書店で見つけられる『野球選手名鑑』はこんなに! タイトルは本文をチェックしてね。

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プロ野球開幕から1週間。巨大戦力を揃えたハズの巨人が早速つまずき、ルーキーが初勝利を挙げたりと、いきなり野球というスポーツの戦力分析の難しさを痛感します。だからこそこの時期は「野球選手名鑑」が手放せません。
以前、iPhone&iPad用「野球選手名鑑」アプリを紹介しましたが、その際に「私Androidなんで違うの教えてください」とか「そうは言っても俺は書籍派」といった声をいくつかいただきました。そこで今回はこの時期書店に並んでいる「野球選手名鑑」全14冊を読み比べて、それぞれのこだわりポイントや視点の違いを紹介したいと思います。購入を検討している方は参考にどうぞ!


【いつでもどこでもOK! ポケットサイズ部門】
「野球選手名鑑」が必要なのは野球を見るときだけじゃないですもんね。居酒屋での野球談義、携帯で暇もつぶせない電車移動の時間etc. ポケットに忍ばせて、気になったときにちょっと見たくなるもの。そんな方にオススメなのはやっぱり小さなコンパクト版。でも「小さいと情報量少ないんでしょ」といった先入観はないですか? いやいや、結構充実してますよ。

例えば、コスミック出版から出ている(1)『プロ野球12球団全選手完全名鑑 2012』(360円)。こんなに小さいのに過去5年分の成績がチェックできるのがスゴい。ただし、文字はかなり小さめですので疲れ目の方にはちょっと厳しいかもしれません。昨年のセ・リーグMVP中日・浅尾投手のインタビューが収録されていますので、中日ファン、浅尾ファンならコレでしょう!

宝島社刊行の(2)『プロ野球選手データ名鑑 2012<ポケット判>』 (380円)も全選手の過去5年間の成績と年俸を掲載。こちらは巨人・坂本選手のインタビューがあります。ダルビッシュを始めとした「日本人メジャーリーガー」名鑑や球団ごとの日程表、テレビ&ラジオの解説者一覧など、野球好きには嬉しい情報が多角的に編集されています。

(3)『ベースボールタイムズ増刊 2012プロ野球プレイヤーズファイル』 (スクワッド/450円)は過去3年分の成績が表示されています。この名鑑の売りはピッチャーならストレート、スラーダー、フォークなどの球種の割合がそれぞれ何%か。バッターなら9分割したストライクゾーン毎の打率がわかり易いチャートで見ることが出来る点。懐かしの「野村スコープ」とか大好きな方にはオススメです。

(4)『スポニチプロ野球選手名鑑 2012』(毎日新聞社/400円)の売りはなんと言ってもその薄さ。今回チェックした選手名鑑の中ではダントツで最薄! 本来“薄さ”を売りにできるのは携帯電話かコンドームくらいですが、いつでもどこでも持ち歩きたいポケット判選手名鑑においては十分な個性です。そして薄いのに過去3年分の成績もしっかり掲載してるので情報量もバッチリ。

球場観戦派にオススメなのが日刊スポーツ出版社から出ている(5)『プロ野球選手写真名鑑 2012年』(380円)。過去成績に関しては2011年分だけですが、この本のこだわりは「紙」。ポケット判の中では最も厚い紙で、しかもオールカラーだからかコート紙が採用されているので紙に腰があります。球場に持って行くと突然の雨で濡れちゃったりクシャクシャにしてしまいがちですが、この本なら多少の荒い使い方でも原型を保ってくれそうです。

ベースボール・マガジン社刊(6)『プロ野球カラー名鑑 2012』(500円)も過去成績に関しては2011年分だけですが、各球団の扉ページに「ミニ球団史」が掲載されています。過去からの流れや通算記録に思いを馳せるのも野球の醍醐味ですもんね。また、「プレイヤーズIN & OUT」一覧表で12球団の移籍動向がまとめてチェックできますので、開幕したばかりのこの時期には嬉しい企画。番長・清原みたいにお世話になった仲間の移籍情報を2年間知らなかったりするのは避けましょう!


【情報充実・カバンにもスッポリ! A5判サイズ部門】
小さいのは読みづらい。かといって雑誌サイズの大きいタイプは持ち歩きづらい。もちろん情報量も欲しい。というバランス派なあたな。そんな方にはA5サイズ版がオススメです。A5版の特徴としては解説者やアナウンサーにもスポットを当てている点。テレビ観戦、ラジオ観戦のお供に実は最適なのです。ここでご紹介する3冊は全て980円と同一料金ですので、純粋に内容で選んでみてください。

ラジオでのプロ野球中継の楽しみ方にこだわっているのが三才ブックス(7)『プロ野球コンプリート選手名鑑2012年度版』(980円)。「ラジオで楽しむ野球観戦」と題し、TBSラジオ「エキサイトベースボール」の放送現場に密着したり、全国主要ラジオ局番組一覧があったり、解説者名鑑だけでなく実況アナウンサー名鑑があったり、実況アナが選ぶ2011年度ベストゲームがあったりと、とことんラジオにこだわっています。三才ブックス派の方は、ラジオ実況アナウンサー座談会の記事も要チェック!

解説者の情報が一番充実してるのは廣済堂出版から出ている(8)『12球団全選手カラー百科名鑑2012』(980円)。選手名50音検索はよくあるんですが、この本はなんと解説者の50音検索が! 誰が使うんだろう?? また、ちょっと上から目線の各局アナウンサー寸評が読み物としても面白いです。さらには各球団の応援歌が載っているなど独自の編集スタイルが目を引きます。

情報がバランス良く掲載されてるのが宝島社の(9)『プロ野球パーフェクトデータ選手名鑑 2012<大判>』(980円) 。球団別試合スケジュール表が見やすいので、ひいきの球団の試合がいつかササッとチェックしたい方にはオススメです。おかわり君インタビューも読み応えあります。


【大きな写真にこだわり編集 不定形サイズ部門】
さあ、ここからはさらに濃いですよ〜。独自編集にこだわるとサイズも厚さも増してきます。持ち運びには向いてないけど読み応え抜群、個性爆発の名鑑たちを見ていきましょう!

(10)『プロ野球スカウティングレポート2012』(廣済堂出版/1365円)は今回紹介する中で最厚の471ページ! 『プロ野球 問題だらけの12球団』で同じみの小関順二氏が監修。ボールカウント別成績、球場別成績など徹底分析されたデータが有名選手なら見開きで、一軍選手も1ページで細かく考察されています。さらに2012年度版は投手の全球種と投球割合&打者のホットゾーンを追加。もう野球を見なくてもこの本眺めてるだけで頭の中で試合が展開できそうです。巻頭の元巨人・仁志敏久氏との対談企画では「二塁手論」など深い野球理論の応酬があり、それだけでマニア必見です。

(11)『野球小僧 プロ野球&世界野球選手名鑑2012』(白夜書房/1500円)はまた特殊。選手の評価を「松竹梅」の三段階で分けているのも独特ですが、より特徴的なのはプロ野球選手以外の選手名鑑も掲載されている点。『世界野球名鑑』のタイトル通りプロ野球899名にとどまらず、メジャーリーグ172名の他、独立リーグ・高校野球・大学野球・社会人・韓国・台湾・中国・キューバ・オーストラリア・ヨーロッパと、総勢2150名以上の選手が網羅されています。少し気が早いですが2013年に開催される第3回WBCを楽しむにはこの名鑑がもってこいです。ちなみにこの名鑑、選手一人一人の写真はないのですが、注目選手はインプレーの写真が載っています。中でもP.123の鳥谷の写真がまあカッコイイのでここだけでも見て欲しいです。

(12)『週刊ベースボール増刊 決定版!プロ野球全選手名鑑』(ベースボール・マガジン社/1000円)で特徴的なのが「NPB審判名鑑」の企画。審判員の紹介はもちろん他でもありますが、この本ではなんとオールカラー! どこに需要が…ヤジ用かな? また巻末の「バースデーチェック表」で、今日は誰の誕生日かなぁ、なんて楽しみ方も。また付録の「2012セ・パ公式戦&交流戦スケジュール下敷き」は野球ファンのお子さんがいる方に最適。選手名鑑は2月発売のモノが多いのですが、この名鑑と『野球小僧 プロ野球&世界野球選手名鑑2012』は3月発売ですので、より最新情報が欲しい方はコレ。

(13)『プロ野球選手カラー名鑑2012 保存版』(日刊スポーツ出版社/950円)のオススメは本体よりも別冊付録「おもしろ観戦球場ガイド」。各球場の入場料一覧、スタジアムグルメ&イベント情報、12球団マスコット辞典(残念ながら先頃発表された横浜DeNAの新マスコット「スターマン」は間に合わず)と、まさに「観戦を楽しむため」の情報が満載。この別冊付録だけでも欲しい〜。

(14)『2012プロ野球オール写真選手名鑑』(日本スポーツ企画出版社/900円)は映画「マネーボール」でも話題のセイバーメトリクス系データが充実。オールカラーで表組もパッと理解できる分かりやすさなのが嬉しい限り。歴代表彰選手も普通は名前だけがズラーっと並んでいるタイプが多いのですが、この本では一人一人の記録が掲載されているので「歴史としての記録」を振り返る上でも大助かり。個人的には一番コストパフォーマンスがいいように感じました。


最後に、名鑑を選ぶチェックポイントとしてもうひとつ挙げたいのが“選手の顔写真”。基本的にどの名鑑でも球団支給の写真データを使用しているのですが、その写真には「にっこり笑顔」と「おすまし真面目顔」の2種類あります。どっちを使っているかがそれぞれの名鑑のセンスだったりもしますので、ぜひ見比べてみてください。個人的には巨人・長野の真っ白でキレイな歯並びが一度見たら忘れられなくて、「おすまし真面目顔」の長野写真じゃもう物足りないです。

今回一気に見比べてみた「野球選手名鑑」ですが、一番驚いたのは“14冊も出版されている”という事実。これに加えて球団ごとの選手名鑑があったりMLB選手名鑑もありますからね。日本人どんだけ野球選手好きなんだよ! 
(オグマナオト)