋でコンシェルジュサービスを利用できるようになります。これがまた、大きいのです。コンシェルジュサービスで定期的にお金がもらえたり、元気玉がもらえるとその後の効率がガラリと変わるのです。

■一人でも時々でも楽しめる

今回のドラクエXでは、どっぷり毎日24時間365日アストルティアの世界に入っていなくても楽しめるような試みが随所にあったりします。

●サポート仲間
サポート仲間は自分が雇うことができる仲間です。自分のレベルよりも低くないと雇えませんが、48時間雇うことができます。その間は「さくせん」で命令を聞く仲間となってくれるので、例えば回復魔法が使えない戦士が回復魔法の得意な僧侶を雇うことで、他の人を誘ってパーティーを組まなくてもよくなるというわけです。

実はこの仕組みには誘われる側にもメリットがあります。それは、誘われた状態で冒険に連れ出されると、手に入れた経験値(少し割引)やお金が手に入るということです。なので、自分はゲームをやる暇が無くてログアウトしていても、他の人が連れ出してくれたら、経験値やお金が手に入るということなのですね。むしろお金の方は、序盤だと自分で冒険するよりも効率よく手に入るかもしれないという勢いです。

このサポート仲間に登録するためには、鉄道のある街に行って酒場のクエストをクリアすることが不可欠です(前項の3を参考)。難易度はそれほど高くないので、何はなくともサポート仲間のクエストを達成すべし! と思いましょう。

●コンシェルジュサービス
宿にいるコンシェルジュは色々と冒険の便宜をはかってくれます。例えば、一週間に一度サポートゴールドをくれたり。とくにお金が貯まらないドラクエXでは、ただでもらえるお金は非常に大きいです。それともうひとつ、「元気玉」があります。

元気玉は、「地球のみんな! おらに元気をわけてくれ……!」と思わず言いたくなってしまいますがそうではなく、使うと取得経験値や取得ゴールドが倍になる夢のようなアイテムです。効果時間は30分間ですが、これがあると無いとでは経験値稼ぎに大きな差が出ます。

この元気玉はログアウトしている時間が多ければ多いほどもらえます。つまり、一週間に一度ぐらいしかログインしてゲームに参戦できないサラリーマンの方も、というかそういう人ほど元気玉を使って一気に他の人に追いつくという使い方ができるのですね。なので、前項その4で書いたように、レベル15を目指してコンシェルジュサービスを利用できるようにするのが、このゲームではものすごく重要になるのです。

●Webページでいつでもチェック!
自分のキャラクターは目覚めし冒険者の広場でいつでもチェックできます。例えば自分がいま誰にサポート仲間として雇われているかとか、ゲーム中のカメラで撮った写真とか、フレンドの状況とか、自分が出品したバザーの状況をWebページでチェックできるのですね。あと、3DSでも同じようなサービスが実装されるようです。楽しみですね。

……と、主に序盤のお話をしてきましたが、ドラクエXの世界は日々進化しています。序盤のお金がなかなか手に入らないことをうけ、他の大陸に移動するお金が100Gから25Gで済むようになるアップデートが8月9日に実施されました。他にもバザーが値段の安い順に並ぶなど細かい使い勝手が随時更新されています。

どっぷりオンラインでありながら予想以上にドラクエな世界だった本作。ちょっと気になるという方は、とりあえず購入後20日間は無料期間があるので遊んでみてはいかがでしょうか? そのついでに、「むむ」というキャラクターを見つけたらサポート仲間に誘ってください。
(杉村 啓)